Joe Bataan - Salsoul (1974)
Joe Bataan『Salsoul』
フィリピン系とアフリカ系のルーツを持つニューヨーク・スパニッシュ・ハーレム出身の「ラテン・ソウルの王者」ジョー・バターン(Joe Bataan)が、1973年録音/1974年にMericana Recordsから放った金字塔的アルバム『Salsoul』。タイトルは彼自身がアフロ・キューバン「Salsa」とブラック・アメリカン「Soul」を掛け合わせて生み出した造語であり、ストリートの熱気と多文化の交錯を象徴する歴史的傑作である。
制作背景・エピソード
本作は、長年所属したFania Recordsとの金銭的・創造的な軋轢を経てレーベルを離脱したバターンが、ケン、スタンリー、ジョーのケア兄弟(Cayre brothers)が設立したばかりの新興ラテン・レーベル「Mericana」に持ち込んだ渾身のプロジェクトであった。バターンが提示した「サルソウル」という革新的な音楽性と本作の商業的成功に強い衝撃を受けたケア兄弟は、後にディスコ音楽史を塗り替える巨大レーベル「Salsoul Records」を設立することとなる。
アルバムの白眉であるインストゥルメンタル「Latin Strut」(B1)は、当時大ヒットしていたエウミール・デオダートの「Super Strut」に着想を得たもの。猛スピードで疾走するコンガとティンバレス、跳ね回るベースとブラスが一体となったフロア・キラーだ。さらに自身のFania時代の代表曲「Ordinary Guy」をスペイン語で再録音した味わい深いモンテューノ・ソウル「Muchacho Ordinario」(A2)、ジャズ・スタンダードを熱狂的なマンボに組み替えた「Sunny Gets Blue Mambo」(A3)など、多彩なアプローチが光る。
時代の文脈
1970年代初頭のニューヨーク、エル・バリオ(スパニッシュ・ハーレム)。プエルトリコ系とアフリカ系コミュニティが隣り合わせで育んだブーガルー(Boogaloo)のムーヴメントを経て、より骨太でファンキーな進化を遂げたのがこのサウンドである。後年のSalsoul Recordsがフィラデルフィア・ソウルの華麗なオーケストレーションを取り入れたハイエンドなディスコへと発展したのに対し、本作は粗削りでアーシー、汗と熱気に満ちたオーガニックなストリート・ファンク/ラテン・ジャズの極致を捉えている。
後世への影響とレア・グルーヴの評価
本作はラテン音楽ファンのみならず、黎明期のヒップホップ・ブロック・パーティや、マンキューソのThe Loft、パラダイス・ガラージといった初期ダンス・カルチャーの現場でも熱烈な支持を獲得した。「Latin Strut」や、ジェームス・ブラウン〜ミーターズ直系の泥臭いディープ・ファンク「Aftershower Funk」(B4)は、数々のDJミックスやレア・グルーヴ・コンピレーションに収録され、現在も世界中のレコード・コレクターやDJから五つ星の名盤として崇められている。
トラックリスト
- A1 Mi Nube 2:50
- A2 Muchacho Ordinario 4:10
- A3 Sunny Gets Blue Mambo 3:45
- A4 Mujer Mia 4:30
- A5 Fin 2:52
- B1 Latin Strut 4:20
- B2 Johnny 4:35
- B3 Peace, Friendship, Solidarity 4:05
- B4 Aftershower Funk 5:11
動画プレイリスト
このアーティストについて
Joe Bataan(ジョー・バターン、本名:Bataan Nitollano)は、1942年11月15日生まれのラテン・ソウル/ファンク・ミュージシャンだ。ニューヨークのス...
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