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ザ・ジャム(The Jam)は、1972年にイングランド・サリー州ウォーキングのシアーウォーター中等学校で結成されたイギリスの伝説的ロック・バンドである。中心人物のポール・ウェラー(ヴォーカル、ギター)、ブルース・フォクストン(ベース、ヴォーカル)、リック・バックラー(ドラムス)の不動のトリオ編成により、1970年代後半から1980年代初頭の英国音楽シーンの頂点に君臨した。
パンク・ロックの狂騒の中で登場しながらも、細身のスーツを身に纏い、1960年代のモッズ・カルチャーやノーザン・ソウルを同時代の労働者階級の怒りや日常と直結させ、「モッド・リバイバル(Mod Revival)」の絶対的な旗手として若者たちの絶大な支持を集めた。
学生時代の結成から地道なギグを重ねたバンドは、1977年に大手ポリドールと契約し、デビュー・シングル「In the City」と同名アルバムを発表した。セックス・ピストルズやザ・クラッシュらが牽引したロンドン・パンクの爆発と共鳴しつつも、ザ・ジャムは虚無主義や破壊衝動に走ることはなかった。
ザ・フーやスモール・フェイセズ直系のソリッドなビートと、モータウンやスタックスなどのブラック・ミュージックへの深い敬意を融合させ、独自の鋭利な美学とアイデンティティを確立した。
ザ・ジャムのサウンドの核は、ポール・ウェラーが掻き鳴らすリッケンバッカーの金属的で鋭利なカッティング・ギター、ブルース・フォクストンのメロディックかつ獰猛にドライヴするベースライン、そしてリック・バックラーの疾走感と正確無比さを兼ね備えたドラミングによる強靭なアンサンブルにある。
1978年の3作目『All Mod Cons』では、ウェラーのソングライティングが劇的な成熟を遂げ、「Down in the Tube Station at Midnight」や珠玉のアコースティック・ナンバー「English Rose」などを生み出した。続く『Setting Sons』(1979年)では英国階級社会の断絶を浮き彫りにした「The Eton Rifles」がヒットを記録した。さらに1980年の『Sound Affects』ではポスト・パンクやサイケデリックな実験性を取り入れ、ビートルズの「Taxman」へのオマージュが光る「Start!」で全英1位を獲得、「That's Entertainment」など後世に歌い継がれる名曲を刻んだ。
1980年以降、ザ・ジャムは社会現象と呼ぶべき驚異的なチャート・アクションを巻き起こした。「Going Underground」(1980年)、「Start!」(1980年)、「Town Called Malice」(1982年)、「Beat Surrender」(1982年)の4作が全英シングル・チャート初登場1位を記録し、通算18曲連続でUKトップ40入りを達成した。
1982年のラスト・アルバム『The Gift』では、モータウン・ビートやファンク・サウンドを大胆に取り入れ、さらなる音楽的進化を遂げていた。しかし同年9月、人気の絶頂にありながらポール・ウェラーは突如バンドの解散を発表した。同年12月11日のブライトン公演を最後に、わずか5年余りのメジャー活動でその幕を閉じた。ウェラーはその後、ミック・タルボットとともにザ・スタイル・カウンシルを結成した。
ザ・ジャムが描いた英国労働者階級の現実、鋭い社会批評、そして卓越したメロディ・センスは、1990年代に爆発したブリットポップ・ムーヴメントの直接的な青写真となった。オアシス、ブラー、パルプ、オーシャン・カラー・シーンをはじめとする多くの後続バンドが公然とザ・ジャムからの影響を公言している。
ポール・ウェラーは現在も「モッドファーザー(The Modfather)」と称され、英国ロックの最高峰の象徴として世代を超えて敬愛され続けている。