Makoto Matsushita - First Light (1981)
Makoto Matsushita『First Light』(1981)
松下誠のソロ・デビュー作にあたる『First Light』は、1981年に日本のAir Recordsから登場したアルバムである。松下誠は1955年11月16日生まれのマルチ・インストゥルメンタリスト、作曲家、プロデューサー、作詞家、ヴォーカリストで、ここではその幅広い音楽性が、ソロ作品としてまとまった形で提示されている。ジャンル欄にはElectronic、Jazz、Rock、Funk / Soul、Pop、スタイル欄にはAOR、City Pop、Funk、Jazz-Rock、Pop Rock、Prog Rock、Kayōkyokuが並ぶが、実際の作品はそうした要素が比較的自然に同居する構成になっている。
この作品は、松下誠にとって初のソロ・スタジオ・アルバムという位置づけが大きい。制作はMakoto MatsushitaとToshio Oguriの連名で、“UNI JAPAN MUSIC” Inc.のクレジットが付く。Air RecordsはRVC系の日本の独立レーベルとして展開していた時期のリリースで、1980年代初頭の国産AORやシティ・ポップの空気をよく映した一枚として見られている。後年にはMoon Recordsから再リリースされ、そちらでは一部のトラックがわずかに再ミックスされ、A4「September Rain」には英語版も用意された。現在流通しているCDや1981年以降の再発盤は、基本的に1982年版のミックスを使っている点も、この作品を語るうえで重要なポイントになる。
アルバム全体の印象
『First Light』を通して聴くと、演奏の密度と編曲の整理が印象に残る。ギター、キーボード、リズム隊の組み立てが過度に前へ出すぎず、細かな音数の中でコード感とリズムの動きをしっかり聴かせる作りだ。AORやシティ・ポップという文脈で語られやすい作品だが、単に都会的な装飾が先に立つのではなく、フュージョン寄りの運びやロック的な推進力もはっきりある。ジャズ・ロックやプログレッシブ・ロックの要素が、派手な展開というより演奏の切り替えやフレーズの置き方に現れているところが特徴的だ。
同時代の日本の作品と比べると、山下達郎や大瀧詠一のようなソングライティング中心のシティ・ポップとも、渡辺貞夫周辺のような純度の高いジャズ・フュージョンとも少し距離がある。歌ものとしての親しみやすさを保ちながら、演奏面の情報量をしっかり積んでいく感じで、そのバランスが松下誠らしさとして立ち上がっている。聴き方によっては、華やかさよりも各パートの噛み合いの良さが先に耳に入るアルバムでもある。
注目曲「September Rain」
このアルバムを代表する曲として挙がるのが「September Rain」だろう。オリジナルの1981年盤では日本語版が収録され、のちの1982年再発では英語版が用意された。曲そのものは、アルバムの中でも特にメロディの輪郭がはっきりしていて、コード進行の流れと歌の乗り方が素直に結びついている。リズムの軽さと和声の柔らかさが同居していて、AOR的な聴きやすさが前面に出る一曲になっている。
実際に聴くと、サビに向かうまでの組み立てが急がず、音の置き方に余白がある。ここでの印象は、派手なフックで押し切るというより、旋律の流れそのものを丁寧に見せるタイプ。再発盤で英語版が差し替えられたという事実も含め、この曲はアルバムの顔として扱われてきたことがわかる。
アルバムの核としてのタイトル曲周辺
作品全体を見渡すと、タイトル『First Light』が示す通り、始まりの感触を持った楽曲配置が目立つ。音の立ち上がりが明確で、イントロからリズムが入るまでの短い時間にも、作曲者としての設計が感じられる。松下誠は演奏者としてだけでなく、作曲・編曲のバランス感覚でも存在感を示していて、その点がソロ・デビュー作にふさわしいまとまりにつながっている。
また、このアルバムは「歌える曲」と「演奏で聴かせる曲」が無理なく並ぶところに強みがある。ファンク寄りのグルーヴ、ポップなメロディ、ジャズ・ロック的な展開が、ひとつの作品の中で極端に分離しない。1981年という時期の日本のポップスが持っていた柔軟さを、そのまま個人の作家性に引き寄せたような内容で、デビュー作らしい自己紹介の役割を果たしている。
再発盤との違い
オリジナルは1981年のAir Records盤で、のちに1982年にMoon Recordsから再発された。再発では一部の曲がわずかに再ミックスされ、さらに「September Rain」の英語版が加わった点が大きい。現在のCD版や後年の再発盤は、基本的に1982年版のミックスを採用しているため、1981年の初出盤とは聴こえ方が少し異なる可能性がある。こうした差異も含めて、同じ作品が複数の形で流通してきた一例として記憶されている。
まとめ
『First Light』は、松下誠の多面的な音楽性が、1981年当時の日本のAOR、シティ・ポップ、フュージョン周辺の空気と結びついたソロ・デビュー作である。歌ものとしての親しみやすさと、演奏・編曲の細部を追える面白さが両立していて、作品の輪郭はかなりはっきりしている。特に「September Rain」は、このアルバムの入口としても、松下誠の作家性を示す曲としても重要な位置を占めている。
トラックリスト
- A1 First Light 4:32
- A2 One Hot Love 4:20
- A3 Resort For Blue 1:23
- A4 September Rain 4:29
- A5 Lazy Night 4:48
- B1 This Is All I Have For You 5:06
- B2 I Know... 1:59
- B3 Love Was Really Gone 5:46
- B4 Sunset 8:17
動画
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Makoto Matsushita - First Light
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Makoto Matsushita - One Hot Love
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Makoto Matsushita - Resort For Blue
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Makoto Matsushita - September Rain
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Makoto Matsushita - Lazy Night
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Makoto Matsushita - This Is All I Have For You
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Makoto Matsushita - I Know...
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Makoto Matsushita - Love Was Really Gone
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Makoto Matsushita - Sunset
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Makoto Matsushita - September Rain (Japanese Version)