Mandrill - Beast From The East (1975)
Mandrill 1975

Mandrill - Beast From The East (1975)

Funk / Soul Latin Funk Soul Disco

Mandrill『Beast From The East』について

Mandrillの『Beast From The East』は、1975年に登場した作品で、ラテン色を含んだファンク・グループとして知られる彼らの時代感覚をよく示す1枚だ。Mandrillは、ソウル、ファンク、ラテンの要素を行き来しながら、演奏力の高さと曲調の切り替えで聴かせるバンドで、この作品でもその持ち味が前面に出ている。ひとことでまとめるなら、踊れるグルーヴとバンド・アンサンブルの密度を両立させた、70年代中盤のMandrillらしい記録といえる。

1970年代前半のMandrillは、単なるファンク・バンドというより、複数のリズムや音色を一曲の中に持ち込むタイプのグループとして存在感を強めていた。『Beast From The East』もその延長線上にあり、同時代のファンクやソウルの文脈の中でも、ラテン由来の打楽器感や、分厚いホーン、コーラスの使い方がはっきりしている。James Brown系の硬質なファンクとも、よりロック寄りのクロスオーバーとも少し違う、バンドの内部でリズムを組み替えていくような作りが印象に残る。

作品の位置づけ

Mandrillはデビュー以降、アルバムごとに編成感や曲の組み立てを変えながら活動してきたが、『Beast From The East』はその中でも、演奏のまとまりと曲ごとの色分けが見えやすい時期の作品として捉えやすい。ファンクを核にしつつ、ラテン・パーカッション、ソウルの歌心、時にディスコへ接続しそうな推進力まで含んでいて、70年代中盤のブラック・ミュージックの広がりをそのまま抱えたような内容だ。

同時代の比較でいえば、ラテン・ファンクという点ではWarやKool & The Gangの一部作品と並べて語られることがありそうだし、よりアフロ・ラテンの打楽器感に目を向ければ、Santana周辺のクロスオーバーとも接点がある。ただしMandrillは、ギターのリフやホーン・セクションを単独で目立たせるというより、リズム隊のうねりの上に全体を積み上げていく印象が強い。そこがこのバンドの識別点になっている。

聴きどころ

この作品を聴くとまず気づくのは、低音の押し出しと打楽器の組み合わせだ。ベースが前に出る場面では、単純に重いだけではなく、細かく跳ねるような動きが残っていて、そこにドラムとパーカッションが絡む。耳で追う情報が多いのに、混線しにくいのは、各パートの役割が明確だからだろう。ホーンはリフを太くし、ボーカルは曲の表情を整理し、ギターは隙間を埋める。そういう分業がはっきりしている。

また、Mandrillの作品全般にいえることだが、単調なファンク一辺倒にはなりにくい。曲の途中で空気が変わることがあり、リズムの抜き差しやコーラスの入り方で、同じテンポでも印象が変わる。アルバムとして聴くと、ファンクの推進力を保ちながら、曲ごとに温度や硬さを少しずつ変えていく構成になっている。

注目したいポイント

もしこの作品でMandrillの魅力を一つ挙げるなら、やはり“バンドとして鳴っている”感覚だろう。ソロの派手さだけで引っぱるのではなく、複数のパートが同時に動くことで、グルーヴそのものを作っている。ラテン由来の打楽器やコーラスが加わることで、ファンクの骨格に別の層が重なり、同じ反復でも単純なループに終わらない。そこが聴きどころになっている。

歌ものとして見ても、リズムに押されっぱなしではなく、フレーズの置き方に余裕がある。コーラスが入る場面では、メロディを前に出すというより、アンサンブルの一部として声を置いていく感じがあり、バンド全体の一体感につながっている。こうした作りは、後年のディスコやブロークン・ビート的な聴き方とも相性がよさそうだが、あくまで70年代中盤のファンク・バンドとしての手触りが中心にある。

日本盤について

この日本盤はLiberty(LLS-80448)からのリリースで、1975年当時の国内流通として出てきたものだ。Libertyはアメリカ発の老舗レーベルだが、日本では時期によって複数の会社が取り扱っており、こうした輸入・国内流通の文脈の中で、海外のブラック・ミュージックやファンク作品が紹介されていた。ジャケットや盤面のデザイン、表記の違いも含めて、当時の日本での受け止められ方を感じさせる資料性がある。

Mandrillのようなバンドは、ヒット曲だけで語るより、アルバム全体で聴いたときに輪郭が見えやすい。この『Beast From The East』も、そのタイプの作品として、当時のファンクの広がりと、バンドの演奏力をまとめて確認できる1枚になっている。

トラックリスト

  1. A1 Disco Lypso 4:01
  2. A2 Honey-Butt 4:57
  3. A3 Livin' It Up 4:22
  4. A4 Love Is Happiness 4:50
  5. B1 Ratchet (Como Se Va La Cosa) 3:09
  6. B2 Dirty Ole Man 3:21
  7. B3 Panama 3:48
  8. B4 Aqua-Magic 4:12
  9. B5 Synthia Song 3:09
  10. B6 Peaceful Atmosphere 0:42

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