Joe Bataan - Saint Latin's Day Massacre (1972)
Joe Bataan『Saint Latin's Day Massacre』
1972年にFania Recordsから発表されたジョー・バターンの通算6作目のアルバム。“キング・オブ・ラテン・ソウル”の異名をとるバターンは、スパニッシュ・ハーレムで育ち、アフリカ系アメリカ人とフィリピン人のルーツを持つ。1960年代後半のラテン・ブーガルー旋風から1970年代初頭のハード・サルサ台頭へと向かう時代の過渡期にあって、ニューヨークのストリート・ソウルとラテン・リズムを最高純度で結実させた歴史的傑作である。
制作背景と多彩なサウンドスケープ
アル・カポネによる悪名高い聖バレンタインデーの虐殺をもじったタイトルを冠し、LP各面は「Side Life」「Side Death」と名付けられている。ニューヨークのブロードウェイ・レコーディング・スタジオで録音された本作は、バターンが持つドゥーワップ/スウィート・ソウルの甘美な叙情性と、ファニアが推進するハードなアフロ・キューバン・グルーヴが見事な対比を成している。
アフロ・キューバン〜サルサの熱気を伝える「Coco-e」や「Para Puerto Rico Voy」、チャチャのリズムから突如として疾走サルサへと展開する「Charangaringa」、そしてバターンの真骨頂であるスウィート・バラード「I Wish You Love」や「If I Were A King」など、多彩な曲調がドラマチックに連なる。
なかでも本作を決定づけているのが、アルバムの最後を飾るアイザック・ヘイズの名曲「Shaft」のカバーである。ブラックスプロイテーション映画音楽の金字塔を、熱気あふれるホーン隊と躍動するティンバレスを交えた超弩級のラテン・ファンクへと変貌させており、ストリートの熱気をそのまま封じ込めたフロア・キラーとして絶大な人気を誇る。
時代の文脈と「サルソウル」への道
本作は、バターンがファニア時代に残した総決算的なアルバムのひとつであると同時に、音楽史における重要な結節点でもある。ラテン音楽とソウル/ファンクを独自の美学でブレンドしたこの試みは、のちに彼自身が提唱する“サルソウル(Salsoul)”という概念へと直結した。翌1973年の名盤『Salsoul』の誕生、そして70年代後半のディスコ・シーンを席巻する名門サルソウル・レコーズの設立へとつながる萌芽が、本作のグルーヴにはすでに色濃く宿っている。
ストリートの緊張感と祝祭感が同居した、1970年代ニューヨーク・ラテン/ソウル・クロスオーバーの最高峰として、今なお色褪せない輝きを放ち続ける名盤である。
トラックリスト
- Side Life
- A1 Coco-e 3:09
- A2 I Wish You Love (Part 1) 3:32
- A3 I Wish You Love (Part 2) 5:56
- A4 Para Puerto Rico Voy 5:10
- A5 If I Were A King 3:50
- Side Death
- B1 Charangaringa 4:01
- B2 Ramona 4:38
- B3 El Regreso 3:02
- B4 Mujer 4:30
- B5 Shaft 5:49
動画プレイリスト
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Joe Bataan - Coco E (Audio Oficial)
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Joe Bataan - I Wish You Love, Pt. 1 (Audio Oficial)
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Joe Bataan - I Wish You Love, Pt. 2 (Audio Oficial)
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Joe Bataan - Para Puerto Rico Voy (Audio Oficial)
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Joe Bataan - If I Were A King (Audio Oficial)
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Joe Bataan - Charangaringa (Audio Oficial)
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Joe Bataan - Ramóna (Audio Oficial)
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Joe Bataan - El Regreso (Audio Oficial)
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Joe Bataan - Mujer (Audio Oficial)
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Joe Bataan - Shaft (Audio Oficial)
このアーティストについて
Joe Bataan(ジョー・バターン、本名:Bataan Nitollano)は、1942年11月15日生まれのラテン・ソウル/ファンク・ミュージシャンだ。ニューヨークのス...
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