Pierre Moerlen's Gong - Time Is The Key (1979)
Pierre Moerlen's Gong 1979

Pierre Moerlen's Gong - Time Is The Key (1979)

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Pierre Moerlen's Gong『Time Is The Key』(1979)

Pierre Moerlen's Gongの『Time Is The Key』は、1979年にドイツ盤として登場したアルバムで、Gongの中でもPierre Moerlen体制がはっきり前面に出た時期の作品である。Daevid Allen在籍期のサイケデリックで宇宙的な感触とは距離を取り、打楽器を軸にしたジャズ・ロック/フュージョンへと整理された流れの中に置かれる一枚だ。Arista移籍後の初期作群に連なるタイトルで、バンドの輪郭をかなり明確に示している。

この時期のPierre Moerlen's Gongは、マリンバ、ヴィブラフォン、グロッケンシュピールといったマレット系の音色が大きな特徴になっている。Pierre Moerlen本人に加え、Benoit MoerlenやFrançois Causseらの打楽器が重なり、そこにHansford Roweのベース、Peter Lemerのキーボード、そして曲によってはAllan Holdsworthのギターが加わる。編成だけを見るとかなり多彩だが、実際の音は散らかる方向ではなく、各パートがきっちり役割分担された印象が強い。

作品の位置づけ

本作は、Pierre MoerlenがGongの実質的な中心人物として定着していく流れの中で重要な位置を占める。Gongという名前を残しながらも、音楽の重心はすでに別の場所に移っていて、その変化がはっきり聴き取れる時期だ。Aristaからは1979年から1981年にかけて『Downwind』『Time Is The Key』『Live』『Leave It Open』が出ており、一般にはこの4作がMoerlen体制の代表作として語られることが多い。

1979年のAristaレーベル盤という点も興味深い。ドイツ盤はAriola系列の流通下で出ており、ジャケットやラベルの仕様も当時のAristaらしい時期のものになっている。音楽そのものは国際色の強い内容だが、盤としてはヨーロッパでの流通や製造の色が濃い。

アルバム全体の聴きどころ

全体を通して感じるのは、前作『Downwind』よりも少し整理された構成で進むことだ。リズムの組み立ては複雑でも、各曲の見通しは比較的よく、聴き手は打楽器の細かな動きとメロディの流れを追いやすい。ジャズ・ロックとしての緻密さと、フュージョン寄りの滑らかさが同居している印象である。

また、Pierre Moerlenの作品としては珍しくないが、ここでも“ドラムが目立つ”というより“打楽器群が曲の骨格を作る”感覚が強い。派手なソロで押し切るタイプではなく、音の重なりや配置で曲を進める作り。実際に聴くと、各楽器が短いフレーズを受け渡ししながら組み上がっていく場面が多く、演奏の密度が高い。

注目曲「Arabesque Intro & Arabesque」

この曲は本作の聴きどころとしてよく挙げられる。イントロから本編へつながる構成で、曲の流れが切れないまま展開していく。マレット系の音が前面に出る一方で、Peter Lemerのキーボードが和声を支え、Hansford Roweのベースが曲の推進力を保つ。Gongのこの時期らしい、演奏の精度がそのまま曲の性格になっているタイプだ。

特にAllan Holdsworthのギターは、音数で押すのではなく、線を引くように入ってくる。フュージョン的な流れの中に、少し異質な角度を与える役割で、曲全体の輪郭をぼやけさせない。Gongの中でも、Holdsworthの存在感がはっきり記憶に残る場面として扱われるのは納得しやすい。

「Time Is The Key」という題名の印象

タイトル曲は、アルバムの方向性をそのまま示すような位置にある。時間の流れをテーマにしたような題名だが、音の作りはむしろ機械的というより有機的で、打楽器の反復とフレーズの積み重ねで進んでいく。派手な展開を連発するより、同じ材料を少しずつ変化させながら持続させる構成が印象に残る。

この手の曲では、演奏のまとまりが崩れると単調に寄りやすいが、『Time Is The Key』ではその心配が少ない。各パートの入り方が丁寧で、アンサンブルの中で音がぶつかりすぎない。Moerlen体制のGongが、サイケデリックな拡散ではなく、演奏の組織化によって独自性を出していたことがよく分かる。

同時代との関係

1979年前後のジャズ・ロックやフュージョンの文脈で見ると、本作は派手な商業性を狙った作品というより、演奏家主導の精密なバンド・サウンドに近い。Weather ReportやMahavishnu系の強い推進力とは少し違い、マレット楽器を多用した点で独自性がある。カンタベリー系の流れを思わせる部分もあるが、Gongならではの浮遊感より、演奏の組み立てに意識が向いている。

当時の評価としては、初期Gongや『Gazeuse!』『Expresso II』ほど広く語られる作品ではないが、Moerlen体制の流れを理解するうえでは外しにくい一枚である。曲作りの段階は1979年春から初夏にかけてアイルランドで進められたとされており、その時点でバンドの方向性がかなり固まっていたことがうかがえる。

まとめ

『Time Is The Key』は、Gongという名前の下で進んだ大きな変化を、そのまま形にしたアルバムである。打楽器主導のアンサンブル、整理された構成、Allan Holdsworthを含む演奏陣の緊張感。派手な物語性よりも、バンドの編成と演奏の組み立てそのものが聴きどころになっている作品だ。Moerlen時代のGongを知るうえで、1979年の時点でここまで輪郭が定まっていたことがよく分かる内容である。

トラックリスト

  1. A1 Ard Na Greine 6:11
  2. A2 Earthrise 2:25
  3. A3 Supermarket 3:37
  4. A4 Faerie Steps 5:34
  5. A5 An American In England 2:57
  6. B1 The Organ Grinder 3:57
  7. B2 Sugar Street 2:22
  8. B3 The Bender 3:20
  9. B4 Arabesque Intro 3:23
  10. B5 Arabesque 1:52
  11. B6 Esnuria Two 5:35
  12. B7 Time Is The Key 2:22

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