Sly & The Family Stone - There's A Riot Goin' On (1971)
Sly & The Family Stone 1971

Sly & The Family Stone - There's A Riot Goin' On (1971)

Funk / Soul Funk Soul Rhythm & Blues

Sly & The Family Stone『There’s A Riot Goin’ On』レビュー

Sly & The Family Stoneの『There’s A Riot Goin’ On』邦題『暴動』は、1971年にUSのEpicから発表されたアルバムで、グループの代表作としてしばしば挙げられる1枚だ。前作までの開放感あるファンクやソウルのイメージをそのまま引き継ぐというより、音の輪郭をあえて曖昧にし、リズムや歌の配置にまで不穏さを持ち込んだ作品として知られている。タイトルだけでも、同時代の空気を強く背負った作品であることが伝わる。社会の緊張、バンド内部の揺らぎ、そうした要素がそのまま録音に滲んでいるアルバムだ。

レーベルはEpic、カタログ番号はKE 30986。今回の盤はテレ・ホート工場プレスのバリエーションとされ、ラベルの組版やランアウト部の表記で判別されるタイプだ。ジャケットはゲートフォールド仕様で、歌詞インサートが付属する。オリジナルの一部には「Epic Undercover」ニュースレター入りの内袋が付く例もあるようだが、盤ごとの差として語られる部分であり、実物の仕様確認が重要なタイトルでもある。

作品の位置づけ

このアルバムは、Sly & The Family Stoneにとって転換点にあたる。1960年代後半に「Dance to the Music」や「Everyday People」などで示した、混成バンドならではの明快な高揚感とはかなり異なり、ここではビートが重く、音像も乾いている。ファンク、ソウル、R&Bの枠内にありながら、完成度を競うというより、録音そのものの質感を作品の一部にしている印象が強い。のちのファンクやヒップホップのサンプリング感覚にもつながる、断片的で粘るような音作りがすでに見える。

当時の評価は一様ではなかったが、後年になるほど重要性が強く認識されていったタイプのアルバムでもある。BillboardではPop Album、Soul Albumの両チャートで1位を記録し、先行シングル「Family Affair」もBillboard Hot 100で1位を獲得した。商業的には大きな成功を収めながら、内容はかなり内向きで、そこにこの作品の面白さがある。

「Family Affair」

代表曲としてまず触れておきたいのが「Family Affair」だ。アルバムの中でもっとも知られた曲で、ヒット性の高いメロディと、どこか無機質なリズムの組み合わせが印象に残る。いかにも華やかなファンクではなく、ドラムマシンのような規則性を感じさせるビートの上に、声が低めの温度で置かれていく構成だ。聴き進めるほどに、歌のフックよりも、音の間合いそのものが耳に残る。

この曲は、Sly & The Family Stoneのポップな側面を示しつつ、同時にこのアルバム全体の空気も象徴している。明るさで押し切るのではなく、抑えたトーンのまま強い印象を残す作り。ソウル・チャートでもポップ・チャートでも結果を出したのは、その両面性が広く届いたからだろう。

アルバム全体の聴こえ方

実際に耳を通すと、まず感じるのは音の密度よりも、むしろ“引き算”の感触だ。ベースやドラムが前へ出る場面でも、各楽器がきれいに分離するというより、少し濁ったまま重なっていく。Sly Stone自身が多くのパートを担ったとされる制作状況も、このまとまり方に影響しているように思える。Bobby Womackがギターとコーラスで参加している点も、アルバムの厚みを支える要素のひとつだ。

タイトル曲の「There’s A Riot Goin’ On」は、作品の核にある緊張感をそのまま示す曲だ。派手な展開があるわけではないが、フレーズの反復と音の揺れが続くうちに、静かな圧力が積み上がっていく。『What’s Going On』への応答として語られることもあるが、この曲は直接的な対話というより、同じ時代の空気を別の角度から切り取ったものとして聴こえる。社会のざわつきが、そのまま音の曇りとして残っている感じだ。

同時代とのつながり

1971年という年を考えると、このアルバムの居場所ははっきりしてくる。Marvin Gayeの『What’s Going On』、Curtis Mayfieldのソロ作品、James Brown以後のファンクの展開など、ソウル/ファンクが社会性や内省を強めていった時期だ。その中でSly & The Family Stoneは、祝祭感を保ったまま社会を歌うのではなく、祝祭そのものを崩したような音にたどり着いた。混成バンドの理想像を見せてきたグループが、ここではかなり孤独な音楽を鳴らしている。

結果として『There’s A Riot Goin’ On』は、Sly & The Family Stoneの中でも特に重く、しかし重要な位置にあるアルバムになった。グループのピークを示す作品であると同時に、その後の停滞や変化まで含めて語られることの多い1枚だ。ファンク/ソウルのアルバムでありながら、完成された快楽だけでは終わらない。その手触りこそが、この作品を長く聴かせる要素になっている。

トラックリスト

  1. A1 Luv N' Haight 4:01
  2. A2 Just Like A Baby 5:12
  3. A3 Poet 3:01
  4. A4 Family Affair 3:06
  5. A5 Africa Talks To You "The Asphalt Jungle" 8:45
  6. A6 There's A Riot Goin' On 0:00
  7. B1 Brave & Strong 3:28
  8. B2 (You Caught Me) Smilin' 2:53
  9. B3 Time 3:03
  10. B4 Spaced Cowboy 3:57
  11. B5 Runnin' Away 2:51
  12. B6 Thank You For Talking To Me Africa 7:14

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