Kula Shaker - K (1996)
Kula Shaker 1996

Kula Shaker - K (1996)

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Kula Shaker『K』レビュー

Kula Shakerのデビュー・アルバム『K』は、1996年のUKロックを語るうえで外せない1枚だ。ブリットポップの時代に登場しながら、その中身は単なるギターポップに収まらない。ロンドン周辺の複数スタジオで録音され、John Leckieが制作の中心に立ち、Crispian Mills自身やShep & Dodgeもプロダクションに関わっている。音の輪郭ははっきりしていて、ギターの鳴り、リズム隊の推進力、そしてインド由来の楽器や旋律が、曲ごとに自然に差し込まれている。

この作品の面白さは、当時の流行に乗った“異国情緒”の飾りではなく、バンドの核にある感覚として東洋的な要素が置かれている点にある。タブラ、サロード、タンブーラといった楽器が随所で使われ、隠しトラックにはA・C・バクティヴェーダンタ・スワミ・プラブパーダの説法音声まで収録されている。Crispian Millsのヒンドゥー/クリシュナ意識への傾倒が、そのままアルバム全体の設計に反映された形だ。

1996年のブリットポップの中で

『K』はブリットポップの文脈で語られることが多い。ただ、OasisやBlurのような同時代の大きな二極とは少し違う位置にいる。英国的なメロディ感はある一方で、サイケデリック・ロック、フォーク・ロック、インディー・ロックの要素が混ざり、そこに宗教的・哲学的な色彩まで加わる。結果として、当時のシーンの中でもかなり固有の響きを持っていた。

制作面ではJohn Leckieの仕事が大きい。The Stone RosesやRadioheadで知られる彼の手つきは、音の密度を保ちながらも余白を残す方向に働いている。録音場所もEden、RAK、Townhouse、Chipping Norton、Livingston、Wessex Sound、Maison Rougeと多いが、その分だけ曲ごとの表情が細かく変わる。派手な演出より、バンドの演奏と曲の構造で押していく作りだ。

代表曲とアルバムの流れ

本作からは「Tattva」「Hey Dude」「Govinda」など、後に代表曲として扱われる曲が生まれた。なかでも「Tattva」は、Kula Shakerの特徴がまとまった曲として分かりやすい。リフの強さ、コーラスの抜け、そしてインド音楽由来の感触が一本につながっている。「Hey Dude」はよりロック寄りの推進力を持ち、「Govinda」はバンドの宗教的モチーフが前面に出る。

実際に聴くと、単に“オリエンタルな色を足したロック”ではなく、サイケデリックな反復とポップなフックが同居しているのが分かる。ギターは歪みすぎず、ベースとドラムの動きが前に出る場面も多い。曲の展開は比較的まっすぐでも、音色の選び方で独特の引っかかりが残る。そこが、このアルバムが90年代後半になっても記憶に残りやすい理由のひとつだ。

アルバムとしての位置づけ

『K』はKula Shakerにとって最初の到達点だ。デビュー作でありながら、すでにバンドの個性がかなり明確に出ている。後年の活動を見ても、このアルバムで確立した“英国ロックの骨格に、インド的な響きを深く重ねる”という方向性は、彼らの看板として長く残った。

商業面でも反応は大きく、全英アルバムチャートで1位を獲得し、初週だけで10万枚超を売り上げたとされる。批評面でも高評価が多く、1996年の英国ロックの中でかなり強い存在感を持っていたことが分かる。続くシングル群のヒットも含めて、Kula Shakerを一気に前景化させた作品が『K』だった。

このヨーロッパ盤について

今回の盤はEuropeリリースの1996年盤で、レーベルはColumbia、品番はSHAKER1 LP。リリースノートにはフルカラーの歌詞入りインナー・スリーブ封入とある。Sony Music Entertainment (UK) Ltd.表記、Sony Music配給、収録曲の出版クレジットも明記されており、当時のオリジナル期の仕様をそのまま反映した内容だ。1996年という作品年に近い時期の盤として、アルバムの初期イメージをそのまま伝える存在である。

Kula Shakerの『K』は、ブリットポップの看板のひとつでありながら、その枠に収まりきらない要素を持ったデビュー作だ。ロックの推進力、サイケデリックな音像、そして宗教的なモチーフが一体になっていて、90年代半ばのUKロックの空気を別の角度から切り取っている。

トラックリスト

  1. A1 Hey Dude
  2. A2 Knight On The Town
  3. A3 Temple Of Everlasting Light
  4. A4 Govinda
  5. A5 Smart Dogs
  6. A6 Magic Theatre
  7. A7 Into The Deep
  8. B1 Sleeping Jiva
  9. B2 Tattva
  10. B3 Grateful When You're Dead / Jerry Was There
  11. B4 303
  12. B5 Start All Over
  13. B6 Hollow Man (Parts 1 & 2)

動画プレイリスト

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