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Irma Thomasは、1941年2月18日生まれのアメリカのソウル歌手で、ルイジアナ州ポンチャトゥーラ出身。ニューオーリンズを拠点に活動し、「Soul Queen of New Orleans(ニューオーリンズのソウル・クイーン)」の呼び名で知られている。ジャンルはブルース、ファンク/ソウル、スタイルとしてはソウルとリズム&ブルースが中心だ。
1958年に地元のRonレーベルから初録音を行い、そこから長いキャリアが始まっている。
1960年代初頭、Irma ThomasはMinit、Imperialへ移籍し、ニューオーリンズ音楽の重要人物アラン・トゥーサンと組んだ。この時期に発表された「It's Raining」「Wish Someone Would Care」「Ruler of My Heart」などは、彼女の代表曲としてよく知られている。
「Ruler of My Heart」は、のちにオーティス・レディングが「Pain in My Heart」として改作して歌ったことで、別の形でも広く知られるようになった。また、1964年の「Time Is on My Side」は、ザ・ローリング・ストーンズが彼女のヴァージョンを手本にカヴァーし、ストーンズにとって初の全米トップ10ヒットにつながった曲としても知られている。
Irma Thomasの歌は、ニューオーリンズらしい温かさと、R&Bの芯の強さをあわせ持つところが特徴として語られることが多い。アレサ・フランクリンやエタ・ジェイムズと並べて紹介されることもあり、ソウルとブルースの境目を行き来するような歌い方が持ち味になっている。
派手な装飾よりも、歌詞の内容をきちんと伝える歌唱が中心で、楽曲の構成や言葉の運びに沿って感情を出していくタイプだ。ニューオーリンズR&Bの流れを知るうえでも、重要な存在として扱われている。
1980年代半ば以降は、名門ルーツ・レーベルのRounder Recordsと組んでアルバム制作を再開し、活動を継続した。長いブランクを経て新作を出すのではなく、制作の場を保ちながらキャリアを積み重ねていった点が印象的だ。
2005年にはハリケーン・カトリーナでニューオーリンズの自宅を失う被害に遭ったが、その直後に録音された『After the Rain』(2006年)でグラミー賞の最優秀コンテンポラリー・ブルース・アルバム賞を受賞している。この作品はアコースティック主体で、被災後の状況の中で制作されたアルバムとしても記録に残っている。
Irma Thomasは、ニューオーリンズR&Bの歴史を語るときに外しにくい存在だ。彼女の楽曲は、オーティス・レディングやザ・ローリング・ストーンズのカヴァーを通しても広がり、オリジナルの歌唱が後の解釈に影響を与えた例としても見られている。
地元ニューオーリンズの音楽文化を背負いながら、ブルース、ソウル、R&Bの文脈で長く活動してきた点に、彼女のキャリアの重みがある。録音初期から復活期まで、時代ごとに役割を変えながらも歌い続けてきたアーティストだ。