The The - Heartland (1986)
The The『Heartland』について
The Theは、Matt Johnsonを中心に動くイングランドの音楽グループだ。固定メンバー制ではなく、作品ごとに参加者が変わるのが大きな特徴で、ロック、電子音楽、シンセポップの要素を行き来しながら、80年代以降のUKシーンで独自の立ち位置を築いてきた。
『Heartland』は1986年にUKのEpicから出たシングルで、同年のアルバム『Infected』期の重要な一枚だ。The Theにとっては、アルバム『Soul Mining』で注目を集めた後、表現の幅をさらに広げていた時期の作品であり、チャート面でも存在感を示した楽曲でもある。アーティスト側の情報では、この曲はUKチャートで29位を記録している。
作品の位置づけ
『Heartland』は、The Theの中でも比較的広く知られた楽曲のひとつとして扱われることが多い。1986年の『Infected』は、Zeke ManyikaやNeneh Cherryらが参加した制作で、バンドというよりプロジェクト性の強いThe Theの性格がよく出た時期でもある。その中で『Heartland』は、アルバムの流れを支えるだけでなく、単独でも印象を残す曲として機能している。
同時代のUK作品と並べると、ポストパンク以後の感覚を保ちながら、より打ち込みやスタジオ制作の比重が増した80年代中盤の空気が見えやすい。The Theは、単純なギターロックに寄らず、ソウルやダブ、シンセの質感を取り込むアーティストとして語られることが多く、『Heartland』もその文脈に置きやすい。
サウンドと聴きどころ
曲の骨格は比較的すっきりしていて、リズムの推進力とメロディの流れが前に出るタイプだ。派手に展開を重ねるというより、一定のテンションを保ちながら進んでいく作りで、Matt Johnsonの歌が曲の輪郭を決めている。耳に残るのは、音数を詰め込みすぎない編成と、言葉の運びの強さだ。
実際に聴くと、The Theの作品にある冷たさと都会的な感触がはっきりしている一方で、曲としての押し出しもある。ギター、シンセ、リズムが前後にぶつかり合うというより、きれいに並走する印象で、80年代中盤のUKらしい整った質感がある。
曲と時代背景
1986年のUKでは、オルタナティブ・ロックやシンセポップの文脈が互いに近づきつつあった。The Theはそのあいだを行き来する存在で、同時代の比較対象としては、ソングライティングの強いUK勢や、スタジオ志向のポップ・ロックを作っていたアーティスト群が思い浮かぶ。とはいえ、The TheはあくまでMatt Johnsonの視点が前面に出るため、単なる潮流の一部としては収まりにくい。
『Heartland』は、そうしたThe Theの性格を分かりやすく示す一曲だ。アルバム期の空気を切り出したようなシングルでありながら、単体でも曲の構成と歌詞の運びが前に出る。1986年という年のUK作品らしい、整った制作と鋭い言葉のバランスが見える。
リリース情報
- アーティスト: The The
- タイトル: Heartland
- オリジナルリリース年: 1986年
- リリース国: UK
- レーベル: Epic (TRUTH T 2)
- ジャンル: Electronic, Rock
- スタイル: Alternative Rock, Synth-pop
ひとこと
『Heartland』は、The Theが1980年代半ばに持っていた作家性と、UKの同時代的な音の空気が重なるシングルだ。Matt Johnsonの曲作りの輪郭がはっきり見える一枚として、The Theの入口にも、80年代UKの文脈をたどる一枚にも置ける作品である。
トラックリスト
- A Heartland 5:02
- B1 Flesh & Bones 4:00
- B2 Born In The New S.A. 1:58
動画
- The The - Heartland (Official Video)
- The The - Slow Train To Dawn (12'' Version) 1986
- The The - Heartland (12 version)
- Heartland
- The The - Born In The New SA
- Sweet Bird Of Truth (12" Remix)
- Sweet Bird Of Truth
- The The - Flesh and Bones