A Flock Of Seagulls - A Flock Of Seagulls (1982)
A Flock Of Seagulls 1982

A Flock Of Seagulls - A Flock Of Seagulls (1982)

Electronic Rock New Wave Synth-pop

A Flock Of Seagulls『A Flock Of Seagulls』(1982)

イギリス・リヴァプール出身のニュー・ウェイヴ・グループ、A Flock Of Seagullsによる1982年のデビュー・アルバム。同名タイトルの本作は、バンドの初期像をそのまま示す1枚で、シンセサイザー主体の編成に、Paul Reynoldsのギターが強く残る作りになっている。ニュー・ウェイヴやシンセポップの流れの中でも、きっちり輪郭の立った音像と、少し冷えた残響感のある録音が印象に残る作品だ。

制作はMike Howlettが担当し、録音はナッソーで行われた。後年の回想では、この独特の空気感は意図だけでなく制作過程の偶然も影響したとされる。そうした背景もあって、単に機械的なシンセ・ポップというより、ギターの鋭さと空間処理の組み合わせが前に出ている。A Flock Of Seagullsという名前自体は、Stranglersの「Toiler on the Sea」の一節に由来するというエピソードも知られている。

アルバムの位置づけ

この作品は、バンドにとって最初の長編アルバムであり、のちに最大の成功作として語られることが多い。1981年の自主EPで注目を集めた後、Jiveへ移って制作された流れで、初期のライブ現場で育った楽曲が土台になっている。「Telecommunication」など、アルバム以前から知られていた曲を含みながら、バンドの色をまとめて提示した内容だ。

発売当時は英国よりも米国で強く受け止められ、Billboard 200では最高10位を記録した。英国ではアルバム・チャート最高32位。シングル「I Ran (So Far Away)」のヒットが作品全体の認知を大きく押し上げた形で、この曲は今もグループを代表する1曲として扱われている。

収録曲と聴きどころ

代表曲の「I Ran (So Far Away)」は、イントロのシンセの動きとリズムの押し出しがはっきりしていて、80年代初頭のラジオ向けニュー・ウェイヴの典型のように機能している。派手さだけでなく、メロディの流れがわかりやすいので、当時のポップ・チャートに入った理由も見えやすい。「Space Age Love Song」も同様に、シンセの反復とギターの刻みが噛み合う曲で、アルバム後半を引き締める。

一方で「D.N.A.」はインストゥルメンタルとして存在感があり、のちに1983年のグラミー賞で最優秀ロック器楽演奏を受賞した。アルバムの中では、歌もの中心の流れに少し別の角度を与える曲になっている。「Modern Love Is Automatic」や「Telecommunication」も、バンド初期のクラブ感覚を残した曲として耳に残る。

US盤としての特徴

このUS盤は、リリース国がアメリカで、レーベルはJiveのVA 33003。表記上は1982年の盤で、オリジナルの時代感をそのまま持つ。なお、US/Canada盤では「Tokyo」が収録から外れている点が特徴で、同じ作品でも地域による構成の違いがある。製造・流通はArista Records, Inc.で、ランアウトにはHauppauge Record Manufacturing Ltd.のプレスを示す痕跡もある。

Jiveレーベルは当時まだ立ち上がりの時期で、このアルバムはその初期カタログの中でも重要な位置を占める。のちにJiveは大きく拡張し、さらに再編を経るが、1982年のこの盤は、まだ新興レーベルらしい勢いと、ニュー・ウェイヴの流れを同時に感じる資料でもある。

同時代とのつながり

同時代のシンセポップやニュー・ウェイヴと比べると、A Flock Of Seagullsはシンセの明快さだけでなく、ギターの処理で独自の輪郭を作っている。Duran Duranのような華やかなポップ性とも、Depeche Modeのよりミニマルな方向とも少し違い、空間の広さを含んだ音作りが中心にある。1980年代前半の英国バンドが米国市場で広く受け入れられていく流れの中で、本作はそのひとつの成功例として見やすい。

結果としてこのデビュー作は、単なるヒット・アルバムではなく、A Flock Of Seagullsの基本フォーマットを提示した作品として残っている。シングルの強さ、アルバム全体の統一感、そしてギターとシンセの並び方。その3点がはっきりしている1枚だ。

トラックリスト

  1. A1 I Ran 3:58
  2. A2 Space Age Love Song 3:46
  3. A3 You Can Run 4:28
  4. A4 Don't Ask Me 2:46
  5. A5 Messages 2:51
  6. B1 Telecommunication 2:31
  7. B2 Modern Love Is Automatic 3:49
  8. B3 Standing In The Doorway 4:41
  9. B4 D.N.A. 2:30
  10. B5 Man Made 5:38

動画プレイリスト

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