Vinyl Record Reviews
Boston(ボストン)は、1976年にアメリカ・マサチューセッツ州ボストンで結成されたハード・ロック/アリーナ・ロック・バンドだ。中心人物は、MIT出身のエンジニアでありマルチ奏者・発明家のTom Scholz(トム・ショルツ)と、卓越したハイトーン・ヴォーカルで知られるBrad Delp(ブラッド・デルプ、1951–2007)。デビュー作『Boston』は全米で1,700万枚以上(全米レコード協会17×プラチナ認定)を売り上げ、史上最も売れたデビュー・アルバムの一つとしてロック史に不滅の足跡を刻んだ。
Bostonの出発点は、Tom Scholzが自宅地下室の自作スタジオで制作したデモテープにある。彼はポラロイド社のエンジニアとして働きながら、ギター、ベース、オルガンなどを自ら多重録音していった。そこにBrad Delpの圧倒的なヴォーカルが加わり、エピック・レコードとの契約につながった。
ライヴ活動のためにBarry Goudreau、Fran Sheehan、Sib Hashianらが加わったが、スタジオ録音の大部分はScholzの手作業によるものだった。アルバムには「No Synthesizers Used」「No Computers Used」と誇らしげに記され、アナログ機材と緻密なギターのレイヤーによって分厚くスペイシーな音像を生み出した。
Bostonのサウンドは、重層的に重ねられたギターの分厚いハーモニーと、伸びやかなハイトーン・ヴォーカルが最大の武器だ。ハード・ロックのドライブ感と、計算し尽くされたポップな旋律が見事に同居している。
Tom Scholzは理想のギター・トーンを追求する中でヘッドホン・アンプ/エフェクター「Rockman(ロックマン)」を開発し、Scholz Research & Developmentを設立。このコンプレッションの効いた伸びやかなサスティーンとコーラスの音色は、80年代のデフ・レパードをはじめとする無数のハードロック/ポップス作品で使用され、時代のサウンドを決定づけた。
オリジナル期のBrad Delp、Barry Goudreau、Fran Sheehan、Sib Hashianらに加え、その後もFran Cosmo、Michael Sweet、Tommy DeCarloなどが参加してきた。2007年にBrad Delpが逝去する悲劇に見舞われたが、現在もTom Scholzを中心に活動を継続している。