Radiohead - OK Computer (1997)
Radiohead 1997

Radiohead - OK Computer (1997)

Electronic Rock Alternative Rock

Radiohead『OK Computer』(1997) レコード紹介

Radioheadの『OK Computer』は、1997年に発表された3作目のスタジオ・アルバムで、バンドの評価を一段引き上げた作品として知られている。出身はオックスフォードシャー、レーベルはParlophone。UKでは1997年6月16日、米国では7月1日、日本では5月21日に先行リリースされており、この盤も1997年の初期プレスにあたる。Radioheadがそれまでのギター主体のロックから、より構成の複雑な音像へ進んだ時期を示す一枚で、後の『Kid A』へつながる流れの出発点としても重要な位置づけにある。

制作はNigel Godrichが担当し、バンド自身の演奏感を残しつつ、録音の分離や残響の扱いまで含めて細かく組み立てられている。90年代後半のオルタナティヴ・ロックの中でも、単なるバンド・サウンドに収まらない作りで、同時代の作品と比べても、曲の展開や音の置き方に独特の緊張感がある。批評面で高く評価されたのも、この完成度の高さと、当時の空気を先取りしたようなテーマ性が大きい。

アルバム全体の印象

聴いていると、音数は多いのに隙間がある。ギター、ベース、ドラムが前に出る場面でも、どこか機械的な冷たさが残るのがこの盤の特徴だと思う。ロックの推進力を保ちながら、曲の中に不穏さや停滞感を持ち込んでいて、単純な盛り上がりでは終わらない。歌詞やタイトルの並びも含めて、都市生活の息苦しさやテクノロジーへの距離感が前面に出ている。

この作品は、Radioheadにとって「実験に進む前の完成形」として聴かれることが多い。前作『The Bends』で獲得したバンドとしての支持を、より大きなスケールへ広げた一方で、メジャー・ロックの枠にそのまま収まる感じではない。EMI側が商業的に扱いにくいと見た、という話が残るのも納得できる内容で、実際にはその予想を裏切る形で評価も売上も伸ばした。

代表曲「Paranoid Android」

このアルバムを語るうえで「Paranoid Android」は外せない。曲の尺が長く、展開も細かく切り替わる。静かな部分から急にギターが前に出る構成で、1曲の中に複数の場面が入っている印象が強い。ロック・シングルらしい分かりやすさよりも、断片がつながっていく感覚が先に立つ。UKシングル・チャートでは3位まで上がっており、当時のバンド最大級のヒットになったのも頷ける。

レコードで聴くと、各セクションの音の切り替わりがよりはっきり感じられる。演奏の密度が高いのに、混ざりきらずに各パートが見えるため、長尺でも流れがぼやけにくい。Radioheadが単なるギター・バンドではないと示した曲として、アルバムの顔になっている。

代表曲「No Surprises」

「No Surprises」は、この盤の中でも特に輪郭がはっきりした曲で、静かな導入と反復するメロディが印象に残る。曲自体は穏やかに進むが、内容は楽観的ではない。その落差がこのアルバムらしさにつながっている。UKシングル・チャートで4位を記録しており、こちらも広く知られる代表曲になった。

アルバム全体が複雑な構造を持つ中で、この曲は比較的すっと入ってくる。ただ、軽く流れるわけではなく、歌と伴奏の間に妙な緊張がある。メロディの親しみやすさと、歌詞の感触のずれが残るところがポイントで、Radioheadの書き方がこの時点でかなり独自のものになっていたことがわかる。

レコード盤としての特徴

この初期盤はゲートフォールド仕様で、印刷されたインナー・スリーブ付き。上辺に切り欠きのある作りも含めて、当時のパッケージとして丁寧に作られている。バック・スリーブにはParlophone表記とともに、EMI Records Ltd.が著作権管理を担っていたことが記されている。海外向けのコピーには「MADE IN ENGLAND」ステッカーが貼られているものもある。

また、ランアウトにはDirect Metal Masteredを示す「D」スタンプがあり、音溝の刻み込みにもこの時代のプレスらしい特徴が出ている。ディスクのマトリクスには複数のバリエーションが存在し、同一リリースでも異なるプレートが使われた個体がある。レコードとして見ると、作品そのものだけでなく、初期プレス特有の情報量の多さも面白い。

90年代ロックの中での位置

『OK Computer』は、90年代ロックの転換点としてよく挙げられる。オアシスやブラーのような同時代の英国ロックがチャートやバンド・サウンドの競争を続けていた一方で、Radioheadはこの作品で別の方向へ進んだ。ギター・ロックの形式を使いながら、その内側に不安定さや疎外感を組み込んでいく手つきが、このアルバムの核にある。

結果として、この盤はRadioheadを世界的な存在へ押し上げた作品として扱われている。派手さよりも構成、勢いよりも持続する違和感。そうした要素が、今聴いてもこのアルバムを単なる1997年の名盤以上のものとして残している。レコードで通して聴くと、その流れがよりはっきり見える一枚だ。

トラックリスト

  1. Eeny
  2. A1 Airbag
  3. A2 Paranoid Android
  4. A3 Subterranean Homesick Alien
  5. Meeny
  6. B4 Exit Music (For A Film)
  7. B5 Let Down
  8. B6 Karma Police
  9. Miney
  10. C7 Fitter Happier
  11. C8 Electioneering
  12. C9 Climbing Up The Walls
  13. C10 No Surprises
  14. Mo
  15. D11 Lucky
  16. D12 The Tourist

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