Kiss - Destroyer (1976)
Kiss 1976

Kiss - Destroyer (1976)

Rock Hard Rock

Kiss『Destroyer』解説

Kissの『Destroyer』は、1976年にUSのCasablancaからリリースされた4作目のスタジオ・アルバムで、同年のハードロックを語るうえで外せない一枚だ。前作『Alive!』でライヴ・バンドとしての勢いを強く印象づけたあとに出た作品で、ここではその荒さを保ちながら、曲の構成や音像をより大きく、細かく作り込んでいる。Kissにとっては、単に人気を広げた作品というだけでなく、スタジオ作品としての輪郭をはっきりさせた転換点でもある。

制作面ではボブ・エズリンが関わり、オーケストラ的な厚みや効果音、合唱を取り入れた点がよく知られている。実際、アルバム全体を通して、単純にギターが前に出るだけではなく、曲ごとの場面転換がはっきりしている。ハードロックの骨格は保ちつつも、曲の頭から終わりまでの流れが整理され、スタジオ盤ならではの密度がある。初期のKissにある粗い勢いとは少し違う方向だが、その分、各曲のフックがより見えやすい作りになっている。

アルバムの位置づけ

『Destroyer』は、Kissのキャリアの中でも重要度が高い作品として扱われることが多い。『Alive!』の成功後に、ライブの熱量だけではなく、スタジオでの構築力も示したことで、バンドの見え方が変わったからだ。1970年代半ばのハードロックは、Alice CooperやAerosmith、Ted Nugentらと並んで語られることが多いが、その中でもKissは視覚的な演出と楽曲の分かりやすさを強く結びつけていた。『Destroyer』は、その特徴をアルバム単位でまとめた作品と言える。

商業面でも重要で、米国では1976年4月22日にゴールド、11月11日にプラチナ認定を受けている。発売直後から評価が一枚岩だったわけではないが、後にシングル「Beth」のヒットも加わって、アルバムの存在感はかなり強まった。Kissの代表作を挙げる際に、この作品が中心に置かれやすいのは自然な流れだろう。

収録曲の聴きどころ

冒頭の「Detroit Rock City」は、アルバムの顔として非常に分かりやすい。ラジオのようなイントロから一気にバンド演奏へ入る構成で、単なるオープニング曲ではなく、短い物語を持った導入になっている。リフの押し出しは強いが、ただ速く攻めるだけではなく、展開の切り替えが細かい。タイトル通り都市の空気を背負った曲で、Kissのライヴ定番曲として扱われる理由も分かりやすい。

「Shout It Out Loud」は、Kissらしい掛け声の強さが前面に出た曲だ。コーラスの繰り返しがはっきりしていて、ライブ会場での反応を想像しやすい。演奏そのものはシンプルだが、音の重なり方が整理されているため、勢いだけでなく、曲としてのまとまりがある。Kissの初期曲に多い直球型のロックンロールを、より大きなスケールで鳴らした印象がある。

「God of Thunder」は、アルバム中でも重さが目立つ一曲だ。Gene Simmonsのキャラクターをそのまま音にしたような構成で、低く引きずるようなリフと不穏な空気が残る。ハードロックの範囲にありながら、他の曲よりテンポ感を落として圧を出しているため、アルバム全体の中で役割がはっきりしている。Kissの中でも、派手さだけではない暗い側面を示す曲として印象に残る。

「Do You Love Me?」は、終盤に置かれたことでアルバムの流れをもう一段持ち上げている。ポップな感触とロックの推進力が同居していて、Kissが単純なハードロック・バンドに収まらないことを示す曲でもある。初期プレスではこの曲の終わりに追加の小さなバンドが付く版があり、USオリジナル盤の中でも識別点として知られている。

そして「Beth」は、このアルバムを語るうえで欠かせない。Kissの中ではかなり異色のバラードで、バンドの持つ演劇性やメロディ面を前に出した曲だ。ハードロックの文脈だけで見ると意外性があるが、アルバム全体の中では音数を絞った場面として機能している。結果的にシングルとしても強く作用し、『Destroyer』をKissの代表作として押し上げた要素のひとつになった。

US初回盤について

このUS盤はCasablancaのNBLP 7025で、初回プレスではBogartロゴのラベルで、Casablancaロゴの下に「filmworks」表記が入らない仕様とされる。さらに、厚手の印刷内袋が付属し、歌詞やKiss Armyの案内が載っている点も特徴だ。レコードの見た目としては、初期盤らしい情報量の多い作りになっている。ランアウトの「CSM」表記はSanta Mariaプレスを示すものとして知られている。

こうした初期仕様は、単なるコレクター向けの違いにとどまらず、1976年当時のKissがどの段階にあったかを示す手がかりでもある。まだバンドのイメージが定着しきる前でありながら、音楽的にはすでに大きな器を持ち始めていた時期。その空気が『Destroyer』にははっきり残っている。

まとめ

『Destroyer』は、Kissがライブの派手さだけでなく、スタジオ作品でも強い印象を残せることを示したアルバムだ。Bob Ezrinの関与によって音像は厚くなり、曲の性格もはっきり分かれた。ハードロックの勢い、劇場的な構成、バラードの意外性が一枚の中に並び、Kissというバンドの輪郭をかなり明確にしている。1976年のUSオリジナル盤として見ても、作品そのものの重要性と、初期プレスならではの仕様の両方で注目される一枚だ。

トラックリスト

  1. A1 Detroit Rock City 5:20
  2. A2 King Of The Night Time World 3:13
  3. A3 God Of Thunder 4:13
  4. A4 Great Expectations 4:21
  5. B1 Flaming Youth 2:55
  6. B2 Sweet Pain 3:20
  7. B3 Shout It Out Loud 2:50
  8. B4 Beth 2:45
  9. B5 Do You Love Me 3:33

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