Vinyl Record Reviews
However(ハウエヴァー)は、1977年にアメリカ・バージニア州およびワシントンD.C.近郊で結成されたプログレッシブ・ロック/チェンバー・ロック・バンド。主要メンバーはピーター・プリンチオット(ベース、チェロ、キーボード他)、ジョー・プリンチオット(ドラムス、パーカッション)、ボビー・リード(サックス、クラリネット、フルート、キーボード)、ビル・コタピッシュ(ギター)の4人。アメリカ東海岸のアヴァン・プログレ・シーンにおいて、Happy The ManやThe Muffinsらと志を同じくしながら活動を展開した。
1981年、自主制作レーベルRandom Radar Records周辺からファースト・アルバム『Sudden Dusk』を発表。変拍子を鮮やかに操る緻密なアンサンブル、木管楽器やマリンバ、シタール、チェロを取り入れた室内楽的響き、そして軽やかなジャズ・フュージョンの感性が一体となったサウンドは、米プログレ史上の隠れた名盤として高く評価された。1985年にはセカンド・アルバム『Calling』をリリースし、より構築美とメロディを洗練させたアプローチを聴かせた。
なお、サックスや木管楽器を担当したボビー・リードは、後にブルース・ホーンズビー&ザ・ノイズメイカーズ(Bruce Hornsby & The Noisemakers)の長年のメンバーとしても広く活躍することとなる。
Howeverの音楽は、シンフォニック・ロックの雄大さと、ジェントル・ジャイアントやナショナル・ヘルス(カンタベリー系)に通じる知的な変拍子、そしてアヴァンギャルドな室内楽(RIO)の実験性が絶妙なバランスで共存している点が最大の魅力である。ギター・オリエンテッドなロックの枠組みを超え、木管楽器と多重鍵盤、変幻自在のリズム隊が織りなすサウンドスケープは唯一無二の個性を放つ。
1990年代に入り、米前衛音楽の名門レーベルCuneiform Recordsから未発表音源を追加したリマスター盤がCD再発されたことで世界的な再評価が加速。「アメリカン・チェンバー・ロック/アヴァン・ジャズ・プログレの至宝」として確固たる地位を築いている。