The Chemical Brothers - Exit Planet Dust (1995)
The Chemical Brothers『Exit Planet Dust』
トム・ローランズ(Tom Rowlands)とエド・シモンズ(Ed Simons)によるThe Chemical Brothersの衝撃的デビュー・アルバム(邦題『さらばダスト惑星』)。1995年6月に発表され、UK盤はジュニア・ボーイズ・オウン傘下のFreestyle Dust(Virgin Records配給)からリリースされた。録音は1994年8月から11月にかけてロンドン南部のOrinocoスタジオとDa Daスタジオで行われ、ダンス・ミュージック史の地殻変動を象徴する作品となった。
制作背景と改名劇
もともと二人は、敬愛するビースティ・ボーイズ『Paul's Boutique』を手掛けた米プロデューサー陣に因んで「The Dust Brothers」を名乗って活動していた。しかし、全米本家のダスト・ブラザーズ側から訴訟の警告を受けたため、自身の楽曲「Chemical Beats」から取って「The Chemical Brothers」へと改名。本作のタイトル『Exit Planet Dust(ダスト惑星からの脱出)』は、その改名劇への決別と新たな門出を意味している。
ゲスト陣には、ザ・シャーラタンズのフロントマンであるティム・バージェス(「Life Is Sweet」)や、フォーク/エレクトロニカの歌姫ベス・オートン(「Alive Alone」)が参加。彼らがレジデントDJを務め、オアシスやプライマル・スクリームらロック勢も集った伝説的クラブ・イベント「ヘヴンリー・サンデー・ソーシャル(Heavenly Sunday Social)」の熱気がダイレクトに反映されている。
時代の文脈とビッグ・ビートの胎動
1995年の英国はブリットポップの全盛期だったが、同時にクラブ・シーンではアシッド・ハウス、テクノ、ヒップホップのブレイクビーツが交錯し、ロック・ファンとクラバーが同じフロアで境界なく踊り明かす新しいムーブメントが勃興していた。The Chemical Brothersはその震源地となり、ギター・ロック派をもノックアウトする重量級のブレイクビーツを提示して、プロディジーやファットボーイ・スリムとともに「ビッグ・ビート」という世界的熱狂の扉を開いた。
サウンドと聴きどころ
ブレイク・バクスターのシャウトをサンプリングした爆発的なキラー・チューン「Leave Home」から、アンドリュー・ウェザオールのクラブSabresonicでのフロア熱狂をダイレクトに記録した「Song To The Siren」、凶暴なアシッド・シンセと極太ドラムが暴れ狂う「Chemical Beats」まで、怒涛のブレイクビーツがフロアを揺るがす。
単なるシングル集にとどまらず、全編がDJミックスのようにシームレスに展開する構成美も白眉だ。後半には「One Too Many Mornings」のメロウな浮遊感から、ベス・オートンの切なくも美しい歌声が深い余韻を残す「Alive Alone」へと着地し、サイケデリックでエモーショナルなトータル・アルバムとしての完成度を誇っている。
後世への影響
本作は全英アルバムチャートで初登場9位を記録し、ロングセラーとなってプラチナ・ディスクを獲得。Q誌、NME、Select誌など英音楽メディアの年間ベスト・アルバム上位を独占した。ダンス・アクトがアルバムという総合芸術のフォーマットで批評的・商業的勝利を収める道を確立し、ロックとクラブ・ミュージックを決定的に融合させた90年代英国音楽の記念碑的名盤である。
トラックリスト
- A1 Leave Home
- A2 In Dust We Trust
- B1 Song To The Siren
- B2 Three Little Birdies Down Beats
- B3 Fuck Up Beats
- B4 Chemical Beats
- C1 Life Is Sweet
- C2 Playground For A Wedgeless Firm
- D1 Chico's Groove
- D2 One Too Many Mornings
- D3 Alive Alone
動画プレイリスト
このアーティストについて
The Chemical Brothersは、Tom RowlandsとEd Simonsによるイギリスのエレクトロニック・デュオだ。マンチェスター大学の歴史学の授業で1989年に出会い...
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