Funkadelic - Funkadelic (1970)
Funkadelic 1970

Funkadelic - Funkadelic (1970)

Rock Funk / Soul Psychedelic Rock Funk

Funkadelic『Funkadelic』(1970)

Funkadelicのデビュー作『Funkadelic』は、1970年にUSのWestbound Recordsから登場したアルバムだ。のちにP-Funkの中心人物として知られるGeorge Clintonを軸に、当時のソウルやR&Bの土台へ、歪んだギター、長尺の展開、サイケデリックな質感を持ち込んだ作品として位置づけられている。Funkadelicというバンド名そのものが、70年代ファンクの入口を示すような存在感を持っていて、このアルバムはその出発点にあたる。

デトロイトの空気をそのまま押し出した初期像

Funkadelicはアメリカのバンドで、George Clintonが率いたParliament系の流れと深くつながっている。1960年代のパーラメンツ周辺の活動を母体にしつつ、Westboundとの契約後は、よりロック寄りの感触を強めていく。この1作目でも、その方向性はかなりはっきりしている。モータウン的な整ったソウル・サウンドとは距離があり、デトロイトの湿った熱気や、ライブ感の強いバンド演奏が前面に出る作りだ。

録音には当時の周辺ミュージシャンも多く関わっていて、のちに正式メンバーとして重要になるBernie Worrellの存在も、この時期から作品の輪郭に影響していたとされる。ギター、ベース、ドラム、ボーカルが一体になって押し切る場面が多く、スタジオ作品でありながら、演奏現場のざらつきが残っているのが面白いところだ。

聴きどころは「ソウルの崩し方」

このアルバムの核は、ソウルやR&Bの定型をそのままなぞらない点にある。メロディをきれいにまとめるよりも、リズムのうねりやギターのノイズ感を優先していて、曲が進むほどに既存のブラック・ミュージックの枠から少しずつ外れていく。その結果、同時代のSly & the Family StoneやMC5、Jimi Hendrixあたりと並べて語られることが多いのも納得できる。

特にシングル曲「I’ll Bet You」と「I Got a Thing, You Got a Thing, Everybody’s Got a Thing」は、この時点でのFunkadelicの輪郭をつかみやすい。前者は全米ソウル・シングルチャート22位、後者は30位を記録していて、商業的には大ヒット級ではないものの、一定の反応を得た。曲単位で見ると、後年のFunkadelicに通じる反復感と、歌よりも演奏の圧を前に出す作りが見えてくる。

発売当時の受け止められ方と、後年の評価

発売当時は、かなり戸惑いをもって受け止められた作品だったようだ。ロバート・クリストガウがのちに回想しているように、当初は「暗く、遅く、旋律性の薄い音楽」と見なされた面があったという。ただ、その印象こそが重要でもある。60年代ソウルの延長線上にありながら、そこから一歩ずれていく感覚が、この1枚にははっきり残っているからだ。

後年になると、このアルバムは「60年代ソウルと70年代ファンクの分岐点」にある作品として再評価される。Funkadelicの音楽が、単なるファンクの派生ではなく、ロック、サイケデリック、ソウルを混ぜながら独自の文法を作っていく、その最初の確かな一歩として聴かれているわけだ。のちの『Free Your Mind... and Your Ass Will Follow』や『Maggot Brain』へ向かう流れを考えると、このデビュー作は荒削りでありながら、すでに方向性を決めている。

同時代との関係

1970年という年は、ブラック・ミュージックの中でも分岐が進んでいた時期だ。整ったソウル・プロダクションの流れがある一方で、ロックの側から吸収した荒さや自由度を持ち込む動きも強まっていた。Funkadelicはそのなかで、特にギターを前に出した形で独自性を打ち出したグループだった。ジミ・ヘンドリックス、スライ・ストーン、MC5の影響が見えるという指摘も、この作品の聴こえ方と合っている。

また、Funkadelicと兄弟関係にあるParliamentとの後年の展開を思うと、この作品はまだ“宇宙的なP-Funk”の完成形ではない。むしろ、土台づくりの段階で、ソウルを崩し、ロックを取り込み、ファンクを別の場所へ運ぶための実験が始まっている段階だ。そこにあるのは、整った完成度よりも、勢いと試行錯誤の記録である。

オリジナル盤について

今回の盤は1970年のUSオリジナル、Westbound RecordsのWB 2000。リリースノートによると、類似した別版が存在し、この盤は背面ロゴが異なる点があるという。ラベルやマトリクス周辺の違いを含め、初期プレス特有の細かな差異が見られるタイプだ。Westboundはデトロイト発の独立レーベルで、70年代前半にはChess/Janusとの流通契約のもとで展開していた時期でもある。

『Funkadelic』は、のちの大作群に比べるとまだ骨格がむき出しで、演奏の粗さも含めて作品になっている。だが、その粗さがそのまま新しいスタイルの輪郭になっている。Funkadelicの始まりを知るうえで、重要な位置にある1枚だと言える。

トラックリスト

  1. A1 Mommy, What's A Funkadelic? 9:08
  2. A2 I Bet You 6:10
  3. A3 Music For My Mother 6:19
  4. A4 I Got A Thing, You Got A Thing, Everybody's Got A Thing 3:50
  5. B1 Good Old Music 8:01
  6. B2 Qualify & Satisfy 5:16
  7. B3 What Is Soul 8:40

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