Brian Bennett - Voyage (A Journey Into Discoid Funk) (1978)
Brian Bennett 1978

Brian Bennett - Voyage (A Journey Into Discoid Funk) (1978)

Electronic Funk / Soul Funk Disco

Brian Bennett『Voyage (A Journey Into Discoid Funk)』について

『Voyage (A Journey Into Discoid Funk)』は、UKのドラマー/パーカッショニスト、Brian Bennettが1978年にDJM Recordsから発表した作品だ。タイトル通り、ディスコ期の空気を強くまとったファンク・インストゥルメンタル集で、電子音とリズムを前面に押し出した内容になっている。いわゆる歌もののアルバムではなく、演奏とアレンジで流れを作っていくタイプの一枚で、Bennettが1950年代から活動してきたドラマーとしてのキャリアに加え、70年代半ば以降にアレンジャー、指揮者、プロデューサー、作曲家としても存在感を強めていた時期の仕事として位置づけられる。

1978年という年を考えると、ディスコとファンクがポップスの中心に広がっていた時代で、UKのインスト作品でもその潮流を取り込んだ作品がいくつか見られる。『Voyage』はその中でも、ドラム奏者が主導するだけあって、ビートの設計がはっきりしているのが特徴だ。DJM Records盤としてUKで出たオリジナル・リリースで、ラベル表記はDJF 20532。後年CDでも流通しているが、まずは1978年の作品として押さえておきたい。

Brian Bennettという人

Brian Bennettは1940年2月9日、ロンドン生まれのUKドラマー。1961年にThe Shadowsへ加入したことで知られ、その後は演奏だけでなく、編曲や制作、映像音楽の分野でも活動していく。ロックンロール以降の英国ポップスを支えたミュージシャンでありながら、70年代にはより広いレンジのサウンドに対応していった人でもある。『Voyage』は、そうした多面的な仕事の中で、特にリズムとスタジオ・ワークの感覚が前に出た作品として聴ける。

この時期のBennettは、バンドのドラマーという枠だけではなく、曲全体の構成を組み立てる側に回っている。打楽器奏者らしい細かなアタックの積み重ねと、当時のディスコ/ファンクの語法をつなげたところに、この作品の芯がある。

アルバム全体の印象

本作は、電子的な質感と生演奏のリズムが並走する作りで、ベースライン、反復するギター、シンセのフレーズ、そしてドラムの推進力が、曲ごとに明確な役割を持って進んでいく。派手な歌唱で引っ張るアルバムではないぶん、各パートの配置や音の抜き差しがそのまま聴きどころになる。ディスコ由来の一定のテンポ感を保ちながら、ファンクの粘りも残しているため、単純なダンス・ミュージックとしてだけではなく、スタジオ作品としての設計も感じやすい。

実際に聴くと、まず耳に残るのはドラムの輪郭だ。キックとスネアが前に出すぎず、しかし拍の芯ははっきりしていて、そこに細かなパーカッションが重なる。リズム隊が曲の推進力を担い、その上にシンセやストリングス系の装飾が乗る場面もあり、1978年らしいディスコの手触りを持ちながら、UKのスタジオ作品らしい整理された響きになっている。派手に煽るというより、一定のグルーヴを保ったまま展開するタイプの作品だ。

注目曲1:タイトル曲「Voyage」

タイトル曲「Voyage」は、作品全体の方向性を示す中心的なトラックだ。曲名の通り、単なる1曲というより、アルバムの入口として機能する構成で、反復するリズムと電子音の層が、ディスコ・ファンクの推進感を作っている。Bennettの作品において、ドラマーとしての強みが最もわかりやすく出るのはこうした曲で、ビートの安定感と細部の動きが両立している。

この曲では、派手なメロディを前面に出すというより、リズムの積み上げで空間を作る印象が強い。ダンス・トラックとしての機能性がありつつ、インストゥルメンタルならではの余白もあるため、曲が進むほどに音の配置そのものが聴きどころになっていく。アルバムのタイトルを背負う1曲として、Bennettの当時の関心がどこにあったかを示す存在といえそうだ。

注目曲2:ファンク寄りの展開を見せるトラック群

本作の魅力は、タイトル曲だけでなく、ファンク色の強い曲が続く流れにもある。ベースの反復、カッティングの入ったギター、シンセの短いフレーズが絡み合う場面では、同時代のディスコ・ファンクと共通する語法がはっきり見える。曲によっては、踊れるビートを保ちながらも、フレーズの置き方がかなり緻密で、バックのアレンジを聴かせる作りになっている。

ここでの聴きどころは、各パートが主張しすぎず、それでも全体のノリを崩さない点だ。ブラスやシンセが入る箇所でも、あくまでリズムの流れを補強する役割に留まっていて、結果としてアルバム全体の統一感が出ている。70年代後半のディスコ・インスト作品の中でも、演奏家主導の整った作りという印象が残る。

同時代とのつながり

『Voyage』は、同時代のディスコやファンクの文脈の中で聴くと輪郭がつかみやすい。アメリカのディスコ・プロダクションほど華やかさを前面に出すのではなく、英国のスタジオ・ミュージシャンらしい精密さがある。歌もののヒットを狙うというより、インストゥルメンタルでリズムの快感を組み上げる方向性で、1970年代後半のクロスオーバーなダンス・ミュージックの一角に入る作品だ。

Brian Bennettにとっても、このアルバムはドラマーとしての経歴だけでは説明しきれない領域に踏み込んだ仕事として見える。演奏者でありながら、編曲や制作の感覚で作品全体を組み上げる姿勢が、ここではかなり明確だ。The Shadows以降のキャリアを知っていると、こうしたソロ作での広がり方がより見えやすい。

まとめ

『Voyage (A Journey Into Discoid Funk)』は、1978年のUKで生まれた、ディスコとファンクの要素を取り込んだインストゥルメンタル作品だ。Brian Bennettのドラマーとしての技量に加え、アレンジャー/プロデューサー的な視点が前に出ていて、ビートの組み立てと音の配置で聴かせる内容になっている。派手な歌や大きな物語ではなく、リズムと編曲の精度で進む一枚。70年代後半のダンス志向の英国スタジオ作品として、位置づけが見えやすいアルバムだ。

トラックリスト

  1. A1 Voyage
  2. A2 Solstice
  3. A3 Chain Reaction
  4. B1 Pendulum Force
  5. B2 Air Quake
  6. B3 Ocean Glide

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