True Myth - True Myth (1979)
True Myth『True Myth』について
True Mythは、カナダ・オンタリオ州ロンドンで結成されたバンドで、1979年にセルフタイトルのデビュー作『True Myth』を発表している。音楽学校Fanshawe Collegeの授業プロジェクトを母体にしたグループで、中心人物はキーボードのTom Treumuth。メンバーにはSteve McKenna、Tony Cook、Kirk Devereux、Bob Stirajs、Malcolm McGuiganが名を連ねる。
このアルバムは、カナダのアーティストによる最初期のデジタル録音LPとして知られている。制作には、1970年代後半にデジタル音声の実験で知られたSoundstreamの機材が使われたという。カナダ国内での録音技術の文脈でも、かなり早い位置にある作品といえる。
作品の位置づけ
『True Myth』は、バンドの初作であり、Tom Treumuthがワーナー・ブラザーズ・レコードとの契約をまとめるきっかけにもなった作品。学校の課題から始まったプロジェクトが、レーベル契約を経てアルバムとして形になった流れが見える。
1979年という時期は、プログレッシブ・ロックが大きな転換期を迎えていた頃でもある。70年代前半の大型構成や長尺志向とは少し距離を取りつつ、キーボード主体のアレンジや緻密な演奏を軸にした作品が多く出ていた時代で、このアルバムもその文脈の中で語られることが多い。
サウンドと聴きどころ
実際に聴くと、まずキーボードの存在感がはっきりしている。Tom Treumuthの鍵盤を中心に、バンド全体で細かく音を積み上げる作りで、ロックの骨格の上に多層的なアレンジを置いたタイプの作品として受け取れる。演奏はタイトで、楽器ごとの役割が比較的見えやすい。
プログレッシブ・ロックの作品らしく、曲の展開には切り替わりがあり、リズムや和声の動きも単調にはならない。派手なヒット曲を前面に出すタイプというより、アルバム全体を通して構成を追う楽しさがある。
同時代との関係
カナダのロック/プログレ系の流れで見ると、同時代のRushのようなテクニカルなバンド、あるいはキーボードを軸にしたAOR寄りの作品とも接点が見えてくる。とはいえ、True Mythは学校発のバンドという成り立ちもあって、プロジェクト性の強さがある点が特徴的だ。
また、デジタル録音の初期例としての側面も重要で、音作りや記録技術の面から見ても、1979年のカナダ産ロックとしては珍しい立ち位置にある。
代表曲について
このアルバムには、広く定番化した大ヒット曲として語られる曲は見当たらない。作品全体のまとまりや、当時としては先進的だった録音方法そのものが印象点になりやすいアルバムといえる。
まとめ
『True Myth』は、カナダの音楽学校から生まれたバンドが、1979年に残したデビュー作。プログレッシブ・ロックの文脈にありながら、初期デジタル録音という技術面の話題も持つ、少し特殊な存在だ。バンドの出自、録音技術、キーボード主体のアンサンブル、そのあたりがこの作品の輪郭になっている。
トラックリスト
- A1 Reach For The Heavens (6:06)
- A2 Light Years Before (6:05)
- A3 It's Got To Be (3:13)
- B1 Time And Time Again (4:45)
- B2 Space Promenade (4:28)
- B3 In The Mist (4:56)
- B4 Song Of The World (4:21)