Santana - Welcome (1973)
Santana 1973

Santana - Welcome (1973)

Rock Jazz Funk / Soul Latin Fusion Jazz-Rock Afro-Cuban Latin Jazz Samba

Santana『Welcome』(1973) レコード解説

Santanaの『Welcome』は、1973年にColumbiaから発表された5作目のスタジオ・アルバムだ。前作『Caravanserai』で明確になったジャズ寄りの方向をさらに押し進めた内容で、ラテン・ロックの枠に収まらない、スピリチュアル・ジャズやフュージョンの要素が前面に出ている。カルロス・サンタナを中心とするバンドの変化が、そのまま作品の輪郭になっている一枚でもある。

1973年のSantana、その転換点

1970年代前半のSantanaは、デビュー当初のサンフランシスコ発のラテン・ロック・バンドという顔つきから、より複雑で内省的な音楽へと移っていく時期にあたる。『Welcome』はその流れの中に置くと分かりやすい。録音は1973年4月から6月にかけて行われ、カルロス・サンタナ、マイク・シュリーブ、トム・コスターの共同プロデュースでまとめられた。リズムの組み立てや曲の展開に、ロックの直進性よりも、ジャズの呼吸や間合いが強く出ている。

この時期のカルロス・サンタナは、ジョン・マクラフリンを介してスリ・チンモイに師事し、「デヴァディップ」という名も授かった。そうした精神的な変化が、アルバム全体の選曲や演奏の方向に反映されている。タイトル曲「Welcome」はジョン・コルトレーンの曲のカバーで、作品全体に通底する敬意の軸がはっきりしている。

収録曲の中心にあるジャズとの接点

冒頭の「Going Home」では、アリス・コルトレーンがアレンジとピアノで参加している。ジョン・コルトレーンの未亡人であり、当時のスピリチュアル・ジャズを語るうえで重要な存在だ。ここでのピアノは、単なる伴奏ではなく、アルバムの空気を決める役割を担っている。続く「Love, Devotion & Surrender」は、精神修養の言葉をそのまま題名にしたような曲で、レオン・トーマスの声が独特の輪郭を与える。レオン・トーマスのホーミー唱法が入ることで、歌ものとしての分かりやすさより、声そのものの響きが前に出る。

ジョー・ファレルも参加しており、フルートやサックスの音色がギター主導のロックとは別のレイヤーを作る。ジョン・マクラフリンのゲスト参加も重要で、同年のカルロス・サンタナ&ジョン・マクラフリン名義『Love Devotion Surrender』へとつながる関係性が見える。『Welcome』はその前後をつなぐ位置の作品としても整理しやすい。

音の手触りとレコードとしての特徴

このUS盤はゲートフォールド仕様で、全面白のエンボス加工フロントが目を引く。オリジナル盤には上部にキャップ・オビが付いていたという点も、当時の発売形態を示す要素だ。盤面の識別はランアウトのSX刻印で行われ、プレスはクレジット上では[l376197]によるもの。ラベルには1973年のCBS/Columbiaらしい表記が入り、PC 32445という型番も当時の価格帯を示している。

実際に聴くと、Santana初期の分かりやすいギター・リフ主導の曲よりも、曲ごとの流れが長く、演奏の呼吸が前に出る。音数を詰め込むというより、各パートの余白を残しながら進む作りで、パーカッション、鍵盤、管楽器、ギターが同じ重心で並ぶ場面が多い。ロックの勢いだけで押すアルバムではなく、リズムの反復と旋律の往復で聴かせる構成だ。

当時の評価と位置づけ

発売当時、『Welcome』は従来のロック寄りのSantanaを期待した層には意外性の強い作品だった一方、批評面では高く扱われた。USビルボード200で25位、UKアルバムチャートで8位を記録している。大ヒット曲を中心に押す作りではないが、アルバム単位での完成度が評価されたタイプの作品だ。

Santanaの初期3作が、ラテン・ロックとサイケデリック・ロックの接点を広げた時代の代表作だとすると、『Welcome』はその先で、ジャズ、フュージョン、アフロ・キューバン、スピリチュアルな感覚を強めた局面を示す。後年のフュージョン系ギタリストや、ジャンル横断型のバンドを語るときにも、この時期のSantanaはよく参照される。Carlos Santanaというギタリストの名前だけでなく、バンド全体の編成と思想が作品に反映された一枚として、1973年の空気をよく残している。

まとめ

『Welcome』は、Santanaのキャリアの中でも、ロック・バンドとしての顔より、ジャズと精神性を強く押し出した作品だ。ジョン・コルトレーン、アリス・コルトレーン、ジョー・ファレル、レオン・トーマスといった周辺との接点が明確で、1973年という時期の音楽的な移行をそのまま記録している。レコードとしては、白地のエンボス・ジャケットも含めて印象が強く、作品内容と外装の両方で個性が立っている。

トラックリスト

  1. A1 Going Home 4:10
  2. A2 Love, Devotion & Surrender 3:35
  3. A3 Samba De Sausalito 3:08
  4. A4 When I Look Into Your Eyes 5:49
  5. A5 Yours Is The Light 5:44
  6. B1 Mother Africa 5:54
  7. B2 Light Of Life 3:49
  8. B3 Flame-Sky 11:32
  9. B4 Welcome 6:28

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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