Lords Of Acid - Voodoo-U (1994)
Lords Of Acid 1994

Lords Of Acid - Voodoo-U (1994)

Electronic Rock Industrial Techno Heavy Metal Breakbeat

Lords Of Acid『Voodoo-U』について

『Voodoo-U』は、ベルギー発のエレクトロニック・ユニット、Lords Of Acidが1994年に発表した2作目のスタジオ・アルバムである。前作『Lust』で打ち出したレイヴ寄りの感触を引き継ぎながら、この作品ではより重いインダストリアル色とロックの質感が前面に出ている。Lords Of Acidは、Praga KhanことMaurice Engelenを中心に、Nikkie Van Lierop(Jade 4U)、Oliver Adamsらが関わってきたプロジェクトで、90年代前半のアンダーグラウンドなダンス・ミュージックとインダストリアル・ロックの交差点に位置する存在として語られることが多い。

作品の位置づけ

本作は、バンドの初期像を固めた重要作として見られている。『Lust』が持っていたパーティ感やレイヴの推進力に対して、『Voodoo-U』はビートの圧力が強く、ギターの導入も目立つ。インダストリアル・ロック、ブレイクビーツ、テクノ、ヘヴィメタルの要素が混ざり合い、Lords Of Acidらしい性的なテーマの歌詞もそのまま残されている。単純なクラブ向け作品というより、ロックの文脈でも受け止められる作りになっているのが特徴だ。

ボーカル面では、Ruth McArdle(Lady Galore)がリードを担い、Jade 4Uがバックボーカルに加えて一部で主役を取る。前面に出る声の切り替わりがあり、曲ごとの色分けがはっきりしている。プロダクションは1991年から1994年にかけて進められ、主にAdams Studioで録音されたとされる。

代表曲と収録曲の印象

シングルとして知られる「The Crablouse」は、このアルバムを象徴する1曲である。甲殻類ではなく、シラミを題材にしたコミカルな曲として知られ、露骨なテーマをユーモアに振るLords Of Acidの持ち味がよく出ている。ビートは硬く、反復の作りも明快で、当時のクラブ・トラックらしい押しの強さがある。

また、「Young Boys」は映画『Virtuosity』に使用され、「Drink My Honey」は『Strange Days』に使われた。いずれも90年代中盤の映像作品に接続していくあたりに、このアルバムが持つ時代性が見える。音だけで閉じず、映画やサブカルチャーの側にも届いていた点は、この時期のインダストリアル/テクノ系作品らしい動きでもある。

ジャケットと発売時の反応

『Voodoo-U』は音だけでなく、ジャケットでも話題を集めた。アートワークはアメリカのホットロッド・アーティスト、Coopが手がけており、蛍光オレンジ色の悪魔たちを描いた強い絵柄が印象に残る。無修正版に加えて、大手チェーン店向けの修正版も用意されたという点からも、当時の流通現場でこの作品がかなり刺激の強いものとして扱われていたことがわかる。親への警告ステッカーが貼られたことも、このアルバムの性格を端的に示している。

米国盤LPはCaroline Recordsからのリリースで、カタログ番号はCAR 1770-1。作品情報としてはAmerican Recordings名義で語られることもあるが、この盤面上の表記はCaroline Recordsである。Carolineは当時、Virgin/EMI系の流通・レーベルとして機能しており、こうしたハードなダンス/オルタナ系作品を扱う受け皿になっていた。

同時代の文脈

1994年という年を考えると、インダストリアル・ロックはすでに一定の市民権を得ていて、ダンス・ミュージック側ではレイヴやハードコア・テクノの熱量がまだ強く残っていた。『Voodoo-U』は、その両方を雑に混ぜるのではなく、攻撃性のあるビートとロックの質感を同じ土俵に置いた作品として聴こえる。Nine Inch NailsやMinistryのようなインダストリアル・ロックの緊張感、あるいは当時のベルギー産ビッグビート/ニュー・ビート周辺の硬質なダンス感覚と、近い場所で鳴っている。

ただしLords Of Acidは、重さだけで押し切るバンドではない。性的なイメージ、露悪的なユーモア、クラブ仕様の反復が同居していて、そのバランスがこのアルバムの個性になっている。前作からの延長線上にありつつ、より重い方向へ振れたことで、後の活動にもつながる輪郭がはっきりした作品として残っている。

その後の扱い

『Voodoo-U』はオリジナル盤ののち、1996年にボーナストラックを加えた再発が行われ、2001年にはボーカルを外した『Stript』版も登場している。こうした展開からも、アルバム単体の完成度だけでなく、クラブ・トラック集としての使われ方も意識されていたことがうかがえる。Lords Of Acidの初期を語るうえで、そして90年代半ばのインダストリアル/テクノの混線を確認するうえで、外せない1枚である。

トラックリスト

  1. A1 Voodoo-U
  2. A2 The Crab Louse
  3. A3 She And Mr. Jones
  4. A4 Do What You Wanna Do
  5. A5 Young Boys
  6. A6 Out Comes The Evil
  7. B1 Mister Machoman
  8. B2 Marijuana In Your Brain
  9. B3 Special Moments
  10. B4 Dirty Willy
  11. B5 Drink My Honey
  12. B6 Blowing Up Your Mind

動画プレイリスト

公開: 2026年9月
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