Vinyl Record Reviews
Ellesmereは、イタリア・ローマで2014年に立ち上がったロック・プロジェクトだ。中心にいるのは、イタリアのプログレバンドTaprobanでベースとギターを担当してきたRoberto Vitelliである。EllesmereはVitelliのソロ・プロジェクトとして始まり、以降も彼を軸に作品を重ねている。
デビュー作は、2015年に発表された約40分のアコースティック組曲「Les Châteaux De La Loire」だ。ここでEllesmereは、長尺構成の楽曲を中心にしたスタイルを打ち出した。その後、2018年に『Ellesmere II - From Sea and Beyond』を発表し、2020年にはパワートリオ編成による『Wyrd』をリリースしている。
2022年には、既発の2作をほぼ網羅したライブ盤『Livesmere』を発表した。さらに『Stranger Skies』では、イラストレーターのRodney Matthewsと再び組んでいる。作品ごとに編成や見せ方を変えながら、継続して制作を進めている流れが見える。
Ellesmereの音楽は、アコースティックなフォーク要素とシンフォニック・ロックの要素を組み合わせたものとして紹介されることが多い。牧歌的なギター、組曲形式の展開、ロックバンドとしての厚みが同居している。
作風は、初期GenesisやAnthony Phillipsのソロ作品を思わせるとされることがある。実際、長い曲の中でテーマをつないでいく構成や、アコースティック楽器を前面に出した書き方が目立つ。テーマとしては「旅」や「新しい世界の発見」が繰り返し扱われている。
Ellesmereには、英国プログレの周辺で活動してきたミュージシャンが複数参加している。名前が挙がっているのは、GenesisのAnthony Phillips、Steve Hackettの実弟でフルート奏者のJohn Hackett、Van der Graaf GeneratorのDavid Jackson、King CrimsonのDavid CrossやTrey Gunn、The Flower KingsのTomas Bodinらだ。
こうした参加歴からは、Vitelliの人脈だけでなく、Ellesmereの作品がプログレッシブ・ロックのリスナーに届いてきた経緯もうかがえる。