The Salsoul Orchestra - Magic Journey (1977)
The Salsoul Orchestra『Magic Journey』(1977) レコード紹介
The Salsoul Orchestraの『Magic Journey』は、1977年にUSのSalsoul Recordsから出た作品で、ディスコ全盛期の空気をそのまま封じ込めたようなアルバムだ。Salsoul Orchestraは、ヴィンセント・モンタナ・Jr.が1974年に立ち上げたハウス・バンドで、Salsoul Recordsの看板的存在でもある。ストリングスを前面に出した編成、ファンク寄りのリズム、フィラデルフィア・ソウルの流れを感じさせる作りが持ち味で、この『Magic Journey』もその路線をしっかり引き継いでいる。
1970年代後半のディスコ作品は、クラブ向けの機能性と、オーケストラ編成の華やかさが同居しているものが多い。このアルバムもその一つで、Salsoulらしい厚みのある弦、低音の粘り、パーカッションの細かな動きが、曲の推進力を作っている。レーベル自体がニューヨークのディスコ文化と強く結びついていたこともあり、音の作りはかなり都市的だ。
作品の位置づけ
『Magic Journey』は、The Salsoul Orchestraの活動の中でも、ディスコの定型がよりはっきり形になっていた時期の作品として見やすい。1975年のデビュー作で「Tangerine」を送り出して以降、彼らはSalsoulの中心的な演奏集団として機能し続けたが、この1977年作では、その役割がさらに明確になっている。単なる伴奏集団ではなく、レーベルの音楽性そのものを代表する存在としての顔つきが強い。
同時代のディスコ・アクトと比べると、Salsoul Orchestraはライブ感のあるバンド演奏を軸にしながら、ストリングスやホーンを大きく使う点が特徴的だ。Gamble & Huff周辺のフィラデルフィア・サウンド、あるいはMFSBの流れとも近い耳ざわりがあるが、Salsoulの場合はさらにクラブ向けの反復や、12インチ文化へ接続する感覚が前に出ている。
収録曲の聴きどころ: 「Getaway」
このアルバムでまず触れたいのが「Getaway」だ。Salsoul Orchestraの代表曲として知られる一曲で、軽快なビートの上に、弦とホーンが次々と重なっていく構成が印象に残る。曲の立ち上がりは派手すぎず、リズムが前へ進み始めてから少しずつ音が増えていく作りで、ダンス・トラックとしての機能がはっきりしている。
聴き進めると、単に勢いだけで押すのではなく、細かい打楽器の配置やベースの跳ね方がかなり重要になっているのがわかる。Salsoul Orchestraらしいのは、この手の曲でもオーケストラの厚みが埋もれないことだ。クラブの床を動かすリズムと、耳で追えるアレンジの両方がきちんとある。ディスコの中でも、バンド演奏の存在感を重視した一曲として位置づけられる。
収録曲の聴きどころ: 「Runaway」
もう一つの注目曲が「Runaway」だ。こちらは「Getaway」よりもメロディの流れが前に出ていて、コーラスやストリングスの運びが比較的わかりやすい。歌ものとしての輪郭がありつつ、演奏全体はしっかりダンス・ミュージックの速度を保っている。
この曲では、Salsoul Orchestraが得意とする“分厚いのに整理されている”アレンジがよく見える。音数は多いが、各パートがただ重なるだけではなく、役割分担がはっきりしている。ディスコが単なる派手さではなく、編曲の設計で聴かせる音楽でもあったことを思い出させる内容だ。アルバムの中でも、作品全体の印象をつかみやすい曲といえる。
盤としての情報
このUS盤はSalsoul RecordsのSZS-5515。ラベルには「MFG. By Salsoul Records」、裏ジャケットには「Manufactured and distributed by Caytronics Corporation」とあり、1977年当時のSalsoulの流通体制がうかがえる。1978年以降はRCAとの提携で見た目の意匠が変わっていくが、この盤はその前の時期のプレスで、Salsoul独自の時代感が残る一枚だ。
また、この盤はランアウト部の非常に薄い「P」刻印で識別されるプレスで、同内容の別プレスとは見分けがつく。コレクションの観点では、こうした細かな違いも1970年代USディスコ盤らしい面白さの一つだろう。音楽そのものに加えて、レーベルの製造・流通の歴史が盤面に刻まれている。
まとめ
『Magic Journey』は、The Salsoul Orchestraが1977年のディスコ・シーンでどの位置にいたかを示す作品だ。クラブ向けの推進力、ストリングス主体のアレンジ、フィラデルフィア由来のソウル感が、Salsoulらしい形でまとまっている。代表曲「Getaway」や「Runaway」を含め、当時のディスコが持っていた演奏の密度と、レーベル主導の制作体制がそのまま伝わってくる内容である。
トラックリスト
- A1 It's A New Day 3:02
- A2 Short Shorts 3:07
- A3 Run Away 4:44
- A4 Guantanamera 4:14
- A5 Themes From Montreal Olympics, 1976: Farewell Song & Ballet Of The Closing Ceremony 5:03
- B1 Getaway 4:20
- B2 Magic Bird Of Fire 4:38
- B3 Journey To Phoebus 4:41
- B4 Alpha Centuri 5:22
動画
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It's a New Day
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Short Shorts
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Run Away
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Guantanamera
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Themes from Montreal Olympics, 1976 Farewell Song & Ballet of the Closing Ceremony
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Getaway
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Magic Bird of Fire
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Journey to Phoebus
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Alpha Centuri
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Take Some Time Out