Matterhorn - Outside (2020)
Matterhorn『Outside』について
ノルウェー・トロンハイム出身のプログレッシブ/オルタナティブ・ロック・バンド、Matterhornによる『Outside』は、2020年にリリースされた作品。レーベルはノルウェーのApollon Records: PROGで、同レーベルのプログレッシブ系ラインから出た一枚になる。編成はTommy Halsethを中心とした形でクレジットされており、ゲートフォールド仕様、250枚限定という物理フォーマット面でも存在感のあるリリースだ。最初の100枚はナンバリングとサイン入りという扱いになっている。
Matterhornは、トロンハイムという北欧ロックの土壌を背景にしたバンドで、プロフィール上はプログレッシブ・ロック/オルタナティブ・ロックを掲げている。『Outside』は、そのバンド像をそのまま示すようなタイトルでもあり、外側へ向かう視点、あるいは内側から見た距離感のようなものを感じさせる作品名でもある。少なくともレーベルの性格から見て、技巧だけを前面に出すのではなく、楽曲単位の流れや構成を重視するタイプの作品として受け止めやすい。
作品の位置づけ
2020年という時点での『Outside』は、Matterhornにとってタイトルを冠した初出作としての意味合いが強い。初めてまとまった形でバンドの方向性を示す場であり、以後の活動を考えるうえでも基本形になる一枚と見てよさそうだ。Apollon Records: PROGという、北欧のプログレ系作品を扱うレーベルからの発表であることも、作品の立ち位置をわかりやすくしている。実験性を含みつつ、ロックのフォーマットに収める意識がある作品群の中に置けるだろう。
同時代の文脈で見ると、北欧のプログレは、70年代由来の組曲的な発想を引き継ぎつつ、オルタナティブ・ロック以降の乾いた質感や、比較的コンパクトな曲構成を取り入れる流れがある。Matterhornの表記もまさにその接点にあり、長尺一辺倒ではなく、リフや展開の切り替えで引っ張るタイプのロック作品として捉えやすい。北欧の同系統では、重厚さと明快さを両立させるバンドと並べて語られる場面が多そうだ。
サウンドの印象
『Outside』の核になるのは、プログレッシブ・ロックらしい構成感と、オルタナティブ・ロックらしい直線的な推進力の両立にある。曲の中で展開が変わる場面があっても、ただ複雑にする方向ではなく、リフやリズムの輪郭を保ちながら進めるタイプの作りが想像しやすい。北欧のバンドにしばしばある、音数を盛りすぎずに緊張感を作る手つきとも相性がよさそうだ。
また、レーベルの性格上、演奏の精度やアレンジのまとまりが作品の印象を左右している可能性が高い。プログレッシブという言葉から連想される過度な装飾より、ギターのフレーズ、曲中の切り替え、間の取り方といった要素が前に出る作風として受け取れる。オルタナティブ・ロックの側面もあるため、硬質な音像や少しざらついた質感が軸になっていると考えると、作品全体の見通しがつきやすい。
注目したいポイント
収録曲の個別情報は手元では確認できないが、この種の作品では、冒頭曲と中盤の展開曲、そして終盤の締めの曲がそれぞれ役割を分けていることが多い。『Outside』というタイトルからしても、アルバム全体で一つの流れを作りつつ、各曲が独立した景色を持つ構成が考えやすい。プログレッシブ・ロックの文脈では、序盤で主題を提示し、中盤で緊張を高め、最後に余韻を残す作りが定番だが、Matterhornもそうした流れの中に置いて聴かれることが多いはずだ。
もし代表曲を挙げるなら、アルバムの性格を最も端的に示す長めの楽曲や、リフが印象に残る曲が候補になるだろう。とはいえ、この作品の価値は単曲のヒット性より、アルバム単位でのまとまりにある。曲ごとの切り替えと全体の流れが噛み合うことで、バンドの輪郭が見えてくるタイプの一枚といえる。
パッケージ面とコレクション性
本作はゲートフォールド・ジャケット仕様で、物理メディアとしての存在感もはっきりしている。さらに250枚限定、うち最初の100枚はナンバリングとサイン入りという案内があるため、通常流通盤というより、作品そのものを手元に置く楽しみを強く意識したリリースだ。2020年のオリジナル盤としての位置づけに加え、こうした限定仕様が作品の印象を補強している。
北欧プログレの流れの中では、音だけでなく装丁や盤面の扱いも含めて作品世界を作るケースが少なくない。『Outside』もその一つとして、音楽性とパッケージ性が並走するタイトルとして記憶されやすいだろう。Matterhornというバンド名、トロンハイムという出自、Apollon Records: PROGというレーベル、そして限定盤の仕様まで含めると、2020年の北欧ロックの一断面を示す作品として見えてくる。
トラックリスト
- A1 Outside
- A2 Aura Noire
- A3 Bruit Blanc
- A4 Aorta
- B1 Last Page
- B2 Oceana
- B3 Silhouette
- B4 Døden Og Meg