Cannonball Adderley - Somethin' Else (1958)
Cannonball Adderley 1958

Cannonball Adderley - Somethin' Else (1958)

Jazz Hard Bop Bop

Cannonball Adderley『Somethin' Else』(1958)

1958年にBlue Noteから出た『Somethin' Else』は、アルト・サックス奏者Cannonball Adderleyの名を冠した作品の中でも、特に広く聴かれてきた1枚である。もっとも、このアルバムは単なる“Cannonballのリーダー作”という枠には収まらない。録音メンバーにはMiles Davis、Hank Jones、Sam Jones、Art Blakeyが並び、1950年代後半のジャズの空気をそのまま閉じ込めたような顔ぶれになっている。Blue Noteのカタログの中でも、ハード・バップの洗練と即興の緊張感がきれいに同居した作品として扱われてきた。

録音背景と位置づけ

録音は1958年3月9日、ニュージャージー州ハッケンサックのVan Gelder Studio。Cannonball AdderleyにとってBlue Noteでの唯一の作品で、当時の彼はMiles Davisのグループの一員でもあった。MilesはColumbia Recordsとの契約の関係で「Columbia Recordsの厚意により」というクレジットになっており、形式上はCannonball名義でも、実際のセッションの推進力はMilesが担っていたと受け止められている。時期としては、Milesの代表作『Milestones』の直後にあたる。1950年代後半のモダン・ジャズの流れの中で見ると、Blue Noteのハード・バップ路線とMiles周辺の音楽が交差した記録として興味深い。

Cannonball自身は1950年代から多くのセッションに参加していたが、Blue Noteに残したリーダー作はこれだけである。その点でも、このアルバムは彼のキャリアの中で少し特別な位置にある。Blue Noteの作品群の中でも、Art Blakey & The Jazz Messengers、Horace Silver、Lee Morganといった面々に連なる流れの中へ、Miles Davisの表現が自然に入り込んでいる構図がはっきりしている。

収録曲と聴きどころ

このアルバムでまず触れられるのは「Autumn Leaves」。11分に及ぶ演奏で、マイナー調のイントロから始まる構成がよく知られている。Miles Davis自身がオリジナルのライナーノーツで、アレンジのアイデアをシカゴのピアニストAhmad Jamalから得たと語っている。テーマの提示からソロの展開まで、曲そのものの輪郭がくっきりしていて、長尺でも流れが見えやすい。Milesの音は細く、間の取り方が明確で、Cannonballのアルトはそこに対して音量とフレーズの密度で応える。2人の対比がこの曲の核になっている。

実際に聴くと、Cannonballの音は鋭さだけで押し切るタイプではなく、音の立ち上がりが速く、語り口がはっきりしている。Milesの抑えたトーンと並ぶことで、アルトの輪郭がより前に出る。Hank Jonesのピアノは伴奏にとどまらず、和声の置き方で曲全体の温度を整えている。Sam JonesとArt Blakeyのリズム・セクションは、テンポの推進力を保ちながらも、過度に荒れない。ハード・バップの中でも、勢いだけでなく整理された流れが前面に出た演奏。

タイトル曲「Somethin' Else」も、この作品の性格をよく示している。大げさな仕掛けは少ないが、テーマとソロが自然に接続していく。Blue Noteらしい、録音の輪郭が明瞭なサウンドも印象に残る。RVG録音らしく、各楽器の位置が見えやすい。1950年代後半のジャズ録音の中でも、音像の整理された盤として聴きやすい部類に入る。

評価と受け止められ方

発売時にはDownBeat誌でDom Cerulliが5つ星評価を与え、Billboard誌も1958年10月号で高く評価した。後年もこの盤は、ジャズの定番として扱われ続けている。『The Penguin Guide to Jazz』のCore Collectionにも選ばれていて、単なるスター共演盤ではなく、内容面でも繰り返し参照されてきた。Miles Davis、Cannonball Adderley、Art Blakeyというそれぞれ個性の強い演奏者が並んでいても、作品全体は散らばらず、1枚のアルバムとしてのまとまりがある。

オリジナル盤の特徴

オリジナル盤はBlue Note BLP 1595。47 West 63rd - NYC表記のラベルで、MICROGROOVE表記があり、レーベル面に®はない。両面に深い溝があり、裏ジャケットの住所表記はセリフ体で、初期プレスの判別点として扱われている。Dead waxにはRVGスタンプが入り、Plastyliteプレスを示す「P」も確認される。Blue Noteの初期プレスらしい仕様がそろった盤で、当時の製品としての姿がそのまま残っている。

『Somethin' Else』は、Cannonball Adderleyの代表作であると同時に、Miles Davis周辺の音楽、Blue Noteのハード・バップ、そして1958年という時代の感触が重なった記録でもある。11分の「Autumn Leaves」を中心に、各人の持ち味が過不足なく残された1枚。派手な仕掛けより、演奏の組み立てと音の配置で聴かせるアルバムとして、今もよく名前の挙がる作品である。

トラックリスト

  1. A1 Autumn Leaves 10:58
  2. A2 Love For Sale 7:03
  3. B1 Somethin' Else 8:12
  4. B2 One For Daddy-O 8:21
  5. B3 Dancing In The Dark 4:04

動画プレイリスト

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