Uriah Heep - ...Very 'Eavy ...Very 'Umble (1970)
Uriah Heep 1970

Uriah Heep - ...Very 'Eavy ...Very 'Umble (1970)

Rock Hard Rock

Uriah Heep『...Very 'Eavy ...Very 'Umble』──英ハードロックの出発点を刻んだ一枚

Uriah Heepのデビュー・アルバム『...Very 'Eavy ...Very 'Umble』は、1970年6月にイギリスでリリースされた作品だ。のちにバンドの方向性を決定づける要素が、この時点ですでにかなりはっきり出ている。オルガンを前面に置いた厚い音像、ギターとキーボードのせめぎ合い、そしてブルース寄りの感触と構成の大きさが同居する内容で、初期ハードロックの中でも存在感の強いタイトルとして知られている。

Uriah Heepは1969年にロンドンで結成されたイギリスのプログレッシブ/ハードロック・バンドで、中心人物のひとりはギタリストのMick Box。バンド名はチャールズ・ディケンズ『デイヴィッド・コパフィールド』の登場人物に由来する。70年代の英国ロックの文脈では、Deep PurpleやJethro Tull、Black Sabbathのような同時代のバンドと並べて語られることが多く、重さと劇的な展開を両立させるタイプの作品として位置づけられている。

1979年日本盤としての存在

今回の盤は日本で1979年にリリースされたもの。オリジナルの1970年盤から約9年後の再登場で、当時の日本市場で改めて流通したタイトルと見てよさそうだ。レーベルはEMI、カタログ番号はWBS-40147。70年代後半の日本盤らしく、オリジナル初出時とは別のタイミングで作品に触れられる形になっている。音そのものはデビュー当時の録音で、盤の年代よりも内容は70年の空気を強く引きずっている。

このアルバムを聴くと、まず音の密度が目に入る。いや、耳に入るというべきか。ギターが前に出る場面でも、オルガンがその裏でずっと鳴っていて、曲の骨格を支えている。歌メロは覚えやすさを持ちつつ、演奏は簡単にまとまらない。いわゆる“ハードロックの荒さ”だけではなく、アンサンブルを積み上げていく感じが強い作品だ。

注目曲1「Gypsy」

オープニングの「Gypsy」は、このアルバムの性格をそのまま示す代表曲だ。重いリフで引っ張りながら、オルガンが厚みを足し、ヴォーカルがその上を押し進めていく構図。曲の立ち上がりからして、単なるハードな演奏では終わらない。リズムの押し引きがはっきりしていて、演奏が進むほどにバンドの輪郭が濃くなる。

この曲は、後のUriah Heepを象徴する要素をかなり早い段階で備えている。ギターとキーボードが対等にぶつかる感触、やや芝居がかった展開、そしてサビでの押し出し。初期ハードロックの中でも、バンドの個性が見えやすい一曲として機能している。

注目曲2「Come Away Melinda」

「Come Away Melinda」は、アルバムの中で異なる表情を見せる曲だ。もともとフォーク系で知られる楽曲を、重さを持たせた解釈で扱っていて、ここではバンドの演奏が静かな緊張感を作る。派手に押すだけではなく、抑えた音数で曲の輪郭を浮かび上がらせるところに、この時期のUriah Heepの幅がある。

ハードロックのアルバムの中でこうした曲が入ると、全体の印象がかなり変わる。単に激しい曲を並べるのでなく、落ち着いたテンポの中で歌と演奏の重なりを聴かせる構成になっていて、デビュー作ながら曲順の組み方にも意識が感じられる。

注目曲3「Wake Up (Set Your Sights)」

終盤の「Wake Up (Set Your Sights)」も、このアルバムらしさが出る曲だ。勢いだけで押し切るのではなく、リフの反復と展開で引っ張っていくタイプで、バンドの“演奏で組み立てる”感覚がよく見える。デビュー盤にしては、すでに曲の流れに独特の粘りがある。

このあたりを聴くと、Uriah Heepが単なるハードロック・バンドではなく、プログレッシブな構成感も持ち込んでいたことがわかる。Deep Purpleほどの即効性一辺倒でもなく、Black Sabbathほどの暗さに寄り切るわけでもない。その中間にある独自の重さが、この作品の持ち味だ。

作品の位置づけ

『...Very 'Eavy ...Very 'Umble』は、Uriah Heepの出発点として重要なだけでなく、70年代英国ハードロックの幅を示す一枚でもある。のちの代表作ほど洗練は進んでいないが、そのぶん初期衝動がはっきりしている。オルガン主体の分厚いアレンジ、ブルースの残り香、そして曲ごとの表情の違い。そうした要素が、デビュー作の段階ですでにまとまっているのが面白いところだ。

1979年の日本盤でこのアルバムに触れると、1970年当時の空気を少し距離を置いて眺める感覚もある。オリジナル初出時の粗さや勢いをそのまま受け取るというより、70年代ロックのひとつの原点として聴く形に近い。Uriah Heepの後年の展開を知っていると、ここにある音の核がそのままバンドの長い歴史につながっていることが見えてくる。そんな意味でも、デビュー盤らしい初期衝動と、すでに完成し始めている個性が同居した作品だと言えそうだ。

トラックリスト

  1. A1 Gypsy
  2. A2 Walking In Your Shadow
  3. A3 Come Away Melinda
  4. A4 Lucy Blues
  5. B1 Dreammare
  6. B2 Real Turned On
  7. B3 I'll Keep On Trying
  8. B4 Wake Up (Set Your Sights)

動画

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