Neal Morse - Sola Gratia (2020)
Neal Morse 2020

Neal Morse - Sola Gratia (2020)

Rock Prog Rock

Neal Morse『Sola Gratia』について

Neal Morseの『Sola Gratia』は、2020年にオリジナル作品として登場したプログレッシブ・ロック作品。アメリカのマルチ・インストゥルメンタリストであり、Spock’s Beardの元ヴォーカル/キーボード奏者としても知られるNeal Morseが、自身の作家性を前面に出したアルバムのひとつにあたる。リリースはヨーロッパ盤で、Inside Out Musicからの発表。ゲートフォールド仕様のLPとしても展開されている。プログ・ロックの文脈では、彼の長年のソングライティングと組曲的な構成感をあらためて確認できる一作という位置づけだろう。

Neal Morseは、Spock’s Beard、TransAtlantic、Flying Colorsといったバンド活動で知られる一方、ソロではより個人的なテーマや物語性を持つ作品を継続して発表してきた。この『Sola Gratia』も、その流れの中で捉えやすいアルバム。大作志向の構成、演奏パートの切り替え、合唱的な厚みを持つアレンジなど、彼の作品でおなじみの要素がしっかり置かれている。派手さだけで押すのではなく、曲ごとの展開と全体の流れで聴かせる作りになっているのが特徴的だ。

作品全体の印象

このアルバムは、プログ・ロックらしい変拍子や組曲的な展開を備えつつ、歌を軸にした聴きやすさも持っている。Neal Morseの作品は、YesやGenesis、Kansasといったクラシック・プログレの系譜と比較されることが多いが、『Sola Gratia』でもその親和性は感じやすい。いっぽうで、単なる懐古に寄らず、現代の制作で整理された音像にまとめられているため、長尺曲でも輪郭が見えやすい。演奏の密度は高いが、音の詰め込み方には一定の見通しがある。

聴き進めると、静かな導入から大きく展開する場面、コーラスが重なる場面、ソロで押し出す場面が順に現れ、アルバム全体がひとつの流れとして組み立てられていることがわかる。Neal Morseのソロ作らしく、技巧の誇示よりも構成の運びが前に出るタイプ。曲単位で切り分けて聴くより、作品全体を通して聴いたときに輪郭が見えやすい作りだ。

注目曲: タイトル曲「Sola Gratia」

タイトル曲は、この作品の核といえる位置づけ。アルバムの主題を背負うだけあって、導入部から中盤、終盤へと場面が切り替わる構成がはっきりしている。静と動の差をつけながら進み、ヴォーカルとキーボードが曲の中心を保つ流れ。Neal Morseの楽曲でよく見られる、メロディを軸にしつつ長い展開を成立させる手つきがよく出ている。

この曲では、バンド演奏のまとまりも重要だ。各パートが前に出すぎず、それでも必要な場面ではしっかり押し出す。そのバランスによって、長さを感じさせにくい構成になっている。プログ・ロックの大曲にある、テーマ提示と展開、再提示という流れを素直に楽しめる1曲だろう。

注目曲: 組曲的な展開を担う楽曲群

『Sola Gratia』では、単独のヒット曲を前面に出すよりも、複数の長めの楽曲がアルバムの推進力になっている。こうした作りは、Neal Morseのソロ作品やTransAtlanticで培われた大曲志向とつながっている。ひとつのリフや旋律を繰り返すだけでなく、途中で空気を変えながら曲を進めるため、聴きどころが細かく散らばっている印象だ。

特に中盤以降は、メロディの運びとアンサンブルの厚みが両立していて、バンド全体で押し上げる感触が強い。派手な一発より、展開の積み重ねで印象を残すタイプなので、繰り返し聴くほど構造が見えやすい。プログ・ロックらしい聴き方に向いた作品といえる。

Neal Morseのキャリアの中で

Neal Morseにとって『Sola Gratia』は、ソロ活動で続けてきた大作路線をさらに整理した作品として見ることができる。Spock’s Beard時代から続くプログ・ロックの文法を土台にしながら、ソロではより自分の色を強く出せるのが彼の持ち味だが、このアルバムでもその点は変わらない。バンド名義の作品よりも、作家としての設計が見えやすいのが面白いところだ。

同時代のプログ・ロック作品と比べると、演奏の派手さだけでなく、歌と構成の両方をきちんと組み上げる姿勢がはっきりしている。Inside Out Musicからのリリースという点も、現代プログ・ロックの主要な発信地のひとつに置かれる作品として自然だ。2020年のNeal Morseを知るうえでも、彼のソロ・カタログを追ううえでも、重要な一枚として位置づけられるアルバムだろう。

トラックリスト

  1. A1 Preface
  2. A2 Overture
  3. A3 In The Name Of The Lord
  4. A4 Ballyhoo (The Chosen Ones)
  5. A5 March Of The Pharisees
  6. B1 Building A Wall
  7. B2 Sola Intermezzo
  8. B3 Overflow
  9. B4 Warmer Than The Sunshine
  10. C1 Never Change
  11. C2 Seemingly Sincere
  12. D1 The Light On The Road To Damascus
  13. D2 The Glory Of The Lord
  14. D3 Now I Can See / The Great Commission
  15. CD-1 Preface
  16. CD-2 Overture
  17. CD-3 In The Name Of The Lord
  18. CD-4 Ballyhoo (The Chosen Ones)
  19. CD-5 March Of The Pharisees
  20. CD-6 Building A Wall
  21. CD-7 Sola Intermezzo
  22. CD-8 Overflow
  23. CD-9 Warmer Than The Sunshine
  24. CD-10 Never Change
  25. CD-11 Seemingly Sincere
  26. CD-12 The Light On The Road To Damascus
  27. CD-13 The Glory Of The Lord
  28. CD-14 Now I Cann See / The Great Commission

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