Cameron Winter - Heavy Metal (2024)
Cameron Winter『Heavy Metal』
Geeseのフロントマンとして知られるCameron Winterが、Partisan Recordsから2024年12月にサプライズ発表したソロ・デビュー作。タイトルは『Heavy Metal』と名付けられているが、内容はヘヴィメタルではなく、ピアノとアコースティック・ギターを軸にした極めて親密で文学的なシンガー・ソングライター作品としてまとめられている。本作のアナログ盤は140gのヘヴィメタル・カラー・ヴァイナルで、歌詞インサートが付属する10,000枚限定仕様となっている。
制作背景・エピソード
録音はニューヨーク州タキシードのスタジオ「Magic Mountain」と、ロングアイランドシティの「Diamond Mine」で行われた。バンドで見せるハイエナジーなアート・パンク/カントリー・ロックの轟音とは対照的に、ウィンター個人のピアノ弾き語りやアコースティックな響きを追求し、複数スタジオで丁寧に録音されている。
収録曲はオープニングの「The Rolling Stones」から始まり、「Nausicaä (Love Will Be Revealed)」「Love Takes Miles」「Drinking Age」「Cancer Of The Skull」「Nina + Field Of Cops」「$0」へと続く。「The Rolling Stones」ではブライアン・ジョーンズへの皮肉な言及が光り、「Nausicaä (Love Will Be Revealed)」は宮崎駿のアニメ映画からインスピレーションを受けた叙情詩となっている。後半の長尺曲「Nina + Field Of Cops」や「$0」では、繊細なささやきからソウルフルな絶叫へと跳躍するウィンターのボーカル表現が余すところなく発揮されている。
時代の文脈
Geeseの2ndアルバム『3D Country』(2023年)が世界的に高く評価されたあとに、年末の閑散期を突いて突然届けられた異色のソロ・プロジェクトである。バンドの集団演奏のダイナミズムから離れ、ウィンター個人のソングライティングと演劇的で変幻自在なボーカル、そしてブラック・ユーモアを湛えたパーソナルな内省を深化させた。新世代のインディー・ロック・シーンにおいて、伝統的なアメリカン・ソングライティングを脱構築した重要な試みとして位置づけられる。
サウンドの特徴と聴きどころ
重厚なピアノの打鍵とナイロン弦のアコースティック・ギターを中心とした素朴なアレンジに、Bob Dylan、Lou Reed、Leonard Cohen、Tom Waits、Randy Newmanらを彷彿とさせる詩情豊かな語り口が重なる。酒場のシンガロングを思わせるゴスペル調の「Love Takes Miles」や、胸を締め付ける哀愁が宿る「Drinking Age」「Cancer Of The Skull」など、シンプルな編成でありながら聴き手を惹きつけて離さないエモーショナルな楽曲が並んでいる。
反響と評価
リリースと同時に各インディー音楽メディアや批評家から絶賛を浴び、バンドの看板を離れたCameron Winterの傑出したソングライターとしての才能を決定づける2024年末屈指のサプライズ作として高く評価されている。
トラックリスト
- A1 The Rolling Stones 3:18
- A2 Nausicaä (Love Will Be Revealed) 4:11
- A3 Love Takes Miles 3:18
- A4 Drinking Age 3:30
- A5 Cancer Of The Skull 5:31
- B1 Try As I May 4:47
- B2 We're Thinking The Same Thing 2:47
- B3 Nina + Field Of Cops 5:52
- B4 $0 6:43
- B5 Can't Keep Anything 3:49