Vinyl Record Reviews
Herman's Hermitsは、1964年にマンチェスターで結成されたイングランドのビート・ロック・バンドだ。結成当初は「Herman & the Hermits」と名乗っていた。マネージャーのHarvey Lisbergが彼らを見つけ、Mickie Mostを呼び込んでレコード制作を任せたことで、活動の方向性が固まっていく。
バンドの売り方はかなり明確で、清潔感のある、親しみやすいイメージが前面に出されていた。Mickie Mostはその路線を押し進め、Herman's Hermitsは1960年代半ばのヒットバンドとして大きく存在感を示した。
最初の大きな成功は、Earl-Jeanのカバー「I'm into Something Good」だ。1964年後半に全英シングルチャートで1位、全米では13位を記録した。その後、イギリスでの首位獲得は続かなかったが、アメリカではヒットを重ねていく。
特に知られているのが「Mrs. Brown, You've Got a Lovely Daughter」と「I'm Henry the Eighth, I Am」で、どちらも全米Billboard Hot 100で1位を記録している。これらはアメリカのファンを強く意識した楽曲で、ボーカルのPeter Nooneがマンチェスター訛りを強めて歌う作りも印象に残る。
1965年にはアメリカでの人気が頂点に達し、Billboard誌の年間ランキングでその年の米国トップ・シングル・アクトに選ばれている。この年の2位はThe Beatlesだった。ブリティッシュ・インヴェイジョン期のアメリカ市場で、Herman's Hermitsがかなり強い勢いを持っていたことが分かる。
1967年の「There's a Kind of Hush」は、全英7位、全米4位を記録した。アメリカでの最後のトップ10ヒットとしても扱われている。原曲はNew Vaudeville Bandによる録音が先にあり、Herman's Hermits版は広い地域でヒットした。
1960年代後半もイギリスではトップ10ヒットを持ち続けたが、アメリカでの勢いは1967年以降ゆるやかになる。1971年にPeter Nooneが脱退し、1973年には再結成してアメリカのブリティッシュ・インヴェイジョン・ツアーのヘッドライナーを務めた。その後も編成を変えながら活動を続け、現在もツアーを行っている。オリジナル・メンバーではBarry Whitwamだけが残っている。
基本の軸はビート・ロックとポップ・ロックだ。そこにサイケデリック・ロックの要素も含まれるが、バンド全体の印象は、複雑な演奏を前に出すタイプというより、短い曲を分かりやすく届ける形に寄っている。
プロデューサーのMickie Mostは、シンプルで攻撃的すぎない音像を作り、Herman's Hermitsのイメージを統一した。演奏や歌唱の見せ方も含めて、アメリカ市場向けにかなり設計されたバンドだったことがうかがえる。
Peter Nooneの歌い方も重要だ。マンチェスター訛りを強めた発声は、アメリカ向けのキャラクター作りとして機能していた。音楽性そのものと、見た目や話し方まで含めたブランディングが結びついていた点が、このバンドの特徴だ。
Herman's Hermitsは、音楽活動だけでなく映像作品にもたびたび登場している。MGMレーベルからアメリカ盤が出ていたこともあり、映画との接点が多かった。
テレビ番組への出演も多く、The Ed Sullivan Show、The Dean Martin Show、The Jackie Gleason Showなどに登場している。60年代のアメリカで人気を広げるうえで、こうした露出が大きな役割を果たしていた。
中心人物として知られるのはPeter Noone、Derek Leckenby、Barry Whitwam、Keith Hopwood、Karl Greenあたりだ。メンバーは時期によって入れ替わりがあり、名前が多いのもこのバンドの特徴だ。
現在の活動でもBarry Whitwamが残っている点は、長く続くバンドとしての歴史をそのまま示している。
Herman's Hermitsは、1960年代のブリティッシュ・インヴェイジョンを代表するバンドの一つとして扱われることが多い。特にアメリカでは、1965年の大ヒットと、その後の連続的なチャート成績がよく知られている。
RIAAでは、Herman's Hermits名義のアメリカ盤LPが5作ゴールド認定を受けている。ベスト盤2作を含む点も、当時のアメリカ市場でどれだけ広く聴かれていたかを示している。
売り方、曲の選び方、歌い方、映像出演まで含めて、60年代のポップ・ロックがどう商品化されていたかを見るうえで、Herman's Hermitsは分かりやすい例だ。派手な技巧よりも、明快なメロディと分かりやすいキャラクターで大きな成功を収めたバンドとして記憶されている。
公式サイトや各種資料を見ても、今なおツアー活動が続いていることが確認できる。60年代のヒット曲を軸にしながら、長く演奏を続けているバンドだ。