Vinyl Record Reviews
Cortex(コルテックス)は、1970年代にフランスで活動した伝説的なジャズ・フュージョン/ジャズ・ファンク・グループ。中心メンバーは、ピアノ/フェンダー・ローズの演奏と作編曲を担ったアラン・ミオン(Alain Mion)と、ドラムス/パーカッションのアラン・ガンドルフィ(Alain Gandolfi)。女性シンガーのミレイユ・ダルブレ(Mireille Dalbray)、アルトサックス/フルートのアラン・ラビブ(Alain Labib)、ベースのジャン・グレヴェ(Jean Grevet)らが名を連ねた。
Cortexの魅力は、フレンチ・ジャズの洗練されたハーモニー、ボサノヴァのサウダージ感、そしてソウルやファンクの弾むビートが美しく調和したサウンドスケープにある。特にアラン・ミオンの温かみあふれるエレピ(Fender Rhodes)の響きと、ミレイユ・ダルブレによる軽やかでコケティッシュなスキャット、リリカルなサックスとフルートが、グループ独自の瑞々しいアンサンブルを生み出している。
1975年に名門Disques Espéranceから発表されたデビュー作『Troupeau Bleu』は、フレンチ・レアグルーヴの金字塔として名高い。発売当時は限られた評価にとどまっていたが、1990年代のアシッド・ジャズ/レアグルーヴ・ムーヴメントで再評価され、2000年代以降はヒップホップのサンプリング・ソースとして決定的な名声を獲得した。
特にオープニング曲「Huit Octobre 1971」や「Chanson d'un Jour d'Hiver」は、マッドリブ(Madlib)、MFドゥーム(MF DOOM)、タイラー・ザ・クリエイター(Tyler, The Creator)、ウィズ・カリファ(Wiz Khalifa)、リック・ロス(Rick Ross)、ルペ・フィアスコ(Lupe Fiasco)ら数多のトップ・プロデューサーやラッパーにサンプリングされ、現代のビートメイキング文化における不朽のクラシックとなった。
『Troupeau Bleu』の成功後、グループはよりダイレクトなジャズ・ファンク/ディスコ路線を展開した『Vol. 2』(1977年)や『Pourquoi』(1978年)を発表。2000年代以降は名門レーベルからの公式リイシューが相次ぎ、世界中で熱狂的なリスナーを獲得した。
アラン・ミオンは「Alain Mion & Cortex」として新編成で世界各国の音楽フェスティバルに出演するなどライブ活動を展開。1970年代のフランスが生んだ最高峰のメロウ・グルーヴとして、現在も国境や世代を超えて絶大なリスペクトを受け続けている。