Marijata - This Is Marijata (1976)
Marijata『This Is Marijata』について
Marijataの『This Is Marijata』は、1976年にガーナのGapophone Recordsから出た、グループ名義の初LPだ。ドラムのコフィ・“エレクトリック”・アディソン、オルガンのボブ・フィシアン、ギターのナット・オスマンスという3人編成で、オルガン、ギター、ドラムを軸にしたストレートな演奏がこの作品の骨格になっている。ガーナのファンク、ハイライフ、ソウル、アフロビートの流れが一本にまとまった盤で、同時代の西アフリカ音楽の空気をそのまま閉じ込めたような内容だ。
グループの背景
Marijataはガーナのバンドで、もともとはハイライフ・シンガーのパット・トーマスが1973年に結成したSweet Beansを母体としている。Sweet Beansは1974年の『False Lover』発表後に解散し、その後にMarijataとして再編された。パット・トーマスとの共演作『Pat Thomas Introduces Marijata』も残していて、グループ単体の作品とあわせて、当時のガーナ音楽の現場のつながりが見えやすい。Marijataが単独名義で作品を出したこのアルバムは、その流れの中でのひとつの到達点として置かれている。
録音とレーベル
本作はアクラのGhana Film Industry Corp.のスタジオで録音され、Gapophone Recordsからリリースされた。Gapophoneは、ロンドンからガーナへ戻ったGeorge A. Prahが設立したレーベルで、この作品のプロデュースも同レーベルが担っている。ガーナ国内で制作され、国内レーベルから出たという点も重要で、当時のローカル・ファンクの現場を知るうえで外せない背景だ。
収録は全4曲のコンパクトな構成。曲数は少ないが、演奏の密度は高く、オルガンのリフ、ギターの刻み、ドラムの推進力が前に出る。装飾を増やさず、リズムの反復と音の勢いで押していく作りで、アフロビートやファンクの要素が前面に出る一方、ガーナのハイライフ由来の軽快さも残る。
サウンドの特徴
この盤の中心は、派手な展開ではなく、3人の役割分担がはっきりした演奏にある。ボブ・フィシアンのオルガンは音の厚みを作り、ナット・オスマンスのギターは細かいリフで前進感を出し、コフィ・アディソンのドラムが全体を引っ張る。ファンクのグルーヴを土台にしつつ、ハイライフの土着的なリズム感が残っていて、アメリカのファンクとは少し違う手触りがある。
実際に聴くと、音数を絞ったぶん各パートの動きが見えやすい。オルガンが前に出る場面では土の匂いが強くなり、ギターが刻みを始めると一気に推進力が増す。録音年代相応のラフさもあるが、それがこの盤ではむしろ持ち味になっている。整いすぎたスタジオ作品ではなく、演奏の熱と現場感が残るタイプの録音だ。
位置づけと文脈
『This Is Marijata』は、Marijataにとってグループ名義の初のLPであり、1970年代ガーナ・ファンクを代表する一枚として扱われている。Pat Thomas周辺の流れ、Sweet Beansからの再編、そしてGapophoneというガーナのローカル・レーベルの文脈が重なった作品でもある。同時代のガーナ音楽を振り返ると、ハイライフを基盤にしながらファンクやソウルを取り込む動きが広がっていて、本作もその中心にある。
後年はオリジナル盤が入手困難になり、コレクターズ・アイテムとして知られるようになった。その後、アカデミーLPs/ヴードゥー・ファンクによる正規ライセンスのリマスター再発があり、2017年にはMr BongoからGapophone創設者George A. Prahの許諾を受けた公式再発盤も出ている。オリジナル盤と再発盤の存在がはっきり分かれていて、ガーナ盤の再評価の流れの中で語られる作品でもある。
まとめ
『This Is Marijata』は、ガーナの3人組が残した、短いが密度の高いファンク・アルバムだ。ハイライフの土地感、ファンクの推進力、ソウルの感触が同じ盤の中で並び、1976年という年の西アフリカ音楽の空気をよく伝えている。Marijataの名前を知る入口としても、ガーナ・ファンクの代表作としても、存在感のある一枚だ。
トラックリスト
- A1 I Walk Alone
- A2 We Live In Peace
- B1 No Condition Is Permanent
- B2 Break Through