Atoms For Peace - Amok (2013)
Atoms For Peace『Amok』
レディオヘッドのトム・ヨークを中心に結成されたスーパーグループ、アトムス・フォー・ピース(Atoms For Peace)の唯一のスタジオ・アルバムとして2013年にXL Recordingsから発表された傑作『Amok』。長年の制作パートナーであるプロデューサーのナイジェル・ゴドリッチに加え、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリー(ベース)、ベックやR.E.M.のサポートで知られるドラマーのジョーイ・ワロンカー、そしてブラジル出身のパーカッショニストであるマウロ・レフォスコという最高峰のミュージシャンが集結した。
制作背景と革新的アプローチ
もともとはトム・ヨークのソロ作『The Eraser』をステージ上で再現するために結成されたバンドであったが、その強固な音楽的ケミストリーは新たなオリジナル作の制作へと発展した。ロサンゼルスで行われた3日間のフリー・ジャム・セッションで膨大な演奏素材を録音し、それをゴドリッチとヨークが緻密にサンプリング、ループ、エディットして再構築するという手法が採られた。これはかつてマイルス・デイヴィスとテオ・マセロが『Bitches Brew』で行った音響構築を、現代のエレクトロニック・ミュージックのフォーマットで鮮やかに更新したものである。
フリーによる温もりを帯びたベースラインは、いつものアグレッシブなスラップを封印し、催眠的でしなやかなうねりを生み出す。そこにワロンカーとレフォスコが叩き出す緻密なポリリズムが絡み合い、ヨークのグリッチィな電子音と哀愁に満ちたファルセット・ボイスを有機的に支えている。
主要楽曲とアートワーク
アルバムを牽引する先行シングル「Default」は、冷徹なIDMのビートとエモーショナルなボーカルが交錯する代表曲である。また、ミニマルな鍵盤フレーズと跳ねるリズムが絶妙な「Ingenue」、アフロビートのダイナミズムを宿したオープニング曲「Before Your Very Eyes...」など、全編にわたって生演奏のダイナミズムと先鋭的なプログラミングが高次元で融合している。
スタンリー・ドンウッドが手掛けたアートワークも秀逸で、初回限定盤は箔押し加工が施されたトリプル・ゲートフォールド仕様の豪華装丁(180g重量盤LP)でリリースされた。ロックと電子音楽の境界線を軽やかに飛び越えた、2010年代オルタナティヴ・ミュージックを象徴する重要作である。
トラックリスト
- A1 Before Your Very Eyes...
- A2 Default
- B1 Ingenue
- B2 Dropped
- C1 Unless
- C2 Stuck Together Pieces
- D1 Judge Jury And Executioner
- D2 Reverse Running
- D3 Amok