Ellesmere - Stranger Skies (2024)
Ellesmere 2024

Ellesmere - Stranger Skies (2024)

Rock Prog Rock Symphonic Rock

Ellesmere『Stranger Skies』について

イタリアのプログレ・プロジェクト、Ellesmereによる『Stranger Skies』は、2024年に登場した4作目のアルバムだ。中心にいるのは、Taprobanでも活動してきたロベルト・ヴィテッリ。Ellesmereは2014年にローマで始動したプロジェクトで、ヴィテッリのソングライティングとアレンジを軸に、シンフォニック・ロックの流れを受け継ぐ作品を重ねてきた。本作もその延長線上にあり、演奏、構成、ゲストの配置まで含めて、かなり丁寧に組み立てられた一枚になっている。

作品の輪郭

『Stranger Skies』は全6曲、約47分の構成。前半4曲を「冷たい世界」、後半2曲を「温かい世界」に対応させるという説明がされていて、アルバム全体に明確な流れがある。単なる曲の集合ではなく、前半と後半で景色を切り替える作りで、ジャケットの幻想的なイメージとも結びついている。アートワークは前作『Wyrd』に続いてロドニー・マシューズが担当しており、作品世界の連続性がはっきりしている。

このアルバムで目立つのは、以前よりも歌ものの比重が増している点だ。ジョン・ウィルキンソンのヴォーカルが重要な役割を担い、器楽的なプログレの技巧だけで押し切る形ではない。歌のある場面が増えたことで、曲ごとの輪郭が見えやすくなり、シンフォニックな展開の中にも聴き手の足場ができている。

サウンドと聴きどころ

音の作りは、Genesisを思わせる組み立てや、80年代初期のプログレに通じる質感が軸になっている。厚めのオーケストレーション、細かく切り替わる展開、旋律を前に出すアレンジが揃っていて、イタリア産シンフォニック・ロックの文脈に素直に置ける内容だ。派手な音色の変化より、曲の中でパートをつなぐ処理が丁寧で、場面転換の作り込みがよく見える。

ゲストも多彩で、Mattias Olsson、Giacomo Anselmi、Clive Nolan、Tomas Bodin、John Hackett、David Jacksonらが参加している。こうした顔ぶれは、単なる話題性よりも、作品の色合いを補強する役割が大きい。録音はストックホルムのRoth Händle Studiosでも行われており、イタリア発のプロジェクトでありながら、制作の広がりを感じさせる点も印象に残る。

アルバムとしての位置づけ

Ellesmereにとって『Stranger Skies』は、プロジェクトの輪郭をさらに明確にした一枚として捉えやすい。前作までに積み上げてきたシンフォニック・ロック路線を保ちながら、今回は歌と構成の整理が進み、アルバムとしてのまとまりが強い。レビューでは、完成度の高さやアレンジの緻密さが評価される一方、影響源の見えやすさを指摘する声もあった。Genesis系の感触や、80年代初期プログレへの接続が前面に出るため、作風の参照先は比較的わかりやすい。

2024年1月12日に公開されたこの作品は、イタリアのプログレ・シーンの現在地を示すタイトルのひとつとして扱われている。AMS Recordsからのリリースで、ゲートフォールド仕様、シュリンク上のハイプ・ステッカー付きというパッケージ面も含め、レーベルの力の入れ方が伝わる。AMSはイタリアのプログレ再発やサウンドトラック、新作の選定で知られるレーベルで、Ellesmereのような新しいプロジェクトをカタログに置くことにも筋が通っている。

まとめ

『Stranger Skies』は、ロベルト・ヴィテッリのプロジェクトとしてのEllesmereを、より歌心のあるシンフォニック・ロックへ寄せた作品だ。6曲という曲数の少なさに対して、展開の密度は高く、前半と後半で空気を切り替える構成も明快。派手に逸脱するタイプではなく、既存のプログレ的語法をきっちり整えて提示する内容で、2024年のイタリア産プログレの中でも存在感のある一枚として記録されている。

トラックリスト

  1. A1 Northwards 6:50
  2. A2 Tundra 6:43
  3. A3 Crystallized 5:12
  4. A4 Arctica 4:12
  5. B1 Stranger Skies 12:17
  6. B2 Another World 11:29

動画プレイリスト

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