Slayer - Reign In Blood (1986)
Slayer 1986

Slayer - Reign In Blood (1986)

Rock Thrash

Slayer『Reign In Blood』――1986年のスラッシュ・メタルを決定づけた一枚

Slayerの『Reign In Blood』は、1986年10月7日に発表された3作目のスタジオ・アルバムで、バンドの名前をスラッシュ・メタルの中心に押し上げた代表作として知られている。Huntington Park, California出身の4人組、Kerry King、Jeff Hanneman、Tom Araya、Dave Lombardoによる編成で、当時のバンド像をそのまま凝縮したような内容になっている。全10曲、約29分という短さだが、その中身はかなり密度が高い。

レーベルはDef Jam Recordings。もともとはヒップホップの重要レーベルとして知られるが、この作品ではロック/メタル側でも大きな存在感を示している。Rick Rubinがプロデュースを担当し、録音はロサンゼルスで行われ、ミックスはニューヨークのNew Freshで実施された。結果として、音像はかなり乾いていて、ギターもドラムも輪郭がはっきりしている。リバーブをあまり足さず、演奏の速さと切れ味を前に出した仕上がりで、同時代のメタル作品の中でもかなり際立った録音だと感じられる。

発売当時から論争を呼んだ作品

このアルバムは、発売前から順調だったわけではない。流通を担っていたCBSは、ジャケットと「Angel of Death」の内容を理由に、扱いを拒否したとされている。特に「Angel of Death」は、冒頭から強い緊張感を持つ楽曲で、Tom Arayaのボーカルもかなり鋭い。結果として、配給の問題を経ながら世に出た作品であり、最初から話題性の高い一枚だった。

収録曲では、やはり「Angel of Death」と「Raining Blood」が中心になる。「Raining Blood」はアルバム終盤の代表曲として知られ、最後がロックト・グルーヴで終わる仕様も面白い。短い曲が連続する構成の中で、最後にあのリフが残る流れは、この作品の印象を決定づけている。シングルとしても「Raining Blood」「Angel Of Death」「Necrophobic」「Criminally Insane」が挙げられている。

同時代のメタルの中での位置づけ

1980年代半ばのスラッシュ・メタルは、速さと攻撃性を競う時代だった。Metallica、Megadeth、Anthraxと並べて語られることが多いが、『Reign In Blood』はその中でも特に短く、速く、無駄を削った作品として扱われることが多い。Brian Slagelの回想にもあるように、当時は「誰が一番速いか」という競争意識が強く、それがこのアルバムのテンポ感に直結しているように見える。

実際に聴くと、曲の展開をじっくり追うというより、リフとドラムの推進力で一気に押し切る作りが目立つ。Dave Lombardoのドラムは速いだけでなく、細かい刻みでも崩れにくい。Kerry KingとJeff Hannemanのギターは、音数を増やしすぎずに圧をかけてくる。Tom Arayaの歌唱は叫び声に近い場面も多く、歌メロよりも言葉の切れ方が前に出る。こうした要素が、29分という尺の中で無駄なく並んでいる。

作品としての評価と反応

『Reign In Blood』は、後年になって特に高く評価されるようになった作品でもある。RIAAでは1992年11月20日にゴールド認定を受けており、Billboard 200では最高94位を記録した。商業的に巨大なヒット作というより、作品の強度によって評価を積み上げたタイプのアルバムといえる。スラッシュ・メタルの定番作として語られるのも、その後の多くのバンドに影響を与えたからだろう。

Rick Rubinが本格的にヘヴィメタルを手がけた作品としても重要で、彼のプロダクションはこのジャンルにおける音の整理の仕方を示した一例になっている。録音の乾いた質感、リフの明瞭さ、ボーカルの前進感がそろっていて、聴き進めるほどに「整っているのに荒い」という印象が残る。

US盤について

今回のUS盤は1986年リリースのオリジナル期のプレスで、Def Jam Recordingsのクレジットに加え、Manufactured exclusively by Warner Bros. Records, Inc. の表記がある。白いダストスリーブに赤い印字が入った仕様で、片面に歌詞とクレジット、もう片面にDef Jamロゴが入る。シュリンクには「Contains language which may be unsuitable for some listeners」というステッカーが付く個体もある。さらに「Raining Blood」がロックト・グルーヴで終わる点も、この盤の聴きどころのひとつだ。

『Reign In Blood』は、Slayerの中でも特に輪郭がはっきりした作品であり、バンドの攻撃性、スピード、構成の簡潔さがそのまま記録されたアルバムになっている。1986年のスラッシュ・メタルを語るうえで外せない一枚であり、以後のハードな音楽の基準をいくつか作った作品としても見ておきたい。

トラックリスト

  1. A1 Angel Of Death 4:50
  2. A2 Piece By Piece 2:02
  3. A3 Necrophobic 1:38
  4. A4 Altar Of Sacrifice 2:49
  5. A5 Jesus Saves 2:49
  6. B1 Criminally Insane 2:13
  7. B2 Reborn 2:20
  8. B3 Epidemic 2:12
  9. B4 Postmortem 2:44
  10. B5 Raining Blood 4:23

動画プレイリスト

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