Kelan Phil Cohran And Legacy - African Skies (2010)
Kelan Phil Cohran And Legacy『African Skies』
Kelan Phil Cohranは、1927年生まれのジャズ・トランペッターであり、Sun Ra Arkestraでの活動や、自作の電化カリンバ「Frankiphone(Space Harp)」で知られる人物だ。『African Skies』は、そのCohranが1993年にシカゴのアドラー・プラネタリウムのために録音した作品で、2010年にCaptcha Recordsから初めてLP化された。1000枚限定のゲートフォールド仕様で出た盤で、録音から17年を経ての初出となった。
制作背景と録音の経緯
この作品は、アドラー・プラネタリウムのプログラム『African Skies』に合わせて作られた。プログラムでは、アフリカ各地の天文台の映像や写真に、Cohranの音楽が組み合わされていたという。編成は通常のジャズ・グループとはかなり異なり、2本のコントラバス、2台のハープ、パーカッション、ヴァイオリンとサックスのライン、声、そしてFrankiphoneが置かれている。Cohran自身もトランペット、ギター、フルート、ヴァイオリンなどを担当した。
また、Cohranはこの作品をSun Raに捧げている。Sun Raは録音の数週間後に亡くなった。
時代の文脈
Cohranは1959年から1961年までSun Ra Arkestraに在籍し、1965年にはAACM(創造的音楽家の進歩のための協会)の設立に加わり、1967年にはシカゴのサウスサイドにAfro-Arts Theaterを開いている。さらに、彼は若いMaurice Whiteとその兄弟たちに音楽を教えたと語っており、FrankiphoneがのちのEarth, Wind & Fireにおける電化カリンバ使用のきっかけになったともされる。
コレクターの間では、本作は『On the Beach』や『The Malcolm X Memorial』と並んで語られることがあり、高値で取引されることもある。
その後の受け止め
HHV MagのAlbert Kochは、本作を「謎めいて、ときにサイケデリック」と評し、スピリチュアル・ジャズの通常の枠をはるかに超えていると書いている。あわせて、Cohranがジャズのアフリカ的な遺産を作品の中心に据え、過去を今も意味を持つ形に作り替えているとも述べ、本作をスピリチュアル・ジャズの遅れてきた金字塔と呼んだ。In Sheep's Clothing HiFiは、Frankiphoneとハープが絡み合う「Kilimanjaro」と、パーカッションと弦の上でFrankiphoneが渦を巻く「The Dogon」を聴きどころとして挙げている。
Cohranは2017年6月28日にシカゴで90歳で死去した。のちには、Stones Throwが立ち上げたListening Positionが、オリジナルのDATから復元・リマスターした再発盤を2026年に出し、アドラー・プラネタリウムのオリジナル・プログラム・ノートも収録している。息子たちのうち8人はHypnotic Brass Ensembleとして活動し、2012年には父と共演したアルバムも発表している。
トラックリスト
- A1 Theme 4:15
- A2 White Nile 10:12
- A3 Cohran Blues 6:43
- B1 The Dogon 2:49
- B2 Sahara 1:45
- B3 Kalahari 6:18
- B4 Kilimanjaro 11:00