Jade Warrior - Released (1971)
Jade Warrior『Released』(1971) — 端正さと攻めの両方を持つ2作目
Jade Warriorは、1970年に結成されたイギリスのプログレッシブ・ロック・バンドで、中心となったのはJon Field、Tony Duhig、Glyn Havardの3人。1971年に発表された『Released』は、その2作目にあたるスタジオ・アルバムで、前作で見せた民族音楽的な色合いよりも、よりロック色の強い進行でまとまった作品として位置づけられている。VertigoレーベルからのUS盤で、同レーベルが当時強く打ち出していたプログレッシブ・ロックの潮流の中に置くと、かなり自然に理解しやすい1枚でもある。
レーベルはVertigo、型番はVEL-1009。1971年のUS導入期に出た盤で、いわゆる初期Vertigoらしい時代感を持つ。Vertigoは当時、ジャケットやレーベル・デザインの印象も強く、プログレ系の作品を集中的に押し出していたことで知られるが、この『Released』もその文脈の中で捉えると輪郭がはっきりする。Jade Warriorは英国のバンドだが、ここでの盤はUSリリースとして流通したものになる。
作品の位置づけ
『Released』は、Jade Warriorの初期像を知るうえで重要な2作目。バンドのプロフィールにある通り、彼らはのちにより広い音楽的要素を取り込んでいくが、このアルバムではまだ1971年の英国プログレらしい構成美が前面に出ている。曲ごとの緩急、静と動の切り替え、アコースティックな手触りとバンド演奏の押し出しが同居するあたりがポイントで、同時代のプログレの中でも比較的、楽曲単位のまとまりが見えやすいタイプの作品だといえる。
同時代のバンドでいうと、King Crimsonの緊張感や、Jethro Tullのフォーク寄りの組み立て、あるいはGentle Giantの細かなアレンジと並べて語られやすい領域にいる。ただしJade Warriorは、派手な技巧を前面に出すよりも、曲の流れそのものを追わせる作りが目立つ。そこがこのアルバムの聴きどころでもある。
収録曲の流れと聴きどころ
冒頭の「Three-Horned Dragon King」は、このアルバムの中でも押し出しの強い楽曲。タイトルから受ける印象どおり、リフ主体で進むロック曲として立ち上がり、アルバムの方向性を最初に示してくれる。演奏は鋭く、装飾を増やしすぎないぶん、バンドの骨格が見えやすい。プログレ作品でありながら、まずバンド・サウンドとして耳に入ってくるところが面白い。
「We Have Reason To Believe」も、同じく直線的な推進力を持つ曲として印象に残る。派手に展開を重ねるタイプではないが、リズムの置き方とフレーズの積み重ねで引っ張る構成になっていて、アルバムの“ロック寄り”という性格をよく表している。前作からの変化を感じ取りやすい場面でもあり、Jade Warriorがこの時点で単なる雰囲気重視のバンドではなかったことがわかる。
一方で、「Bride Of Summer」や「Yellow Eyes」では、曲の温度が少し下がり、穏やかな歌ものとしての側面が見えてくる。ここでは旋律の運びが素直で、バンドの中にある抒情性が前に出る。強いリフの曲があるからこそ、この静かな曲がより際立つ構成で、アルバム全体の起伏を作る役割も果たしている。
「Water Curtain Cave」は、ジャズ的な感触を含んだインストゥルメンタルとして耳を引く。リズムや音の間合いに少し余白があり、歌もの中心の流れの中で空気を変える役割がある。単なるつなぎではなく、バンドが持つ演奏面の柔らかさを見せる場面として機能している。
終盤の「Barazinbar」は、ブラスを含む長めのジャムとしてアルバムの締めに置かれている。展開を大きく見せるというより、音の層を増やしていくタイプのまとめ方で、ここでもJade Warriorの作曲姿勢がよく出ている。曲単位で性格がはっきりしているため、アルバム全体としても散漫になりにくい。
聴きどころの整理
- 前作よりロック色が前に出た2作目
- 強いリフの曲と静かな歌ものの対比
- インストゥルメンタルで見える演奏の余白
- 1971年Vertigo期らしいプログレ作品としての存在感
『Released』は、Jade Warriorの初期を代表する1枚として見られることが多いアルバムだが、そこには“代表作らしさ”だけでなく、バンドがどの方向へ進む前段階にいたのか、という記録性もある。曲ごとの性格がはっきりしていて、ロック、バラード、インストゥルメンタルが無理なく並ぶ構成。1971年という時代のプログレ作品として見ても、過剰に飾らず、演奏と曲の流れで聴かせるタイプのアルバムだと受け取れる。
トラックリスト
- A1 Three-Horned Dragon King 6:09
- A2 Eyes On You 3:05
- A3 Bride Of Summer 3:19
- A4 Water Curtain Cave 6:28
- A5 Minnamoto's Dream 5:30
- B1 We Have Reason To Believe 3:50
- B2 Barazinbar 15:00
- B3 Yellow Eyes 2:51
動画
- Three Horned Dragon King (2022 Remaster)
- Eyes On You (2022 Remaster)
- Bride Of Summer (2022 Remaster)
- Curtain Cave (2022 Remaster)
- Minnamoto's Dream (2022 Remaster)
- We Have Reason To Believe (2022 Remaster)
- Barazinbar (2022 Remaster)
- Yellow Eyes (2022 Remaster)