Dim Gray - Shards (2025)
Dim Gray『Shards』について
ノルウェー・オスロ出身のアートロック・トリオ、Dim Grayによる『Shards』は、2025年に登場した作品だ。編成はHåkon Høiberg(guitars, vocals)、Oskar Holldorff(vocals, keyboards)、Tom Ian Klungland(drums, vocals)の3人。ギター、キーボード、ドラムを軸にしながら、それぞれが歌も担う形で、バンド全体の音の重なりをつくっている。レーベルは自社レーベルのDim Gray Records、カタログ番号はGDR018。国表記もノルウェーとなっており、地域性をそのまま作品の骨格にしている印象のある一枚だ。
ジャンル表記はRock、Folk, World, & Country、スタイルはArt Rock、Symphonic Rock、Folk Rock、Prog Rock、Ethereal。こうした並びからも、単純なロック作品というより、構成の練り込みや楽器のレイヤー、声の配置に重きを置いたアルバムであることが見えてくる。Dim Grayは、派手な即効性よりも、楽曲の流れや音の積層で聴かせるタイプのバンドとして捉えると分かりやすい。
バンドの成り立ちと『Shards』の位置づけ
Dim Grayはオスロを拠点にするアートロック・トリオで、各メンバーが演奏とボーカルに関わるのが特徴だ。3人編成でありながら、音の隙間をそのまま残すのではなく、鍵盤、ギター、ドラム、それぞれの役割を細かく重ねていく作りが想像しやすい。『Shards』は2025年の作品として、その時点でのバンドの現在地を示すものになる。
バンド名義の活動情報や外部発信も含めて、作品単体だけでなく、バンドとしての表現を持続させている様子がうかがえる。アートロック、シンフォニックロック、プログレッシブ・ロックといった系譜に置かれつつも、フォークやエセリアルの要素が並ぶことで、北欧のバンドらしい冷たさだけに寄らない広がりも感じさせる。
音の印象
『Shards』は、曲ごとの輪郭をはっきりさせながら、全体では連続した流れを保つタイプの作品として受け取れる。ギターは前面に出る場面があっても、単独で押し切るというより、キーボードやコーラスと絡みながら展開を作る方向。ドラムもビートを刻むだけではなく、曲の呼吸を調整する役回りとして機能している。
ボーカルについては、ひとりの主唱に固定されるというより、複数の声が層になる設計が目を引く。アートロックやプログレッシブ・ロックの文脈では珍しくないやり方だが、Dim Grayではその重なりが曲の構造そのものに関わっている印象がある。歌メロを追う楽しさと、音の配置を眺める楽しさが並立する作りだ。
注目したいポイント
この作品でまず注目したいのは、サウンドの密度だ。シンフォニックロック的な広がりを持ちながら、ただ厚く鳴らすのではなく、音の出入りを丁寧に組み立てているように聴こえる。大きく盛り上がる部分と、余白を残した部分の切り替えが、楽曲の印象を決めている。こうした設計は、同時代のプログレッシブ・ロックや北欧のアートロック作品と比較したときにも、十分に存在感を持つはずだ。
もうひとつは、フォーク的な感触が前に出る場面。ジャンル表記にFolk Rockが含まれている通り、単に装飾としての民謡風味ではなく、旋律や展開の運びにその要素が入り込んでいる可能性が高い。そこにエセリアルな響きが重なることで、輪郭のはっきりしたロックでありながら、どこか遠景を見ているような感触が生まれる。北欧のバンドで、こうした透明感と構築性を両立させる例としては、同系統のリスナーに自然に参照されやすいだろう。
まとめ
『Shards』は、オスロの3人組Dim Grayが2025年に提示したアートロック作品として、バンドの編成と志向がそのまま音に表れた一枚だ。ロックを土台にしながら、シンフォニックな展開、プログレッシブな構成、フォーク由来の旋律感、そして浮遊感のある質感が並ぶ。派手な売り文句より、曲の作りと演奏の積み上げで聴かせるタイプの作品として捉えるのが自然だろう。
Dim Grayというバンド名義の現在形を知るうえで、『Shards』はひとつの基準点になりそうだ。3人それぞれが歌い、演奏し、曲の中で役割を変えながら進むこの作品は、アートロックや北欧プログレの流れに関心がある人にとって、バンドの輪郭を確認しやすい内容になっている。
トラックリスト
- A1 Defiance
- A2 Myopia
- A3 Murals
- A4 Feathers
- A5 Mooneater
- B1 Peril
- B2 Little One
- B3 Shards From A Broken Crown
- B4 Attakulla
動画
- Defiance
- Myopia (feat. Vaarin)
- Murals
- Feathers
- Mooneater
- Peril
- Little One
- Shards From A Broken Crown
- Attakulla