Fuzz - II (2015)
Fuzz 2015

Fuzz - II (2015)

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Fuzz『II』について

Fuzzの『II』は、2015年にUSのIn The Red Recordingsから出た2作目のアルバム。バンドは2012年にロサンゼルスで結成され、Ty Segallがドラムを担当し、Charles Moothartがギター、Roland Cosioがベースという編成で始動した。ここにThe MeatbodiesのChad Ubovichが加わり、ベースとボーカルを担う形で本作に参加している。Ty Segall周辺の作品群の中でも、Fuzzはガレージ・ロックの勢いだけでなく、ヘヴィロックやストーナー・ロックの重さを前面に出したプロジェクトとして知られている。

前作のセルフタイトル作からは約2年という短い間隔でのリリース。2015年作の『II』は、単なる続編というより、バンドの組み方そのものが少し変化した作品として見ておきたい。制作面では、これまでと異なりメンバー全員で楽曲を共同制作したことが大きな特徴になっている。Ubovich自身が、バンドで一緒に曲を書くのは全員にとって初めての経験だったと振り返っており、その点もこのアルバムの骨格に反映されている。

音の輪郭と聴こえ方

『II』は、前作よりも長尺で、音の密度も高い。実際に聴くと、ギターの歪みが前に出たまま、低音がずっしりと下を支え、ドラムは細かい抜けよりも塊感を優先している印象が強い。曲の進み方も、ガレージ・ロックの勢いに加えて、テンポを落として圧をかける場面が目立つ。ブルースを土台にしたリフ、反復、そして鈍い重心が、アルバム全体を通して続いていく構成だ。

Ty Segallの名前が先に立つプロジェクトではあるものの、ここではギターのうねりとUbovichの歌が作品の表情をかなり左右している。前のめりに突っ走るだけではなく、少し暗い色味を持った展開が入り、音像に陰影を作っている点が『II』の性格を決めている。サイケデリックな広がりよりも、リフの反復と重さで押していく作り。80年代以降のハードロックや、2000年代以降のストーナー・ロックの文脈ともつながるが、演奏の荒さが残っているぶん、整いすぎない生々しさもある。

作品の位置づけ

Fuzzにとって『II』は、初期のバンド像をそのまま拡張した作品として扱いやすい。Ty Segallがドラムを叩きながらバンドを引っ張る体制はそのままに、メンバー間の共同制作が入ったことで、単独の主導で作るロック・プロジェクトとは少し違う手触りが出ている。The MeatbodiesのChad Ubovichが加わったことも、音の重さと歌の輪郭に影響している。

録音はSunset Sound Studiosで行われ、2015年4月末から5月初めにかけてのセッションがクレジットされている。さらにThe Shedでの追加作業、J.J. Goldenによるマスタリングと続き、最終的な音のまとまりはかなり明快だ。In The Red Recordsらしい、ラフさを残しつつも音圧をしっかり確保した仕上がりで、レーベルのカラーもよく出ている。Larry Hardyが立ち上げたこのレーベルは、ガレージやローファイ寄りのロックを長く支えてきた存在で、その系譜の中に『II』はきちんと置ける。

同時代の文脈

2010年代前半から中盤にかけては、ガレージ・ロックやストーナー・ロックの再評価が続き、Ty Segall周辺の動きもその流れの中心にあった。Fuzzはその中でも、軽快さより重量感を優先した側のバンドとして目立つ。Black Sabbath系の重さを下敷きにしつつ、ロサンゼルスの地下シーンらしい勢いを残すあたりが、このグループの持ち味になっている。

『II』は、そうした文脈の中で、ただの懐古的なハードロック再現に寄らず、現行の地下ロックとして鳴っているアルバム。長くなった演奏時間、暗めのトーン、共同制作によるまとまりが、そのまま作品の個性になっている。派手なヒット曲を前面に置くタイプではないが、アルバム単位で聴いたときの圧の強さが印象に残る一枚だ。

パッケージと盤の仕様

このUS盤はスタンダードなブラック・ヴィニール仕様。厚手の段ボールを使ったチップオン・ゲートフォールド・スリーブに、メンバー写真とクレジット入りのプリント・インナー、歌詞シート、ダウンロードカードが付属する。フロントのシュリンクにはIn The Red Recordsのハイプステッカー。ジャケット面の表記やセンターラベルにはITR-286、スパインにはITR 286、DLカードにはITR286と記載されている。D面の最後はロックド・グルーヴで終わる仕様になっている。

こうした作り込みも含めて、『II』は音だけでなくパッケージ面でも、2010年代のインディー・ハードロック作品らしい手触りを持ったアルバム。ラフな演奏、重いリフ、共同制作という組み合わせが、そのまま作品の輪郭になっている。

トラックリスト

  1. A1 Time Collapse Pt.II / The 7th Terror
  2. A2 Rat Race
  3. A3 Let It Live
  4. A4 Pollinate
  5. B1 Bringer Of Light
  6. B2 Pipe
  7. B3 Say Hello
  8. B4 Burning Wreath
  9. C1 Red Flag
  10. C2 Jack The Maggot
  11. C3 New Flesh
  12. C4 Sleestak
  13. D1 Silent Sits The Dust Bowl
  14. D2 II

動画プレイリスト

公開: 2026年8月
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