The Velvet Underground & Nico - The Velvet Underground & Nico (1967)
The Velvet Underground 1967

The Velvet Underground & Nico - The Velvet Underground & Nico (1967)

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The Velvet Underground & Nico『The Velvet Underground & Nico』(1967)レビュー

The Velvet Underground & Nicoのデビュー作『The Velvet Underground & Nico』は、1967年にUSのVerve Recordsから発売されたアルバムで、ロック史の中でも特別な位置を占める作品だ。ニューヨークのアンダーグラウンド・シーンと、アンディ・ウォーホル周辺のアート感覚がそのまま記録されたような内容で、当時の商業ロックとはかなり違う空気を持っている。ガレージロック、実験性、アートロックというタグが並ぶが、実際の聴感としても、整ったバンド・サウンドというより、緊張感のある反復、乾いた演奏、そして言葉の強さが前面に出た一枚という印象が強い。

この作品は、The Velvet Undergroundにとって出発点であり、同時にバンドの方向性をはっきり示したアルバムでもある。ルー・リードの直接的な歌詞、ジョン・ケイルの電気ヴィオラ、スターリング・モリソンのギター、モーリン・タッカーの最小限のドラムがぶつかり合い、ニコの低く冷たい歌声が数曲で加わることで、独特の距離感が生まれている。プロデューサー名義にはアンディ・ウォーホルが置かれているが、実務面ではトム・ウィルソンが制作を担ったとされる。ニューヨーク録音とロサンゼルス録音が混在しており、作品全体に都市のざらつきが残っている。

当時の反応と作品の立ち位置

発売当時は大きな商業的成功にはつながらず、Billboard 200でも上位には入っていない。だが、のちの評価は非常に高く、パンクやノーウェイヴ、オルタナティブ・ロックにまで広く影響を与えた作品として語られている。1960年代のロックがサイケデリックやブルース志向を広げていく中で、このアルバムは別の方向、つまり都市の現実、反復、冷たさ、そして日常の陰影に向かった作品として見られることが多い。1967年という年の中でも、かなり異質な存在感だ。

また、ジャケットの存在もこの作品を語るうえで外せない。表面のバナナのデザインはウォーホル作品として有名だが、初期プレスでは背面にエリック・エマーソンの映像が逆さまに投影された写真が使われていた。その後、権利問題による回収と修正が入り、黒いステッカーで隠した版、さらにエアブラシで消した版へと変化していく。USオリジナルの中でも、こうした違いはコレクターがよく確認する部分だ。今回のWest Coast pressingでは、ラベル表記が「Side 1 / Side 2」ではなく「A / B」になっている点も特徴で、ジャケット左上に小さな平行の黒線が入る仕様も見られる。

「Sunday Morning」

冒頭を飾る「Sunday Morning」は、このアルバムの中では比較的耳当たりがやわらかい曲だが、単なる穏やかな導入では終わらない。ベルのような音色と反復するフレーズが続き、ルー・リードの歌唱も感情を押し出しすぎない。そのぶん、歌詞に潜む不安や孤独がじわじわ残る構造になっている。アルバム全体の緊張感を最初に整える役割を持つ曲と言えそうだ。

「I’m Waiting for the Man」

「I’m Waiting for the Man」は、The Velvet Undergroundを代表する一曲としてよく挙げられる。都市の路上での待ち時間を描いたような内容で、リズムは前へ進むが、演奏はどこか乾いている。ブルースの形式を下敷きにしつつ、語り口はかなり直接的で、当時のロックとしてはかなり踏み込んだ題材だ。ライブ感のある反復と、ルー・リードの平板にも聞こえるボーカルが、場面の生々しさを支えている。

「Femme Fatale」「All Tomorrow’s Parties」「I’ll Be Your Mirror」

ニコが参加する3曲は、アルバムの中でも輪郭がはっきりしている。「Femme Fatale」は、他の曲よりも整ったポップ感がありつつ、歌声の硬さが印象を残す。「All Tomorrow’s Parties」は、反復するピアノとストイックなリズムの上で進み、華やかなはずの題材がむしろ無機質に響く。「I’ll Be Your Mirror」は、短く素直な構成の中に、この作品の中では珍しい親密さがある。ニコの参加曲が入ることで、アルバムは単色になりすぎず、別の温度を保っている。

「Heroin」「European Son」

後半で存在感が大きいのが「Heroin」だ。テンポの揺れが曲の構造そのものになっていて、静かな始まりから音の密度が上がっていく流れがはっきりしている。題材の重さもあって、聴感としてはかなり引き締まる。ここでは、演奏のうまさや派手さより、反復の中で緊張を積み上げる方法が前に出ている。

終盤の「European Son」は、アルバムの中でも特に実験色が強い。前半の歌ものから一転して、ノイズや即興的な展開が目立ち、バンドの別の側面が出てくる。デビュー作の締めくくりとしてはかなり極端で、以後のThe Velvet Undergroundが単なる歌ものバンドではないことを示す配置になっている。

まとめ

『The Velvet Underground & Nico』は、発売当時のヒット作というより、後から影響力が大きく評価された作品として知られる。Verve RecordsからのUS初回盤には、ラベル表記や背面写真の違いなど、細かな仕様差も多い。内容面では、ルー・リードの言葉、ジョン・ケイルの実験的な音、モーリン・タッカーの簡潔なドラム、ニコの参加曲が、1967年のロックの枠を少し外したところで噛み合っている。派手な展開よりも、都市の空気、反復、冷えた手触りが残る一枚だ。

トラックリスト

  1. A1 Sunday Morning 2:53
  2. A2 I'm Waiting For The Man 4:37
  3. A3 Femme Fatale 2:35
  4. A4 Venus In Furs 5:07
  5. A5 Run, Run, Run 4:18
  6. A6 All Tomorrow's Parties 5:55
  7. B1 Heroin 7:05
  8. B2 There She Goes Again 2:30
  9. B3 I'll Be Your Mirror 2:01
  10. B4 Black Angel's Death Song 3:10
  11. B5 European Son To Delmore Schwartz 7:40

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