Vinyl Record Reviews
Rose Royce(ローズ・ロイス)は、1970年代初頭にロサンゼルスのサウスセントラルで結成されたアメリカのファンク/ソウル/ディスコ・グループ。エモーショナルな歌声を持つ女性リード・シンガーのグウェン・ディッキー(Gwen Dickey、Rose Norwalt名義)をフロントに据え、ギターのケンジ・ブラウン(Kenji Brown)、ベースのルクイント・“デューク”・ジョーブ(Lequeint "Duke" Jobe)、キーボードのヴィクター・ニックス(Victor Nix)、ドラムスのヘンリー・ガーナー(Henry Garner)、テレル・サンティエル(Terral Santiel)、そしてケニー・コープランドやフレディ・ダン、マイケル・ムーアら強力なホーン・セクションを擁する大所帯バンドとして活躍した。
モータウンでテンプテーションズやマーヴィン・ゲイの名作を手掛けた伝説的プロデューサー、ノーマン・ホイットフィールド(Norman Whitfield)に見出され、彼が立ち上げたホイットフィールド・レコード(Whitfield Records)の看板グループとして1970年代後半のブラック・ミュージック・シーンの頂点に立った。
バンドの母体は、エドウィン・スターのツアー・バックバンドなどを務めていた実力派インストゥルメンタル・グループ「Total Concept Shorthorn」だった。そのタイトで強靭な演奏力に惚れ込んだホイットフィールドが、マイアミ出身の若き女性シンガー、グウェン・ディッキーを引き合わせ、バンド名を「Rose Royce」と命名したことで黄金のラインナップが完成した。
Rose Royceの名を一躍世界に知らしめたのが、1976年公開のコメディ映画『Car Wash』のサウンドトラックである。映画の主題歌「Car Wash」は、軽快なハンドクラップと唸るスラップ・ベースに乗せたディスコ・ファンク・クラシックとなり、全米Billboard Hot 100およびR&Bチャートで同時に1位を獲得するメガヒットを記録。グラミー賞の最優秀映画音楽作曲賞を受賞した。
さらに同サントラからは、甘美なスロー・バラード「I Wanna Get Next to You」(全米10位、R&B 1位)や、のちにメアリー・J. ブライジがカヴァーして世界的ヒットとなった「I'm Going Down」など、歴史的な名バラードが次々と生まれた。
続く1977年のセカンド・アルバム『In Full Bloom』も米R&Bアルバム・チャートで1位(全米9位)を記録し、プラチナ・ディスクを獲得。「Do Your Dance」「Ooh Boy」に加え、荘厳なストリングスとディッキーの切ない熱唱が胸を打つ名バラード「Wishing on a Star」が全英3位の大ヒットを記録。この曲はのちにビヨンセ、シール、ジェイ・Zら多くのアーティストに歌い継がれ、不朽のソウル・スタンダードとなった。
Rose Royceのサウンドの真骨頂は、ノーマン・ホイットフィールドによる重厚でサイケデリックなオーケストレーションと、バンドが生み出す太く粘り気のあるファンク・グルーヴ、そしてグウェン・ディッキーの可憐で伸びやかなヴォーカルの見事な融合にある。躍動感あふれるダンス・フロア向けのアップテンポから、聴き手の心を掴むメロウなスロー・ジャムまで幅広い表現力を誇り、1970年代ソウル/ファンクを代表する最高峰のバンドとして今なお世界中で愛され続けている。