Vinyl Record Reviews
Smogは、アメリカのミュージシャン、Bill Callahanが率いた音楽プロジェクトだ。1988年、自主レーベルDisasterからのカセット限定作『Macrame Gunplay』で始動し、そこから長く活動を続けてきた。ジャンルはRockに分類されることが多いが、実際にはAlternative Rock、Folk Rock、Lo-Fiの要素が強く出ている。
初期のSmogは、4トラックレコーダーを使った荒削りな録音が中心だった。手元で録った音をそのまま作品にしていく作り方で、最初期の作品にはホームレコーディングらしい近さがある。1991年にDrag Cityと契約してからも、そのローファイな質感は保たれたまま、曲の輪郭やメロディが少しずつ前に出る方向へ進んでいった。
1995年の『Wild Love』ではJim O'Rourkeがチェロで参加している。以後、O'RourkeはたびたびCallahanの制作に関わるようになる。Smogは初期の一人で進める録音から、少しずつ複数人の演奏やアレンジを取り込む形へ移っていった。
その流れがはっきり見える作品のひとつが、1999年の『Knock Knock』だ。このアルバムは、Chan Marshall(Cat Power)との破局直後に、サウスカロライナからシカゴへ車で移動しながら書かれた曲を中心にしている。Jim O'Rourkeと組んだ10日間のセッションで制作され、複数人での演奏が前に出た内容になっている。Pitchforkが9.7点を付け、Independent紙が「1999年最高のポップアルバム」に選んだことでも知られている。
2001年の『Rain on Lens』からは表記を(Smog)に変えている。2005年の『A River Ain't Too Much to Love』を最後にSmogとしてのプロジェクトは終了し、2007年の『Woke on a Whaleheart』からはBill Callahan名義での活動に移った。
Callahanは、Smogという名前について「よく考えると醜い言葉だと気づいたから」と話している。この発言からも、名前の変更が単なる表記ゆれではなく、本人の意識に沿った区切りだったことが見えてくる。
メンバーとしてはBill Callahanのほか、Ron Burns、Cynthia Dall、Jason Dezemberの名前が挙がっている。Smogは固定バンドというより、Callahanを中心にその時々の参加者が加わる形で展開してきたプロジェクトとして見ておくと整理しやすい。
Smogの入口としては、『Knock Knock』が分かりやすい。ローファイな出発点から、曲の強さや演奏の厚みがどこまで広がったかを追いやすいからだ。初期の手触りを見たいなら『Macrame Gunplay』や、その後のDrag City期の作品をたどると流れがつかみやすい。Bill Callahan名義への移行前後を並べて聴くと、表記の変化だけでなく、制作の考え方の移り変わりも見えてくる。
関連サイトとしては、Drag Cityのアーティストページ、Facebookの