KC And The Sunshine Band - KC And The Sunshine Band (1975)
KC And The Sunshine Band『KC And The Sunshine Band』(1975)
KC And The Sunshine Bandのデビュー・アルバムは、1975年にUSのT.K. Recordsから出た作品で、バンド名をそのまま冠したセルフタイトル盤だ。フロリダ州ヒアリアで結成されたこのグループは、ファンク、R&B、ディスコを土台にしたダンス・ミュージックで知られ、70年代半ばのアメリカン・ポップの空気をそのまま詰め込んだような存在として語られることが多い。この1枚も、その立ち位置がはっきりした内容で、後の大ヒットへ向かう前段階というより、すでにグループの基本形ができあがっている印象が強い。
KCことHarry Wayne Caseyを中心に、Richard Finchらが関わって作り上げたサウンドは、リズムの押し出しが明確で、ベース、ギター、ホーン、コーラスがきっちり噛み合う構造になっている。ソウル・ミュージックの流れを引きながら、ディスコの反復性とファンクの細かいノリを前面に出した作りで、同時代のシーンではBee Geesのようなポップ寄りのディスコとも、Earth, Wind & Fireのような編成の大きいファンクとも少し違う、より直線的なダンス志向がある。
作品の位置づけ
KC And The Sunshine Bandにとってこのアルバムは、後年の「Get Down Tonight」や「That’s the Way (I Like It)」へつながる基盤のような作品だ。のちにバンドはポップ・チャートでも大きな成功を収めるが、その前からすでに、汗の匂いがするような演奏感と、踊ることを前提にした曲作りがはっきりしている。セルフタイトル盤という形も、グループの方向性を最初に示す名刺代わりとして自然だ。
1975年という時期は、ディスコがクラブ文化の中だけでなく、ラジオや一般市場にも広がっていく途中にあたる。このアルバムは、その流れの中で、ファンクの硬さとディスコの反復を接続した作品として聴ける。派手な装飾よりも、リズム・セクションの推進力を前に出す作りで、70年代半ばのダンス・ミュージックの実務的な強さがある。
サウンドの特徴
聴きどころは、まずリズムの明快さだ。ドラムとベースが細かく動きすぎず、一定のグルーヴを保ちながら前へ進む。その上でギターのカッティング、ホーンの短いフレーズ、コーラスの掛け合いが乗るため、曲ごとの展開はシンプルでも、フロア向けの持続力がある。こうした作りは、当時のダンス・バンドに共通する要素でもあるが、KC And The Sunshine Bandの場合は、歌のフックがかなり直接的で、耳に残る回数が多い。
録音面では、T.K. Recordsが抱えていたマイアミ・サウンドの系譜がよく出ている。ラテン系のリズム感を含んだ南部的な空気と、ソウル由来の厚みが同居していて、都会的に洗練されすぎないところが面白い。音の並びとしては、スタジオで緻密に積み上げたというより、演奏の勢いを保ったまままとめたタイプに近い。
注目曲「That’s the Way (I Like It)」
このアルバムで最も知られる曲として挙がるのが「That’s the Way (I Like It)」だ。のちにバンド最大級の代表曲として定着するこの曲は、シンプルな言い回しを何度も繰り返すことで、歌そのものをリズムの一部として機能させている。メロディを複雑に追うというより、コーラスの反復とビートの推進力で押し切る構成で、ディスコ期のポップ・ソングの作法がよく出ている。
この曲の強さは、言葉の少なさにある。短いフレーズが積み重なるだけで場の温度が上がるような作りで、クラブでもラジオでも機能しやすい。KC And The Sunshine Bandがその後に広く知られるようになる際の核が、すでにここで見えている。バンドの音楽が「踊らせる」ことに特化していく方向性を、もっとも端的に示す1曲だ。
注目曲「Get Down Tonight」へつながる感覚
「Get Down Tonight」は本作の直接的な代表曲としては後年の印象が強いが、このデビュー盤に触れると、その後の方向性の下地が見えやすい。KC And The Sunshine Bandの魅力は、メロディの大仰さではなく、リズムの置き方とコーラスの重ね方にある。その意味で、この時点ですでに、のちのヒット群につながる“型”が固まりつつある。
アルバム全体を通しても、後年の大ヒット曲に通じる感触は一貫している。ファンクの骨格にディスコの明快さを載せ、コーラスで押し切るという設計は、1970年代半ばのダンス・ミュージックの中でもかなり分かりやすい部類だ。派手な転調や長いソロに頼らず、曲の推進力で聴かせるところが、このバンドの基本になっている。
オリジナル盤について
USオリジナル盤はT.K. RecordsのTK-603。記録上はProsound pressingで、twin pressing ringsが識別点とされている。マスタリングはKendunで行われた版があり、同じくMiami Tapeでマスタリングされた別版も存在する。ジャケットは厚手の段ボールにラミネートされたグラフィック紙を重ねた仕様で、重量感のあるプレスとあわせて、70年代中期のUS盤らしい物理的な手応えがある。ラベル左側にピンク/パープルのロゴが入る初期仕様も特徴的だ。
なお、収録曲はすべてSherlyn Publishing Co., Inc.(BMI)による出版クレジットになっている。T.K. Recordsのマイアミ系ソウル/ディスコの文脈の中で見ても、このアルバムはバンドの初期像をかなり素直に示した1枚として位置づけられる。派手に語られがちな代表曲の背後で、すでに完成しつつあるグルーヴの設計図が見える作品だ。
トラックリスト
- A1 Let It Go (Part One) 2:56
- A2 That's The Way (I Like It) 5:07
- A3 Get Down Tonight 5:14
- A4 Boogie Shoes 2:15
- B1 Ain't Nothin' Wrong 3:07
- B2 I'm So Crazy ('Bout You) 3:04
- B3 What Makes You Happy 2:49
- B4 I Get Lifted 3:04
- B5 Let It Go (Part Two) 2:01
動画
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Let It Go, Pt. 1 (2004 Remaster)
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That's the Way (I Like It) (2004 Remaster)
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Get Down Tonight (2004 Remaster)
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Boogie Shoes (2004 Remaster)
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Ain't Nothin' Wrong (2004 Remaster)
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I'm so Crazy ('Bout You) (2004 Remaster)
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What Makes You Happy (2004 Remaster)
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I Get Lifted (2004 Remaster)
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Let It Go, Pt. 2 (2004 Remaster)