Tony Allen Plays With Afrika 70 - Progress (1977)
Tony Allen 1977

Tony Allen Plays With Afrika 70 - Progress (1977)

Folk, World, & Country Funk / Soul Afrobeat

Tony Allen Plays With Afrika 70『Progress』について

1977年にナイジェリアでリリースされたTony Allen Plays With Afrika 70名義の『Progress』は、トニー・アレンがFela Kuti率いるAfrika 70の中で培ったアフロビートを、自分の側から押し出した重要な一枚だ。アレンはドラマーとしてだけでなく、作曲家、編曲の感覚を持つバンドの推進役でもあり、この作品ではその役割がはっきり表れている。アフロビートというとFelaのイメージが強いが、この盤を聴くと、その土台を支えていたのがトニー・アレンの演奏と設計だったことがよくわかる。

レーベルはナイジェリアのCoconut (PMLP 1004)。盤面のランアウトには「701」があり、プレス工場の表記も確認できる。1970年代後半のラゴスで作られた現地盤として、当時の空気をそのまま閉じ込めたような存在だ。作品のクレジット上はTony Allen Plays With Afrika 70名義だが、内容面ではトニー・アレン自身のソロ作としての性格が強い。

作品の中身

収録は長尺の2曲構成で、なかでも「Afro Disco Beat」がこの作品を語る際の中心になる。曲名どおりディスコの要素を思わせる反復がありつつ、実際にはアフロビート特有の層の厚いリズムが前へ進む。ドラムは細かく動きながらも全体の推進力を崩さず、ベースやホーンの反復と噛み合って、長い時間の中で少しずつ熱を上げていく作りだ。派手な展開で引っ張るというより、同じフレーズを保ちながら内部の密度を変えていくタイプの演奏で、そこにトニー・アレンの持ち味が出ている。

もう一方の曲も含めて、全体はダンスのための機能を持ちながら、演奏の精度や間の取り方にかなり神経が使われている印象が強い。Fela Kutiの作品と比べると、こちらのほうがリズムの整理が行き届いていて、ジャズ寄りの感触を受ける場面もある。とはいえ、アフロビートの骨格そのものはしっかりしていて、ファンクの反復、R&B由来のグルーヴ、ナイジェリアの都市音楽の感覚が重なっている。

トニー・アレンにとっての位置づけ

トニー・アレンは、Fela KutiのAfrica 70、Afrika 70、さらにEgypt 80でも中心的なドラマーを務めた人物で、アフロビートの形成に深く関わった。『Progress』は、そのなかで自分の作曲とバンド運営の感覚を前面に出した時期の作品として見ることができる。Felaの巨大なバンドの内部から生まれた音でありながら、演奏の重心や構成の感覚にはアレン本人の個性がはっきりある。

この作品が面白いのは、単なるサイドプロジェクトではなく、アフロビートの「中核」を担っていた人物が、自分の視点でその語法を組み立てている点にある。アレンのドラムは、激しく叩きつけるというより、複数のリズムを同時に走らせるような感覚が強い。その結果、曲全体が前へ押し出されるだけでなく、横にも広がるような動きを見せる。

同時代の文脈

1970年代のナイジェリアでは、Fela Kutiを中心にアフロビートが大きく発展していた。同じ時代の作品群の中で『Progress』は、Fela本体の政治的で長大な組曲とは少し違う角度から、同じ言語を使っている盤として位置づけられる。アフロビートの反復性や編成の厚みは共有しつつ、トニー・アレンの側ではドラム主導の構築感がより前に出る。

後年の再評価でも、この盤はアフロビートの名盤の一つとして扱われることが多い。「Afro Disco Beat」は代表曲として言及されやすく、再発盤の紹介でも真っ先に取り上げられる。ヒット曲という意味で広く一般市場に流通したタイプではないが、アフロビート史の中では非常に重要な一曲といえる。

聴きどころ

  • トニー・アレンのドラムが曲全体を組み立てていく感覚
  • 反復を保ちながら少しずつ変化する編成の流れ
  • 「Afro Disco Beat」にある、ダンス志向と演奏精度の両立
  • Fela Kuti作品と地続きでありながら、やや整理された印象のある構成

『Progress』は、アフロビートを誰が支えていたのかを具体的に示す記録でもある。Fela Kutiの影に隠れるのではなく、トニー・アレンのドラミングと作曲感覚がどれほど大きな役割を果たしていたかを、音そのもので伝える一枚だ。1977年のラゴスで生まれたこの盤には、アフロビートが単一のバンド・サウンドではなく、複数の中心を持った音楽であることがよく表れている。

トラックリスト

  1. A Progress
  2. B Afro Disco Beat

動画

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