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Lincoln Olivetti & Robson Jorgeは、ブラジルのリオデジャネイロで活動した2人組だ。1970年代後半から1980年代にかけて、編曲家、演奏家、作曲家としてブラジル音楽の現場で重要な仕事を重ねた。
Robson Jorge(Robson Jorge da Costa Britto、1954年生まれ)は、子どものころからテレビ番組に出演し、兄弟とともにリオ郊外のダンス・パーティーで演奏していた。『Tim Maia Racional』の時期を含めて1976年まではティム・マイアのバック・バンドに在籍し、Tony Bizarroのデビュー作ではギター、Cassianoの『Apresentamos nosso Cassiano』(1973年)ではベースを担当している。その後はCBSのスタジオ・ミュージシャン、編曲家、作曲家として活動し、1976年にソロ契約を結んで、1977年に唯一のソロ・アルバム『Robson Jorge』を発表した。楽譜は使わず耳で覚えるタイプで、ギター、キーボード、ピアノ、ベース、ドラムをこなした。Lincoln Olivettiは、彼を2人のうちでより創造的な方だと見ていた。
Lincoln Olivetti(Lincoln Olivetti Moreira、1954年生まれ)は、幼いころから音楽に触れ、5歳で音楽院に入った。12歳で郊外のダンス・バンドを組み、16歳だった1970年にはインストゥルメンタルのカバー・アルバム『Hot Parade #1』を出している。1973年にはバンドの機材を売ってアメリカへ渡り、ローズ、クラヴィネット、ARPストリング・アンサンブル、ミニモーグなどの鍵盤を買い集めた。1978年には、ティム・マイアと元の編曲者がもめた『Tim Maia Disco Club』の弦のアレンジを仕上げている。
2人はCBSで出会い、Tony Bizarroの『Nesse Inverno』(1977年)から一緒に仕事を始めた。1980年代にはSom Livreを拠点に、ティム・マイア、ジルベルト・ジル、ガル・コスタ、ジョルジ・ベン、リタ・リー、ロベルト・カルロス、カエターノ・ヴェローゾらの編曲を手がけている。映画『Menino do Rio』や、Globoのテレビ小説『Dancin' Days』『Baila Comigo』の音楽も担当した。
Olivettiはジャカレパグアの自宅にスタジオを構え、1982年には年に約360曲の編曲をこなしていたという。
1982年9月16日、Som Livreから2人名義の唯一のスタジオ・アルバム『Robson Jorge & Lincoln Olivetti』が出た。内容の多くはインストゥルメンタルで、当時はラジオやダンス・ホールでも流れていた。「Aleluia」「Squash」「Eva」、テレビ小説の曲をつないだ「Baila Comigo / Festa Brava」などが収録されている。
一方で2人は、シンセサイザーを多用したアメリカ的な音で、ブラジルのポピュラー音楽を「低温殺菌」して均質にしたと批評家に非難され、ドゥービー・ブラザーズの「What a Fool Believes」に似すぎているといった指摘も受けた。擁護した批評家は少数で、Nelson Mottaの名前が挙がっている。こうした反応もあって、2人は表舞台から少し距離を置き、スタジオでの仕事に軸足を移していった。Olivettiは「見れば見るほど、聞こえなくなる」という言葉を残している。
Robson Jorgeは1992年12月に38歳で亡くなった。Lincoln Olivettiは1990年代以降、ルル・サントスやエヂ・モッタらの編曲で表に戻り、2015年にはガル・コスタの『Estratosférica』も手がけたが、同年1月13日に心臓発作で60歳で亡くなっている。
2人のアルバムは、海外のDJに取り上げられたことで国際的に知られるようになり、ブラジルで最も高価で探し求められるレコードのひとつになっている。The Irish Timesでは、メロディのフック、明るいファンキーなホーン・アレンジ、スキャット、ブギーのグルーヴが取り上げられている。2022年には発売40周年を記念して、Som LivreがDJ Memeに「Aleluia」と「Squash」のリミックスを依頼した。2023年には、1982年から1986年に録音された未発表曲5曲を収めたEP『Déjà Vu』がSelva Discosから出て、幻の2作目の姿を垣間見せた。
Lincoln Olivettiは「Mago do Pop(ポップの魔術師)」と呼ばれ、2019年には仕事を振り返るドキュメンタリー・シリーズ『O Mago do Pop』も作られている。Donatinho、Alexandre Kassin、Lucas Arrudaら若い世代のミュージシャンも、その仕事を評価してきた。