Lyn Collins - Check Me Out If You Don't Know Me By Now (1975)
Lyn Collins 1975

Lyn Collins - Check Me Out If You Don't Know Me By Now (1975)

Funk / Soul Funk Soul

Lyn Collins『Check Me Out If You Don't Know Me By Now』について

Lyn Collinsの『Check Me Out If You Don't Know Me By Now』は、1975年に発表されたソウル/ファンク作品で、彼女の代表作『Think (About It)』の強いファンク感とは少し違う方向を示したアルバムだ。James Brownの周辺で育った女性シンガーらしい骨格はそのままに、ここではより歌もの寄りの組み立てが目立つ。People Recordsからのリリースという点でも、Brown色の強いレーベル・カタログの中で、Lyn Collinsがどんな位置にいたかを確認しやすい1枚になっている。

盤として流通している1996年プレスは、オリジナル発表から時間が経った後の再発盤にあたる。ジャケットはセミグロス仕上げで、印刷の輪郭がやや柔らかく、色味も落ち着いた印象がある。オリジナル期の空気をそのまま閉じ込めたというより、後年にアーカイブ的に受け継がれた盤という見え方だ。

作品の位置づけ

Lyn Collinsは1948年テキサス州レキシントン生まれ。James Brownの“Original Funky Divas”の一人として知られ、1972年の『Think (About It)』で大きな存在感を示した。その作品は、短いブレイクや掛け声が後年のヒップホップやダンス・ミュージックで大量に引用され、彼女の名前を広く知らしめることになった。一方で本作『Check Me Out If You Don't Know Me By Now』は、そうしたサンプリング史の中心というより、70年代半ばのソウル・アルバムとして聴くと輪郭が見えやすい。

uDiscover Musicでは本作を『Think (About It)』よりも“より洗練された”内容と紹介している。実際、ここでは勢いだけで押す場面よりも、曲の流れや歌の置き方に気を配った構成が目立つ。People Recordsのカタログの中でも、ファンクの強打より、ソウルの定型と歌唱のバランスを前に出した作品として捉えられているように思える。

表題曲「If You Don’t Know Me by Now」

アルバムの核になるのが、Harold Melvin & the Blue Notesの1972年ヒットで知られる「If You Don’t Know Me by Now」のカバーだ。Gamble-Huff作品として有名なこの曲を、Lyn Collinsは自分の声に合わせて再構成している。原曲の持つ切実さを残しつつ、彼女の歌い口では少し前に出る圧が加わり、James Brown周辺の作品らしい推進力も感じられる。

シングルとしても出され、アトランタのWAOKでは1975年11月に5位まで上昇した記録が残る。全国的な大ヒットというより、地域局で反応を得たタイプの曲として見ておくと自然だろう。アルバム全体の中でも、この曲は“Lyn Collinsが既存の名曲をどう自分の曲に変えるか”がはっきり出る一曲で、歌の伸びと節回しに耳が向く。

収録曲に見える70年代半ばのソウル感

このアルバムには「Try a Little Tenderness」や「Back Stabbers」といったカバーも含まれている。どちらも同時代のソウル・ファンには馴染みのある題材だが、Lyn Collins版では単なるコピーにはなっていない。特に「Back Stabbers」は、James Brownが気に入って手を入れたとされる曲で、レーベル内の制作体制やBrownの関与の強さを示すエピソードとしても興味深い。

『Think (About It)』のような強烈なファンク・トラックを期待して聴くと、ここでは少し印象が変わる。リズムの刻み方はしっかりしているが、全体としては歌を中心に据えた流れがある。70年代半ばのソウルが、ファンクの鋭さと、より整ったアレンジの間を行き来していたことが、そのまま表れているような内容だ。

People Recordsという文脈

People Recordsは1971年にJames Brownが立ち上げたレーベルで、Lyn CollinsやThe J.B.'sをはじめ、Brown周辺の重要な音源を多く残した。短い活動期間ながら、R&Bの定番になるような楽曲をいくつも送り出したことでも知られる。1976年にレーベルは幕を閉じるが、その前後のカタログを追うと、Brownの制作思想と当時の黒人音楽の流れがかなり直接的に見えてくる。

本作は、そのPeople Recordsの中で、Lyn Collinsが単なる“ファンクの歌い手”ではなく、ソウル・シンガーとしての幅を示していたことを確認できるアルバムだ。『Think (About It)』のような一撃で語られることが多い人だけに、こうした1975年作を挟むと、彼女の活動の輪郭が少し立体的になる。James Brownの周辺にありながら、歌の選び方と曲の置き方で別の表情を見せる作品として、記録しておきたい1枚だ。

トラックリスト

  1. A1 A Foggy Day 4:02
  2. A2 To Each His Own 3:08
  3. A3 Put It On The Line 3:25
  4. A4 Mr. Big Stuff 3:59
  5. A5 How Long Can I Keep It Up 5:30
  6. B1 Baby Don't Do It 3:25
  7. B2 Backstabbers 5:40
  8. B3 Rock Me Again & Again & Again & Again... 3:28
  9. B4 Try A Little Tenderness 3:10
  10. B5 If You Don't Know Me By Now 5:22

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