Pet Shop Boys - Actually (1987)
Pet Shop Boys『Actually』(1987) レコード解説
Pet Shop Boysの『Actually』は、1987年9月にUKで発表された2作目のスタジオ・アルバムだ。前作『Please』で示したシンセ・ポップ/ダンス・ポップの方向性を、より整理された形で押し広げた作品として位置づけられている。Neil TennantとChris Loweの2人組によるこの時期の作品は、80年代後半の英国ポップを語るうえで外せない存在で、冷静な語り口と明快なメロディ、打ち込み中心の制作がきれいに噛み合っている。
作品の位置づけ
『Actually』は、Pet Shop Boysにとって初期キャリアの重要な到達点といえるアルバムだ。公式サイトでも1987年9月7日発売とされ、UKアルバム・チャートでは初登場2位を記録している。前作で注目を集めたあと、この作品ではヒット曲の存在感がさらに強まり、グループ名を広く定着させた一枚になっている。
収録曲の中でも特に知られているのが「It’s a Sin」だろう。全英1位を獲得したこの曲は、宗教教育をめぐる歌詞と、シリアスなテーマを大きなポップ・ソングとしてまとめた構成で話題になった。続く「What Have I Done to Deserve This?」はDusty Springfieldとの共演曲で、英国でも米国でも上位に入るヒットとなった。さらに「Rent」「Heart」もシングルとして存在感を示し、この時期のPet Shop Boysが批評面と商業面の両方で強い勢いを持っていたことが分かる。
制作とサウンド
制作面ではStephen Hagueを軸に、Julian Mendelsohn、Shep Pettibone、Andy Richardsらが関わっている。曲ごとに手触りが少しずつ変わるのは、この複数プロデューサー体制の影響が大きい。とはいえ全体としては、音の配置がきっちりしていて、リズム、シンセ、ボーカルの距離感が明確だ。派手に音を重ねるより、要所を押さえて曲を立てる作りが中心で、Pet Shop Boysらしい整った印象が残る。
レコードのクレジットでは「actually is a digital recording, digitally mixed and mastered」と記されており、デジタル録音・デジタル・ミックス/マスターであることが明示されている。80年代後半らしい制作環境が、音の輪郭のはっきりした仕上がりにつながっている。LondonのSarm WestとAdvision Studiosで録音されている点も、この時代の英国ポップ作品らしい背景だ。
この盤の仕様
今回のUK盤はParlophone(PCSD 104)で、1987年リリースのオリジナル盤。ジャケットは標準的なスリーブで、表面はマット仕上げ、内袋はグロッシー仕上げになっている。内袋の片面にはバンド写真、もう片面にはクレジットが掲載されている。コピーによっては「It’s a sin」「What have I done to deserve this?」「Rent」「Heart」を収録したヒット作であることを示すステッカーが付いていたようだ。
裏ジャケットには「℗ 1987 Original Sound Recordings made by EMI Records Ltd. © 1987 EMI Records Ltd.」「Sleeve printed in England」「Manufactured in England」とあり、センターラベルには「MANUFACTURED IN THE UK BY EMI RECORDS LIMITED」と記載されている。Parlophone名義ながらEMIロゴが併記されるのは当時のUK盤ではよく見られる表記で、レーベルの歴史的な位置関係を示している。
同時代とのつながり
『Actually』のような80年代後半の英国シンセ・ポップは、同時期のダンス・ミュージックやクラブ文化とも地続きにある。Pet Shop Boysは、同じく英国ポップの文脈で語られることの多いDepeche ModeやErasureと並べて語られることが多いが、その中でも歌詞の視点がやや距離を保っている点、そして都会的な会話の断片をそのまま曲に落とし込むような書き方が特徴的だ。
また、ゲスト参加のDusty Springfieldは、この曲を通じて80年代の新しいポップ制作と接続された存在としても印象に残る。Pet Shop Boys自身も、その後のUKポップにおいて、洗練された打ち込みと明確なメロディを両立させるモデルのひとつになっていく。
まとめ
『Actually』は、Pet Shop Boysが初期の段階で到達した完成度の高いアルバムだ。シングルの強さだけでなく、アルバム全体としても曲順と音像がよく整っていて、1987年という年のUKポップの空気をよく伝えている。ヒット曲の印象が強い一方で、アルバム単位で聴くと、冷静な視線とダンス・ミュージックの推進力がきれいに同居していることが分かる。オリジナルUK盤として手に取ると、その時代の制作感やパッケージの作りも含めて、この作品の輪郭がよりはっきり見えてくる。
トラックリスト
- A1 One More Chance 5:28
- A2 What Have I Done To Deserve This? 4:21
- A3 Shopping 3:37
- A4 Rent 5:07
- A5 Hit Music 4:44
- B1 It Couldn't Happen Here 5:19
- B2 It's A Sin 4:59
- B3 I Want To Wake Up 5:08
- B4 Heart 3:57
- B5 King's Cross 5:09
動画
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One More Chance (2018 Remaster)
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What Have I Done to Deserve This? (with Dusty Springfield) [2018 Remaster]
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Shopping (2018 Remaster)
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Rent (2018 Remaster)
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Hit Music (2018 Remaster)
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It Couldn't Happen Here (2018 Remaster)
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It's a Sin (2018 Remaster)
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I Want to Wake Up (2018 Remaster)
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Heart (2018 Remaster)
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King's Cross (2018 Remaster)