The Alan Parsons Project - Eye In The Sky (1982)
The Alan Parsons Project / Eye In The Sky(1982)
The Alan Parsons Projectの6作目となる『Eye In The Sky』は、1982年に発表されたアルバムで、同ユニットの中でも最も広く知られた作品のひとつだ。Alan ParsonsとEric Woolfsonを中心にしたスタジオ・プロジェクトとしての性格がよく出ていて、演奏の派手さよりも、録音設計、曲の並び、声の使い分けで全体を組み立てていく作りになっている。プログレッシブ・ロックの出自を持ちながら、80年代初頭のポップ・ロック寄りの輪郭がはっきりした作品でもある。
作品の位置づけ
この時期のThe Alan Parsons Projectは、初期のコンセプト色を保ちつつ、より整理されたメロディと音像へ進んでいた。『Eye In The Sky』は、その流れの中で商業的にも大きく成功したアルバムで、米国ではバンドにとって最後のプラチナ・ディスクとなった。タイトル曲「Eye in the Sky」はグループ最大のヒットとして知られ、Eric Woolfsonのリード・ヴォーカルが楽曲の中心をきれいに支えている。シングルとしての存在感が強く、アルバム全体の印象を決めている曲だ。
一方で、収録曲の中ではインストゥルメンタルの「Sirius」も重要だ。曲そのものは短いが、北米のスポーツ会場で定番的に使われることで、アルバム外でも強く記憶されている。特にシカゴ・ブルズの入場曲としての使用は有名で、作品の知名度を音楽ファン以外にも広げた要素といえる。
録音と音の作り
このアルバムはロンドンのAbbey Road Studiosで録音・ミックスされ、デジタル・マスターにはSony PCM 1610システムが使われた。Alan Parsonsがアナログ機材で録音しつつ、デジタル・マスターへ直接ミックスする手法を取ったことは、1980年代初期の録音技術の転換点としても見ておきたいところだ。The Alan Parsons Projectらしい整った音の輪郭が、ここではさらに明瞭になっている。
実際に聴くと、ベース、ドラム、シンセ、コーラスの配置がかなり細かく整理されていて、各パートがぶつかりにくい。派手な演奏で押すのではなく、音の重なり方そのものを聴かせる作りだ。ギターやキーボードの置き方も過度に前へ出ず、曲の推進力を保ちながら、歌を邪魔しないバランスに収まっている。
収録曲の印象
タイトル曲「Eye in the Sky」は、アルバムの中でも最もすぐに輪郭がつかめる楽曲だ。メロディが明快で、サビの反復も強い。The Alan Parsons Projectにありがちな、構成の複雑さよりも完成されたフックの印象が前に出る。続く「Old and Wise」も評価の高い曲で、こちらは英国でバンド初のシングル・チャート入りを果たした。タイトル曲とは違って、静かな展開の中で歌の重みを見せるタイプの楽曲だ。
インストゥルメンタルの「Sirius」に加えて、「Mammagamma」もアルバムの中で耳に残る。歌だけで押し切るのではなく、間奏や器楽曲を含めて一枚の流れとして成立させている点が、この作品の強みだと思える。曲ごとの役割がはっきりしていて、アルバム全体の設計が見えやすい。
1982年のポップ/プログレ文脈
1982年という時期を考えると、ロックの主流はすでに変化していた。長大な組曲や実験性を前面に出すプログレの時代とは少し距離があり、The Alan Parsons Projectもその流れに合わせるように、洗練されたポップ性を前へ出している。ただし、単純に売れ線へ寄ったというより、スタジオ作品としての精密さを保ったまま、歌ものとしての強度を上げたアルバムという見方のほうが近い。
同時代のブリティッシュ・ロック、あるいはAOR寄りの整ったサウンドを持つ作品と比べても、『Eye In The Sky』は録音の透明感と曲の組み立てで印象を残す。アレンジの密度が高いのに、聴感上は窮屈になりにくい。Alan ParsonsのエンジニアリングとEric Woolfsonの楽曲設計が、かなり高い精度で噛み合っているアルバムだといえる。
ジャケットと海外盤の特徴
このEurope盤は1982年リリースで、バック・カバーに「Digital Mastering」の表記があり、エンボス加工のあるジャケット仕様になっている。同時期にはほぼ同一内容で、このロゴ表記のない欧州盤や、エンボスなしの盤も存在する。盤としての違いはあるが、作品そのものの核は同じで、1982年のオリジナル期に近い形でこのアルバムを捉えられるプレスといえる。
まとめ
『Eye In The Sky』は、The Alan Parsons Projectの中でも代表性の高い一枚であり、タイトル曲のヒットだけでなく、制作技術の更新、アルバム全体の統一感、インストゥルメンタルの扱いまで含めてまとまりのある作品だ。プログレの出自を持ちながら、1980年代のポップ・ロックとしての輪郭がはっきりしている点が、このアルバムの重要なところだと思う。
トラックリスト
- A1 Sirius (Instrumental) 1:48
- A2 Eye In The Sky 4:33
- A3 Children Of The Moon 4:49
- A4 Gemini 2:09
- A5 Silence And I 7:17
- B1 You're Gonna Get Your Fingers Burned 4:19
- B2 Psychobabble 4:50
- B3 Mammagamma (Instrumental) 3:34
- B4 Step By Step 3:52
- B5 Old And Wise 4:52