The Stooges - The Stooges (1969)
The Stooges 1969

The Stooges - The Stooges (1969)

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The Stooges / The Stooges(1969)

The Stoogesのデビュー・アルバム『The Stooges』は、1969年にUSのElektraから出た作品で、バンドの原点をそのまま記録したような1枚だ。デトロイト周辺で育った荒いバンド・サウンドに、Iggy Popの挑発的なボーカル、Ron Ashetonの硬いギター、そしてJohn Caleのプロデュースが重なっている。発売当時は大きな商業的成功にはつながらなかったが、後年になるほど重要性がはっきりしてきたアルバムで、パンクやプロト・パンクの文脈で語られることが多い。

このUS盤は、Elektraの赤い大きなEラベルを使った初期プレスで、右側に「STEREO」表記があり、リムテキストに「Elektra Records 1855 Broadway New York City」がないタイプとされる。Monarchプレスで、ランアウトにはスタンプやエッチングの識別が入る仕様。ゴールドのElektra社内スリーブ付きで出荷された点も、当時のオリジナル盤らしさを感じさせる部分だ。

アルバム全体の輪郭

この作品の特徴は、曲作りの完成度よりも、演奏の圧と空気感が前に出ていることだ。録音は整然としていないが、それがこのアルバムでは欠点というより性格になっている。ロックンロールの基本形をなぞるのではなく、同じリフやフレーズを執拗に繰り返しながら、テンションだけを上げていく場面が多い。The Doorsのように同じElektra所属でも、こちらは内省よりも身体感覚が前面に出る。Velvet Undergroundの系譜を引きつつ、より荒く、より直接的な鳴り方になっている印象だ。

収録曲の組み立ても面白い。曲数を埋めるために新曲が加えられた経緯があり、その結果としてアルバム全体に同じ方向の緊張が保たれている。歌詞は退廃や欲望、停滞を扱う場面が多く、演奏の粗さと内容が一致している。聴感上は、音がきれいにまとまる瞬間より、崩れそうで崩れない瞬間のほうが印象に残る。

「1969」

冒頭の「1969」は、このアルバムの性格をかなり端的に示す曲だ。反復するリズムと、短いフレーズを押し出す構成で、派手な展開は少ない。それでも、演奏のしつこさとIggy Popの投げつけるような歌い方で、かなり強い圧を持っている。曲名どおりの時代感を説明するような内容ではなく、むしろ当時の空気をそのまま荒く切り取ったように感じられる。

この曲では、ロックの華やかさよりも、バンドがひとつの部屋で音を鳴らしている感触が先に来る。ギターは派手に歌わず、ベースとドラムは前へ前へ押し出す。結果として、短い曲なのに妙に居座る。後のパンクでよく見られる、長いソロや装飾を削って勢いを残す作法を、かなり早い段階で見せている。

「I Wanna Be Your Dog」

代表曲としてまず触れたいのが「I Wanna Be Your Dog」だ。単純なリフを軸にした曲だが、単純だからこそ執拗さが際立つ。ピアノの反復も含めて、同じ動きを延々と積み上げていく作りで、聴いている側の落ち着きどころをわざと作らない。歌詞もかなり直截で、従来のロックが持っていた色気やヒロイックさとは別の方向へ行っている。

この曲は、The Stoogesのイメージを決定づけた1曲として語られることが多い。演奏技術の誇示ではなく、むしろ粗いままの反復で押し切る姿勢がはっきりしている。後年のハードロックやパンクの耳で聴くと、ここにあるのは「完成された名演」というより、ロックの作法をかなり乱暴に組み替えた痕跡だ。

「No Fun」

「No Fun」も、このアルバムを語るうえで外せない曲だ。タイトルの通り、楽しさがないことをそのまま投げるような内容で、バンドの空気感がよく出ている。演奏はタイトというより、ざらついたまま前進する感じで、メロディよりリズムの粘りが印象に残る。ライブでの扱いも含めて、The Stoogesの核にある曲のひとつだろう。

この曲の良さは、わかりやすい高揚感を作らないところにある。盛り上げるというより、同じ場所で熱を上げ続ける。そのやり方が、のちのガレージ・ロックやハードロックの一部にもつながっていく。耳あたりの良さより、演奏の圧が先に来るタイプの曲だ。

作品の位置づけ

『The Stooges』は、発売当時のヒット作としてよりも、その後のロック史の中で評価が固まっていった作品だ。商業的には大きく伸びなかったが、後の世代から見ると、パンク以前にすでにパンク的な感覚を持っていたアルバムとして位置づけられることが多い。Iggy Popの存在感、Ron Ashetonのギター、John Caleの関与が、単なる荒さでは終わらない輪郭を作っている。

同時代のロックが拡張や技巧を競っていた時期に、このアルバムはかなり別の方向を向いていた。音を増やすのではなく削る、整えるのではなく崩れかけの緊張を残す、という姿勢がはっきりしている。結果として、1969年の作品でありながら、後のガレージ・ロック、ハードロック、パンクの耳で聴いても古びにくい。初期Elektraの赤ラベル盤としても、作品の歴史をそのまま持ち帰ったような存在感がある。

発売時には大きな成功を収めなかったが、今ではThe Stoogesの出発点として、そしてロックが別の形へ転がっていく前触れとして語られる1枚だ。粗い、短い、単純、という要素が、そのまま強度になっているアルバムである。

トラックリスト

  1. A1 1969 4:05
  2. A2 I Wanna Be Your Dog 3:10
  3. A3 We Will Fall 10:15
  4. B1 No Fun 5:15
  5. B2 Real Cool Time 2:29
  6. B3 Ann 3:00
  7. B4 Not Right 2:49
  8. B5 Little Doll 3:21

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