Stomu Yamashta's Go - Go Too (1977)
Stomu Yamashta's Go 1977

Stomu Yamashta's Go - Go Too (1977)

Electronic Rock Jazz Experimental Prog Rock Fusion Jazz-Rock Jazz-Funk

Stomu Yamashta's Go『Go Too』について

『Go Too』は、Stomu Yamashta's Go名義で1977年にリリースされた作品だ。ストリングスやシンセサイザーを軸にした実験性と、ジャズ・ロック、フュージョン、プログレッシブ・ロックの要素が同居する、かなり特異な位置づけの一枚である。演奏陣を見ると、Klaus Schulze、Steve Winwood、Michael Shrieve、Al Di Meolaといった、当時のロック/ジャズ/電子音楽の中心人物が並んでいて、単なるバンド作品というより、国境やジャンルをまたいだプロジェクト作品として捉えやすい。

Stomu Yamashta's Goは1975年に始まった3者によるコラボレーション企画を背景に持ち、最初のリリースでは東洋のゲームを題材にしたコンセプト作として発表された。その流れの延長にあるのが『Go Too』で、前作の反響を受けて続いた“Go”シリーズの一作として理解すると、作品の輪郭がつかみやすい。1977年という年は、プログレッシブ・ロックの拡張性と、フュージョンや電子音楽の実験が重なっていた時期でもあり、この盤もその時代感をよく映している。

制作背景と録音環境

録音はニューヨーク州ニューシティのCamp Colombyで行われ、ミックスはロンドンのTrident Studiosで実施されている。つまり、アメリカでの録音とイギリスでの仕上げという流れで、参加ミュージシャンの顔ぶれと同じく、制作体制もかなり国際的だ。リリースはUK盤で、AristaのSPARTY 1011。1977年のAristaらしい黒地に青いAロゴの時期にあたるため、同レーベルの年代感を押さえるうえでも分かりやすい1枚だ。

AristaはもともとBell Recordsを前身とするUSレーベルで、1970年代後半には幅広いロックやポップの作品を抱えていた。そうした中で『Go Too』のような、ロックの文脈にありながら電子音楽や即興性を強く含む作品が出てくるのは、当時のAristaの守備範囲の広さを示す例とも言えそうだ。

作品の聴こえ方

実際に聴くと、最初に印象に残るのは、楽器の役割が固定されすぎていないことだ。Steve Winwoodの歌や鍵盤が前面に出る場面もあれば、Klaus Schulzeのシンセサイザーが空間を広げ、Michael Shrieveのドラムが推進力を作る場面もある。Al Di Meolaのギターはフレーズの粒立ちがはっきりしていて、曲の輪郭を細かく刻む。そこにStomu Yamash'taの打楽器的な感覚が重なるため、ロック的なグルーヴだけでなく、断片の積み重ねとして聴こえる場面も多い。

この作品は、派手な見せ場を連続させるタイプというより、パートごとの質感の違いを追う面白さがある。楽曲の展開も、歌ものとしての流れと、演奏主体のセクションが行き来する構成が中心で、1970年代後半のフュージョン作品に見られる滑らかさと、プログレ的な切り替えの多さが同居している。電子音と生楽器の距離感も近く、いわゆる“バンド演奏”と“スタジオ作品”の中間にあるような感触だ。

注目曲としての聴きどころ

収録曲の中でも、Steve Winwoodの存在感が前に出る曲は耳を引きやすい。彼の声質は硬質な演奏に対して芯を作りやすく、曲の構成に明確な焦点を与える。Go名義の作品では、参加メンバーそれぞれの個性が強いため、ボーカルが入る場面はアルバム全体の流れを整理する役割も持っているように感じられる。

一方で、Klaus Schulzeのシンセサイザーが広がりを作るパートは、この作品のもう一つの核だ。リズムの上に和声や持続音が重なっていくことで、ロックの曲というより、場面が少しずつ変わる組曲のように聴こえる。ここではギターの即興性よりも、音の層が少しずつ積まれていく過程が重要で、1970年代の電子音楽とロックの接点をそのまま切り取ったような印象がある。

同時代の文脈で見ると

『Go Too』は、同時代のジャズ・ロックやフュージョンの作品と比べても、参加メンバーの多国籍ぶりと役割の散らばり方が際立つ。Mahavishnu Orchestraのような技巧の緊張感、あるいはReturn to Forever周辺の流麗さとは少し違い、こちらはもっと断片的で、電子音響の比重も高い。Klaus Schulzeの関与によって、クラウトロック以後のシンセサイザーの使い方にも接続しやすい内容になっている。

Stomu Yamashtaにとっても、このシリーズは単独のソロ作というより、異なる背景を持つ演奏家を束ねて音楽の形を探る場としての意味合いが強い。『Go Too』は、その発想を1977年の時点でさらに推し進めた作品として見やすい。演奏家の個性がそのまま残りながら、曲としてひとまとまりに着地しているところに、この盤の面白さがある。

まとめ

『Go Too』は、ジャズ、ロック、電子音楽が無理なく混ざるというより、各要素がぶつかり合いながら形を作っていくタイプの作品だ。録音地、ミックス地、参加メンバー、レーベルの時代感まで含めて、1977年の国際的なスタジオ企画の雰囲気がよく出ている。Stomu Yamashta's Goの流れを追ううえでも、当時の実験的なロック/フュージョンの広がりを知るうえでも、重要な一枚として位置づけやすい。

トラックリスト

  1. A1 Prelude
  2. A2 Seen You Before
  3. A3 Madness
  4. A4 Mysteries Of Love
  5. B1 Wheels Of Fortune
  6. B2 Beauty
  7. B3 You And Me
  8. B4 Ecliptic

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