Vennart - Forgiveness & The Grain (2024)
Vennart 2024

Vennart - Forgiveness & The Grain (2024)

Rock Prog Rock

Vennart『Forgiveness & The Grain』について

Vennartの『Forgiveness & The Grain』は、2024年にリリースされた作品で、UK発のセルフリリース盤として出回った一枚。アーティスト名義はVennartだが、中心にいるのは英出身のギタリスト/シンガー、Mike Vennartである。Oceansizeの元メンバーとして知られ、現在はBritish Theatreの一員でもあり、Biffy Clyroのライヴ・ギタリストとしても活動している人物だ。Vennart名義のプロジェクトは、そうした本体の活動とは別に、より個人的なスケールで彼の作曲性を前面に出す場として機能してきた。

本作もその延長線上にある一枚と見てよさそうだ。レーベル表記はNot On Label (Vennart Self-released)、販売形態もアーティストのウェブページ限定。1st EditionのZebra Stripe Vinylで、300枚限定、さらに大判の6面折りポスター付きという仕様になっている。作品そのものだけでなく、物としての存在感まで含めて設計されたリリースだと言える。

Vennartという名義の位置づけ

Mike Vennartの名前は、まずOceansizeの存在と結びつく。あのバンドで培われた、緻密な構成と音の密度を保ちながらも、ただ硬質に寄せるだけではない楽曲感覚は、Vennart名義でも引き継がれている。さらにBritish TheatreやBiffy Clyro周辺での活動を踏まえると、このプロジェクトは単なるソロ作品というより、彼の作曲の核を別の器に収めたものとして見えてくる。

『Forgiveness & The Grain』は、そうしたキャリアの蓄積が自然に反映されたタイトルに思える。大きな編成やバンドの相互作用ではなく、Mike Vennart本人の視点が前に出るぶん、曲の組み立てやギターのフレーズ、歌の置き方に耳が行きやすい。派手な宣言よりも、細部の積み重ねで聴かせるタイプの作品という印象を持ちやすいだろう。

音の輪郭と聴きどころ

ジャンル表記はRock、スタイルはProg Rockとなっている。ここでのプログレッシブさは、いわゆる長尺志向だけに寄ったものではなく、展開の運びやリズムの切り替え、フレーズの組み合わせ方に表れているはずだ。Mike Vennartの作風をたどると、メロディを流しっぱなしにせず、途中で角度を変えながら曲を前へ進める書き方が特徴として浮かぶ。

また、Vennart名義の作品は、硬いギターの質感と、歌が持つ抑制された感情のバランスが見どころになりやすい。音数で押し切るのではなく、空間の取り方で緊張感を作る場面が印象に残るタイプだ。実際に聴くと、演奏の密度が高いのに、必要以上に圧迫してこない。このあたりはOceansizeを知る人なら、関連性を感じ取りやすい部分だろう。

作品としての手触り

本作は、限定300枚という少数プレスのアナログ盤として出た点も含めて、作品の性格がはっきりしている。大量流通のためのタイトルではなく、アーティスト本人の導線で直接届けるタイプのリリースだ。大判ポスター付きという点も、単なる付属品以上に、作品世界を視覚面から補強する役割を持っているように見える。

オリジナルの2024年盤としては、Vennartという名義の現在地を示す記録でもある。Oceansize以降の流れを追っている人にとっては、Mike Vennartがいま何を重視して曲を書くのか、その輪郭をつかみやすい一枚になっている。バンドの集団性よりも、個人の作曲手つきが前景化した作品として、彼のディスコグラフィの中でも位置づけが明確だ。

まとめ

『Forgiveness & The Grain』は、Mike Vennartの作家性を端的に示すVennart名義の2024年作。UKでセルフリリースされ、限定アナログとして流通したことも含めて、作品の性格がよく表れている。Oceansize以来の文脈を背負いながらも、今の彼自身の手元で鳴っている音として捉えやすいタイトルだ。

トラックリスト

  1. A1 Chapter X : Whereupon I Immediately Did Nothing 3:14
  2. A2 3 Syllables 4:16
  3. A3 Luminous Target 4:07
  4. A4 R U The Future?? 4:40
  5. A5 Fractal 5:30
  6. B1 Casino 3:58
  7. B2 The Japanese No 6:45
  8. B3 Seventy Six 9:32
Share
記事一覧に戻る

あわせて聴きたい "Prog Rock"

toast